西尾市民病院、これからどうする? 第1回「あり方検討委員会」を傍聴して
昨日、第1回「西尾市民病院あり方検討委員会」を傍聴してきましたので概略を記しておきます。この検討委員会では有識者が集まって意見を交わす場です。そして住民から意見を募るパブリックコメントもこれから行われます(8/5〜9/4予定)。それに向けてまず、市民病院のお金の事情は以下の通りです。
市民病院、お金の実態
西尾市は現在、市民病院に対して毎年約20億円の繰入金(一般会計からの支援)を投入しています。それでもなお、令和7年度の決算は次の通りです。
総収入:約91億円
総費用:約104.6億円
純損失:約13.7億円
繰入金を入れてもなお13億円を超える赤字、という状況です。
これをどう捉えるのか。「経営が相当まずいのでは」と感じる方もいると思います。しかしこれは、西尾市に限った話ではありません。全国の自治体病院のうち8割以上が赤字経営です。理由は単純で、救急医療や産科・小児科といった「採算の取りにくい医療」ほど、地域にとっては欠かせないからです。民間病院であれば撤退するような分野を、公立病院だからこそ引き受けているという構造があります。
問われているのは「線引き」
ここで重要な観点としては、「赤字だから悪い」という単純な話にすると、政策的に必要な医療が維持できなくなることでもあります。なので問題は、その赤字をどこまで、何のために許容するのか、という線引きです。
「とにかく何でも充実させてほしい」という要望に応え続ければ、赤字は際限なく膨らみます。かといって、収支だけを見て削っていけば、地域から救急医療や高齢者医療が失われかねません。
何を絞り、何を残すか。
市としてどこまでの負担を病院経営に充てるのが妥当か。
という優先順位づけが「あり方検討委員会」の趣旨です。そして、行政の一存ではなく、住民からのパブリックコメント、市民病院職員へのアンケート、議会からの提言によってまとめられていきます。
第1回で話し合われた3つのテーマ
初回は主に3つのテーマが議論されました。要点だけ触れておきます。
病床機能・地域連携のあり方:西三河南部西医療圏は北部に病院が集中しており、南部の基幹病院としての当院の役割をどう位置づけるか。急性期医療への集中を望む声が多くありましたが、「増床」という言葉には慎重論もあり、「病床の転換・移動」といった表現の是非も議論になりました。
経営形態のあり方:現行の地方公営企業法一部適用のほか、全部適用、地方独立行政法人、指定管理者制度、民間譲渡といった選択肢が示されました。他自治体での移行事例(職員の大量退職希望など)も紹介され、経営形態を変えること自体が万能策ではないことが共有されました。
経営改善に向けた取り組み:市民病院では診療を受ける際、入口の機械にカードを通してから受付を何度か経由する必要があり、そこまでの人員体制が必要なのかという疑問や、DXで工夫できる余地があるという指摘がありました。ほかにも病床の回転率向上、部門別の収支評価、広域連携などが論点に挙がりました。
「病床数」や「経営形態」といった言葉だけを見ると、具体的にイメージしづらいですが「救急車で運ばれたときにどの病院に行けるか」「家族の入院先がどうなるか」という内容になります。「経営改善」では、病院事務では当たり前になっていることも、利用者目線で「なぜ?」という観点での意見がもっとあると良いと私は思いました。
パブリックコメントと次回開催について
パブリックコメントが始まったら、一度目を通してみてください。そして「地域医療で何を優先してほしいか」皆さんの思うところがあれば意見を書いてみてください。第2回「西尾市民病院あり方検討委員会」は9月24日に開かれる予定です。自分自身も議論の続きを追って、また報告・意見を共有していきます。
