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卒業式に先輩が残した数学の『赤点回避メモ』

朝、卒業式に向かう高校生をちらほらと見かけた。
約四半世紀前の記憶が、ふと頭をよぎる。
高校一年の時。何度も話しているが、私は数学だけが壊滅的な成績で、学年末テストをなんとかしないと進級やばいかもと震えていた。

うちの学校は卒業式の翌日から学年末テストだった。在校生は正直、卒業式どころではないのだ。しかもクラス委員は卒業式に出席しろという。
卒業式に出席している最中も、明日の数学のテストのことで頭がいっぱいだった。

卒業式が終わり、当時所属していた部活の部室で、試験勉強をしていた。
(明日赤点だったらマジ終わる……)
数学Ⅰ・Aの教科書を見つめる。謎の呪文が書かれたそれを見て途方にくれていたその時、部室のドアが開く。

「凪砂、何してるの? ……あー、明日から学年末か。教科書見せてみ? 数学担当誰?」
卒業式後のホームルームを終えた三年の先輩が入ってきた。私は先輩をちらりと見て、答える。
「〇〇先生」

先輩はにやりと笑って紙にさらさらと何かを書いた。

「数学の〇〇なら、学年末は絶対この問題出してくるから、今日は一夜漬けでこれだけ覚えろwこれなら赤点は取らないからw」
けらけらと笑いながら差し出された紙を見ると、数学Ⅰ・Aのヤマらしき公式と解き方が書いてあった。

やっぱり謎の呪文が書いてあるが、先輩を信じてほぼ一夜漬けで謎の呪文が書かれた教科書と先輩のメモを照らし合わせて問題を解いてみた。謎の呪文が少しだけ数字と文字の数式に変わる。

(やれるだけやるか。だめだったら他の教科で何とかしよう)

次の日。数学の問題用紙を見る。七割くらいは先輩が言った通りの問題が出た。
後日返却されたテストは、火事場のなんとやらで数学は自分史上最高得点。万年赤点だった私は何度も答案を見る。信じられない。

その後、無事高校二年生になれた私は、数学Ⅱ・Bの教科書を見る。
……謎の呪文しか書かれていなかった。

フラグ?そんなものは立つわけないのだ。

#なんのはなしですか  


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