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展覧会レポ:滋賀県立美術館でモノに宿る感情を探る「ブツドリ:モノをめぐる写真表現」

【約2,400文字、写真19枚】

 ケータイにカメラが付いて四半世紀が経ちました。写真で「モノ」を撮ることがすっかり身近になりましたよね。偶然に撮れた写真が「何かいい〜」と感じる、その魅力の正体を探ります!

山沢栄子 物体(シリーズ〈私の現代〉より) 1986 43.0×42.3 ダイ・トランスファ・プリント 東京都写真美術館

モノに宿ったBUTSU

 平日の静かな館内で、ひときわ目立つ作品に心を奪われました。 「これ、見てていいのかな?」

右手より 石内都 #39,49,37(シリーズ〈マザーズ〉より)2002,2002,2001 発色現像方式印画,ゼラチン・シルバー・プリント,発色現像方式印画 東京都写真美術館

 亡くなった母親の遺品を写した、石内都さんの作品。使いさしの口紅に肌着の写真なのに、そこに見えるのは、石内さんのお母様に対するむき出しの感情…。 モノでしかないはずなのに、どうして?

いいちこ やっぱりここに居たんですね。 2006

 「あっ、いいちこのポスターだ」と思った瞬間、ボトルをというモノの形を探してしまうのはなぜなんでしょうね。
(左手のやや奥にあります)

 図録に書いてあったのですが、「かたち」という文字を眺めていると、静かに置かれているモノをイメージしますよね。
 でも漢字にすると「形成する」といった動的な意味が含まれます。形を英語にするなら「form」。そのまま動詞として用いられます。

鈴木崇 シリーズ〈BAU〉より 2010‐2014 11×8.5×2.5 Cプリント,木製パネル 作家蔵 

 スポンジを組み合わせて、何かに見立てて、自由に意味を読み取るんでしょうか。新たな形を生み出すその過程が、ドドーンと展示されています。モノ、形から意味が見えてきたり、愉快な気持ちになったりします。

気楽に没入できる空間

 古着を撮影した作品が展示されていました。なぜでしょうか、服屋さんのディスプレイとはまるで違う印象を受けます。

オノデラユキ 古着のポートレートNo.14,17,19,38,40,45 113.5×113.5 ゼラチン・シルバー・プリント 作家蔵

 新商品を扱う服屋さんとどこが違うんでしょうか。写真の服は丁寧に洗濯され、大事に着ていた人の顔が見えてくる気がします。もしかすると、モノそのもの、そしてその奥にある何かが表現されているのでしょうか。

展示室内の休憩スペース

 「ブツドリ(物撮り)」という言葉は、「物」を「撮」るという、商業広告などで商品の撮影を指すそうです。

展示風景

 きっと、学芸員さんが心をこめて展示されたのでしょう。展示面積は決して広くはないにもかかわらず、とても豊かで充実した経験をさせてもらった気分になります。

子どもも楽しめるワークショップに、対話鑑賞?!

 会場へ行く手前、エントランスにはこんな案内もありました。

 写真が生み出すアートの世界であそぶ、ステキな体験をありがとうございます。

そこにあるから、やってみる

 このレポートではすべての展示を紹介しきれませんが、中には重要文化財の写真の原板や貴重な文化財の写真、静物写真、広告写真、現代アーティストの作品まで、200点以上が出品されています。
 で、私の心に残ったのは、こちら。

 先日、子ども(男子6歳)が靴下を片方なくしてしまいました。どこを探しても見つからず、いつか出てくるだろうと片方だけ棚の上に置いてます(今も)。

安村崇 私の靴下(シリーズ〈態態〉より)2017 50.4×39.5 Cプリント 作家蔵

 何の変哲もない靴下、特に革新的なデザインでもないのに、どうも気になる写真なんです。洗濯前の靴下でしょうか。ああ、一体全体もう片方はどこに行ってしまったんだ!

出口付近

 こんな体験コーナーも用意されています📷️

■information

滋賀県立美術館開館40周年記念
「BUTSUDORI ブツドリ:モノをめぐる写真表現」
会期:2025年1月18日(土)〜3月23日(日)
会場:滋賀県立美術館 展示室3
住所:滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
電話番号:077-543-2111
開館時間:9:30-17:00(入場は16:30まで)
休館日:毎週月曜日(ただし休日の場合には開館し、翌日火曜日休館)
料金:一般 1,200円 / 高校生・大学生 800円 / 小学生・中学生 600円
事前予約:不要
所要時間:約50分
写真撮影:一部可能
webサイト:https://www.shigamuseum.jp/

※予告なく記載されている事項が変更されることがあります


次の休みは家族で滋賀に行きたくなる

 おまけコーナーです。
 ちょっとだけ、いわゆる「美術館」をイメージして欲しいんです。大きな屋根の立派な建物に入って、エントランスを抜けると鉄のオブジェがあるとします。どんなオブジェが思い浮かびますか?

美術館の入口付近

 滋賀県立美術館は、常設のオブジェも面白いんです(無料でみられる!)。
 緑に映える朱色、美しい曲線、鋼鉄なのになぜか軽々と見えてしまいます。フラミンゴを抽象的に表現したアレクサンダー・カルダーの作品(シカゴ連邦ビルの「フラミンゴ」の習作)です。

ぜひ現地でご覧ください

美術館のキャッチフレーズは「公園の中のリビングルーム」

 美術館は広い公園の中にあって、子連れにも優しい。子どもが騒いでも“みんな笑顔で見守ってくれる美術館”って印象でした。

フリースペースも充実

 アートやモノづくりの楽しさを五感で体験できるイベントが週末に開催されているようです。
 有名な画家の作品を見るのもイイですが、アッと驚く、心のざわめきも、アートの楽しみの一つですよね。

 入口すぐ左手にはミュージアムショップもあります。

 滋賀県といえば信楽焼のたぬきさん。

 オシャレな雑貨もあって、なかなか帰れないっす♪


「小さなお子さんがいる、障害があるなど、様々な理由で来館を迷っている方へ」

当館では、展示室でもしーんと静かにする必要はなく、おしゃべりしながら過ごしていただけます。また、目が見えない、見えづらいなどの理由でサポートや展示解説をご希望される場合や、その他、ご来館にあたっての不安をあらかじめお伝えいただいた際には、事前の情報提供や当日のサポートのご希望に、可能な範囲で対応します。

滋賀県立美術館HPより

 この取り組みのおかげで、誰もが安心してアートを楽しめますね。早く家族で行きたいです♪

ソース;
:図録「BUTSUDORI ブツドリ:モノをめぐる写真表現」発行:滋賀県立美術館、2025


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