回復期看護師の現場メモ〜目を閉じたら更衣介助のコツが見えた
今までは看護系記事とはいえ、ビニテ工作、干し椎茸とちょっと特殊な記事が続きましたので🤣
今回は、少し実務寄りに戻して。
『着替えがうまくできない』患者さんのそばで、私たちが何を見て、どう関わるかについて、お話しようと思います。
以前、高次脳機能障害について研修を行ったときのことです。
大体の人は、
『高次脳機能障害』
「なんか難しそう……😑」
と身構えてしまって、なかなか思いが伝わらないなぁ……。
どうしたもんか。
と、私はその時、悩んでいました。
◆麻痺がないのに着替えられない?
なんで?
体は動くのに??
そう🙂↕️
体は動いても、脳の働きが低下していると、人は着替えひとつにも苦労するんです。
高次脳機能障害は『高次(高い、複雑なレベル)』の『脳』の『機能障害』です。
頭の中で起こっている障害なので、『麻痺がある』『骨折している』などのように、障害があるかどうかを見た目で判断することができません。
患者さん自身は非常に大変な思いをしているのに、それがなかなか周囲に伝わらない厄介な障害なんです。
◆『着替え』のどこに躓くのか
例えば。
「この服に着替えておいてね!」と服を渡したのに……。
まだ着替えてないじゃないの😳
え?そんで、裏表反対じゃない😳
そんなこと、ありませんか?
このとき、患者さんに何が起こっているのかを紐解いてみます。
*着替えが用意できない。
*着替える順番がわからない。
*見たら服だとわかるのに、それをどう扱うかわからない。
*前後や上下、裏表など服の構造がわからない。
*周りの音や視界に映るものが気になって集中できない。
*1つのことを延々続けてしまって、次の行動にうつれない。
このような理由で、患者さんは1人で着替えることが難しくなっていることがあります。
◆患者体験をしてもらった👕
『着替えができないとはどういうことか』を、知識として知っている看護師はたくさんいます。
でも、現場で患者さんは困ってる😑
なんでだろうなぁ……🤔
考えた結果、『着替えができないとはどういうこと?』を疑似体験してもらおう💡と思いつきました。
体験はペアで行います。
*1人は患者さん役。
*もう1人は介助者役。
ルールは。
*患者さん役は目を閉じて、介助者役が渡す服を着ます。
*介助者役は、あらかじめ服をひっくり返したり、片袖だけ裏返したりして、整っていない状態で患者さん役に渡します。
*患者さん役が服を着る間、介助者役は好きなだけ指示をしてもいいけれど、手は貸しません。
*制限時間は3分⏲️。ウルトラマンも活動限界になる、ちょうどいい時間です。
これだけ🙂↕️
この研修で体験してもらいたかったのは、
『患者さんの気持ち』
『できなくて困っている人を見守ることの難しさ』
でした。
◆体験型研修で。
患者さん役は目を閉じているので、服の全貌がわかりません。
Tシャツと甚兵衛、2種類の服で体験しましたが、
「え?なにこれ?😵💫」
「……絶対裏返ってる……」
「紐、紐どこ??😩」
慎重にタグで前後や裏表を確認する人。
わからなくて介助者に「どーなってるの??」と泣きつく人。
制限時間を過ぎて合図があっても終了できない人。
いろんな人がいました🙂↕️
一方の介助者役では。
黙って患者さん役の行動を見守る人。
「そこじゃない、こっち!」とひとつひとつ指示を出す人。
患者さん役の動きを先回りして指示を出す人。
つい、手を貸してしまう人。
これまた、いろいろな反応が見られました。
体験後、感想を尋ねてみました🎤
*患者さん役
😫
「服のかたちが分からないだけで、着替えがこんなに難しいとは思わなかった」
😵💫
「一生懸命考えてるのに、横であれこれ言われると、余計に混乱する」
*介助者役
😅
「手伝ったほうが早いから、つい手が出ちゃう」
😓
「言葉だけで伝えることが難しい」
😣
「患者さんのペースを待っていられない」
うむ🙂↕️
いい反応です✨️
歴戦の看護師たちも、ぐちゃぐちゃの状態で服を渡されたときには、さすがに戸惑っていました。
目を閉じてもらうことで疑似体験をしましたが、実際の患者さんは、
目が見えていても、
服だとわかっていても、
着替えることが難しいのです。
◆具体的な介入方法

こちらは実際に研修で使った資料です。
注目してほしいのは、
*テレビがつけっぱなし。
*同室者とリハビリスタッフとの会話が聞こえる。
*お茶を配りにきたスタッフが声をかける。
*介助者がたくさんの指示をしている。
*トイレを我慢している。
*片付け忘れた歯磨きが気になる。
こんな状態で『着替えてください☺️』と言われても、ちっとも集中できませんよね?

