害とは ― 心と現実の結びを、断つ形
支合の記事で、予告した話です。心と現実が手をつなぐ支合の線を、垂直に叩き切る。それが、害(がい)です。だから意味は、ちょうど裏返し。心と現実の、不一致です。

─── 仕組み
■ 支合を、直角に断つ
害は、六組あります。十二支の円の上で支合の六本の線に対して、害の六本の線は、きれいに直角で交わります。支合が「精神と現実の一致」なら、その線を垂直に断ち切る害の意味は、精神と現実の分離。心と体、思いと行動が、すれ違う形です。
・子 ― 未(北方の害)
・丑 ― 午(南方の害)
・寅 ― 巳(東方の害)
・卯 ― 辰(中央の害)
・申 ― 亥(西方の害)
・酉 ― 戌(天軸の害)
散法ですから、五行は変化しません。すれ違ったまま進むのですから、そこには無理が生まれます。バランスが崩れる、実が伴わない、嘘、欠け。そして害のいちばんの特徴は、その無理が、体に出るということです。
─── 体
■ 六組それぞれの、弱りやすい場所
古い教えでは、害の六組は、それぞれ体のなかの六腑と結びつけられています。命式に持っていると、その場所が弱りやすいとされます。
・子未の害 …… 膀胱。体の水はけにかかわるところ。心の疲れから来やすいとされます。
・寅巳の害 …… 胆。胆のはたらき全般です。
・丑午の害 …… 小腸、消化器。おなかを下しやすい、熱が出やすい、肌に出る。これも心の疲れから来やすいとされます。
・申亥の害 …… 大腸。西は現実の場所ですから、飲食など現実の行動から来るとされます。栄養を取り込みにくい傾向も。
・卯辰の害 …… 三焦。かたちを持たない、中空のはたらきの部分です。
・酉戌の害 …… 胃。
ひとつ、覚えておいてほしい注意があります。害のそばに三合会局や半会が重なっているときです。ふくらむ力の陰に害が隠れて、不調に気づくのが遅れることがあります。忙しく、物事が順調に進んでいるときほど、体の声は聞こえにくくなる。調子がいいときこそ、休みを削らないことです。
─── 注意
■ 鑑定士として、口を酸っぱくして
害は、俗に「病気の合図」と言われます。だからこそ、どうしても言っておきたいことがあります。
陰陽五行は、春秋戦国時代に生まれた考え方です。いまから二千数百年前。そもそも、その時代に「害」にあたる概念があったのかどうかも、はっきりしません。そして何より、当時と現代とでは、病気というものの捉え方が、まるで違います。古代の人が見ていた「気の乱れ」と、現代医学の「疾患」は、別の言葉なのです。
ですから、くれぐれも。**害があるから病気になる、とは言いません。害がないから健康だ、とも言いません。**正確に言えば、害が示すのは病気ではなく「不調」です。支合というまとまりを、ぶった斬る形。そのひずみは、心にもくるし、体にもくる。それだけのことです。
こと病気に関しては、算命学のことは忘れてください。参考にするのは、いい。けれど、占いを根拠に動かないこと。体のことは、医療に委ねること。そして、年に一度の健康診断だけは、欠かさないこと。私が鑑定の場でお伝えするのは、いつもこれです。
私の運命哲学の根幹には、フィジカル、つまり体の大切さがあります。どんな命式も、どんな運も、それを生きるのは体です。体という土台の上にしか、運命は立ちません。
─── 宿命
■ 宿命に、害を持つ人
宿命の地支(年支・月支・日支)のうち、二支が害になっている人です。心と現実が、どこかでいつもすれ違いやすい。思いと違うことを、つい引き受けてしまう。そうして知らないうちに、無理を積み重ねていきます。
支合の人が「思ったとおりに動く人」なら、害の人は「思いと違っても動けてしまう人」です。それは弱さではなく、器用さでもあります。ただ、そのつけは体に回ってきます。自分の組み合わせにあたる場所(上の六腑)を、ふだんから、いたわってあげてください。心にもないことを続けているな、と気づいたら、それが立ち止まる合図です。
─── 後天運
■ 害が、めぐるとき
大運や年運の支が、宿命の支と害になるときです。心と現実のあいだに、すきま風が吹く時間です。
・東(年支)と結ぶ ― 東方の害 …… 前進が、すんなりいかないときです。それも、体調が足を引っぱる形になりやすい。進みたい気持ちより先に、まず体を整えることです。
・西(日支)と結ぶ ― 西方の害 …… 期待が外れやすいときです。結果が出るころに、体調を崩しやすくもあります。実りの前こそ、無理を重ねないこと。
害は、罰ではありません。心と現実がすれ違っていますよ、という、体からの知らせです。知らせが来たら、責めるより、休む。それがこの形との、いちばん良い付き合い方だと私は見ています。
ちなみに私は、東に害のある今年、このメッセージにひと文字の誤植を救われました。その話は、随筆「背表紙の、ひと文字」に書いています。
無理は、静かに体へたまります。害は、休めの合図。
心と現実がすれ違ったら、まず、体をいたわってください。
運命哲学は、セーフティネット。
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石田久宗|公式サイト
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