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宇宙の持続可能性へ挑むアストロスケール、黒字化達成で新たなステージへ

近年、宇宙ごみ(スペースデブリ)の問題が深刻化しています。この宇宙の環境問題に立ち向かう日本のスタートアップが、アストロスケールです。

同社は2026年4月期第1四半期に、プロジェクト収益として23億円(前年同期比+103.1%)を達成し、四半期の売上収益は過去最高の12.5億円に達するなど、力強い成長を見せています

プロジェクト収益は、売上収益に政府補助金収入を加えたもの
出典: 2026年4月期 第1四半期 決算説明資料 p.24

2013年の創業以来、軌道上のデブリ除去という新しい市場を切り拓き、2025年9月には科学技術振興機構(JST)から予算総額108億円の大型プロジェクトを受注するなど、国内外の政府機関や民間企業からの信頼を勝ち得ています。

科学技術振興機構をはじめ、政府機関や防衛機関、民間企業からプロジェクトを受注
出典: 2026年4月期 第1四半期 決算説明資料 p.8

世界が注目する宇宙の掃除屋として、アストロスケールは持続可能な宇宙環境の実現に向けた挑戦を続けています

宇宙の「JAF」を目指す、軌道上サービスという新市場の開拓者

アストロスケールは、宇宙空間の軌道上にある人工物(スペースデブリ)の除去や、人工衛星の寿命延長といった「軌道上サービス」を事業の柱としています。

スペースデブリには以上のようなものがある

事業セグメントは「軌道上サービス事業」の単一セグメントです。

主な顧客は、衛星を運用する政府機関や通信事業者、民間企業です。

近年、衛星コンステレーション(多数の衛星を連携させて一体的に運用するシステム)の増加により、軌道上のデブリは増加の一途をたどっており、市場の潜在的な需要は大きいと言えます。

「多数(数十〜数千基規模)」の「小型人工衛星」を「低軌道(高度200km〜2,000km)1)」に打上げる
出典:Space Mate

同社のビジネスモデルは、大きく分けて2種類あります。

一つは、故障した衛星や役目を終えた衛星を捕獲し、大気圏に再突入させて燃焼させる「除去サービス(EOL: End-of-Life)」

もう一つは、燃料が尽きかけた衛星に燃料を補給して寿命を延ばす「寿命延長サービス(LEX: Life Extension)」です。

これらのサービスは、顧客との間で締結される受託研究開発契約や、将来のサービス提供を見据えた技術実証を通じて収益を得ています。

2025年7月末時点での受注残高は437億円にのぼり、安定した収益基盤を築いています

出典: 2026年4月期 第1四半期 決算説明資料 p.29

アストロスケールの最大の強みは、この「軌道上サービス」という前例のない市場を自ら創り出している点にあります

デブリ捕獲のためのドッキングプレートを衛星に標準搭載するよう働きかけるなど、業界標準を形成する動きを主導しています。

出典: 2026年4月期 第1四半期 決算説明資料 p.12

また、日本・英国・米国に拠点を持ち、グローバルな顧客(政府、防衛、民間)の需要を取り込める体制も強みです。

例えば、米空軍研究所から自律的なランデブー・近傍運用に関する調査を受注するなど、安全保障分野でもその技術力が高く評価されています

自律的RPOとは地上の管制官による支援を受けずに、宇宙船同士が軌道上で出会ったり(ランデブー)宇宙船を他の天体や宇宙船の近くで操縦すること(近傍運用)
出典: 2026年4月期 第1四半期 決算説明資料 p.10

このように、他社にはない独自の技術力と、市場を創造する先駆者としての地位が、アストロスケールの競争優位性の源泉となっています

売上総利益の黒字化を達成、事業は新たなステージへ

アストロスケールの2026年4月期第1四半期決算で注目すべきは、売上総利益が3四半期連続で黒字を達成した点です。

前年同期は35億円の損失でしたが、今期は3,000万円の利益を確保し、大きな改善を見せました

この主な要因は、前年同期に計上した32億円の「受注損失引当金」がなくなったことです。

これは、将来の損失が見込まれるプロジェクトに対して、あらかじめ損失を計上するものですが、今期はその必要がなくなったことを意味します。

出典: 2026年4月期 第1四半期 決算説明資料 p.22

また、売上収益が前年同期比で422.3%増と大幅に増加したことも、売上総利益の黒字化に貢献しました。

これは、進行中のプロジェクトが順調に進捗し、収益として認識されるようになったためです。

特に、全額が顧客からの拠出金で賄われるプロジェクトの比率が改善したことも、利益率の向上につながっています

これらの結果は、アストロスケールの事業が、研究開発のフェーズから、着実に収益を上げられる事業フェーズへと移行しつつあることを示していると言えるでしょう。

宇宙の持続可能性をリードし、成長軌道を描く

アストロスケールは、「将来の世代の利益のための安全で持続可能な宇宙開発」というビジョンを掲げ、軌道上サービス市場のリーダーとして成長を目指しています。

同社は、売上総利益率30%台半ば、営業利益率20%台半ばという長期的な財務目標を掲げています。

出典: 2026年4月期 第1四半期 決算短信 p.6

その成長戦略の柱は、すでに需要が顕在化している政府や防衛関連のプロジェクトを確実に受注し、短期的な収益基盤を固めることです。

英国や日本の防衛省との契約はその一例です。

長期的には、民間企業向けの衛星寿命延長サービス(LEXI-P)の商業化を目指しており、これが実現すれば、大きな成長ドライバーとなることが期待されます。

出典:アストロスケール HP

一方で、同社の事業にはリスクも存在します。

軌道上サービスはまだ新しい市場であり、法整備や国際的なルール作りが追いついていないのが現状です。

また、プロジェクトの多くが政府の予算に依存しているため、政治的な判断が事業に影響を与える可能性もあります

収益の多くは政府や防衛関連に依存している
出典: 2026年4月期 第1四半期 決算説明資料 p.24

さらに、技術開発が計画通りに進まないリスクや、競合の出現も考えられます。

しかし、宇宙利用の拡大に伴い、デブリ問題の解決は避けて通れない課題です。

アストロスケールは、この社会課題の解決を事業の中核に据えることで、持続的な成長を目指しています

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