56歳の私を豊かにする映画(2)『栄光のバックホーム』
泣いてしまったよ。大泣き。
脳腫瘍との壮絶な闘病の末、28歳の若さで亡くなった阪神タイガース横田慎太郎さんのことは、2023年のリーグ優勝&日本一達成のときに世間に知れ渡った実話である。才能あふれる若者の短い生涯をていねいに描いた作品。
やりたいことがたくさんあったのに死んでしまって可哀想…という薄っぺらな内容ではなく、必死にがんばる人の情熱に影響され、それを必死で支え、炎が吹き消される最後の一瞬まで見届けようとする周りの人たちの想いに心を動かされ、震わされ、途中から涙が止まらなかった。
横田さんの強さはお母さま譲りであることがよく分かった。そのお母さまが鹿児島の実家の息子の部屋でひとりむせび泣く姿は胸が痛んだ。
俳優たちがこの作品に誠実に向き合う温度と、物語が進むにつれ私の胸に広がっていく温度が、ぴたりと一致していく感覚があった。多くの観客も同じように感じたのではないだろうか。( 鈴木京香の演技はその頂点に達していたと思います。)
「闘病の末、夢をかなえることなく亡くなる」という題材は、演じ方によっては過剰な表現になり、かえって醒めてしまうこともある。しかし『栄光のバックホーム』では丁寧で誠実な演技が作品の質をさらに高めていた。
観終わったあと、
横田慎太郎さんから『生きてください、もっともっと強くなってください、あなたならできます、きっと。』と懇願されているように思えて、もっと頑張れるやんオレ、何の不自由もないオレはいったい何やっとるねん、もっと頑張れオレという気持ちになった。