では実際にはどう関わるのか。
集中できる環境を整える。
これに尽きます。
*テレビは消す。
*カーテンを閉めて視界を遮断する。
*もちろん羞恥心にも配慮する。
*同室者がお話している等、にぎやかな時間帯であれば、改めて部屋が静かなときに介入する。
*トイレなど、気になることはあらかじめ済ませておく。
ここまで事前に準備して、ようやく患者さんは集中して着替えに臨むことができるのです。
そして、いざ着替え始めてからも、
介助者の関わり方で着替えは簡単にも難しくもなるのです。
🆖控えたい介助例
*着替えと関係ない話をする。
*次々指示を出す。
*服をいっぺんに手渡す。
*服の構造がわからないまま渡す。
*着替える順番を配慮せず渡す。
せっかく……。
せっかく環境を整えても台なし……😩
泣きますよ?私が!!
🆗実践してほしい介助例
*着替えに意識が向いていることを確認する。
👉「着替えますよ」だけでは伝わらないことも多いんです。
患者さんの顔を見て、言葉がちゃんと伝わっているか、反応を確かめましょう。目が合うか、頷きがあるかなど、言葉以外の反応がとても大切です。
*動作中は静かに見守る。
👉静かな環境を整えても、介助者が声をかけると、集中できなくなります。
*動作に詰まったら声をかける。
👉悩んでも、本人が考えて解決できるなら、先回りして答えを教えない『待つ姿勢』も大切です。
*服を一枚ずつ、形がわかるように渡す。
👉一度広げて服のカタチを見せると、着る服をイメージしやすくなります。着替える手順を考えることが難しい場合もあるので、次に着るものを1枚だけ渡します。
そして意外に大事なのが、介助者は正面に立たないこと。
※もちろん転倒のリスクがある場合は、安全を優先します。
正面から見下されると、患者さんは心理的に緊張しやすくなります。
私は、ベッドに端座位になっている患者さんの隣に腰かけて、見守ったり、体を支えるようにしています。
◆受講者の感想
「患者目線からの講義には心を揺さぶられました」
「目を閉じて服を着る体験は興味深かった」
研修後のアンケートで、このようなお言葉を頂きました。
病棟に戻ってから、受講者が先生となって、ほかのスタッフに体験を促してくれた人もいました。
患者さんに関わる時に、良い介入、悪い介入どちらも実践して、違いを確認した人もいました。
講師として、研修で伝えたことを、現場に持ち帰り、実践したり広めたりしてくれることをとてもありがたく思いました✨️
患者さんを思いやる気持ちを持って、声かけやケアを行うことの大切さ。
患者さんがどんな考えを持っているのか、どうしてほしいのかを考えられる介助者であること。
患者さんのできないことに直面したとき、なぜその動作が難しいのかを考えられる介助者であること。
できる/できないにかかわらず、患者さんがやりたいことを尊重して、前向きに、一緒に考えられるようになりたい。
受講者の素敵な感想で、今回の記事は締めたいと思います😊
ここまで読んでくださって、ありがとうございました😆
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