Jensen Huangの2時間とパウエルの30分──市場の命運を決める1週間 米国株週間見通し / 3月16日-3月20日
📌 先週の着地点
S&P 500: 6,632.19(1月高値から-5%。年初来安値。3週連続マイナス) WTI原油: $98.71($100目前)Brent原油: $100前後 VIX: 27台(高止まり) 10年債利回り: 4.27%付近
先週は「停戦期待→スタグフレーション」へナラティブが完全に転換した。月曜のトランプ「戦争はほぼ終わった」から始まり、金曜にはGDP下方修正(0.7%)+コアPCE粘着(+0.4%)+Adobe -7.6%で幕を閉じた。原油は$86→$99と1週間で$13上昇。市場は方向感を失い、年内利下げ期待は「12月に1回」まで後退している。

🗓️ 今週のカレンダー
月曜 3/16
8:30 Empire State製造業指数(3月)
9:15 鉱工業生産+設備稼働率(2月)
10:00 NAHB住宅市場指数(3月)
🔥 11:00 PT / 14:00 ET Jensen Huang CEO キーノート(NVIDIA GTC)── 2時間のスピーチ。テーマは「AIの5つのレイヤー」
決算:Dollar Tree
火曜 3/17
10:00 2月中古住宅販売保留指数
決算:lululemon、DocuSign
水曜 3/18 🔥🔥
8:30 2月住宅着工件数 / 建設許可件数── 原油高と金利高止まりが住宅市場の供給側にどう影響しているか
14:00 FOMC金利決定+経済見通し(SEP)+ドットプロット
14:30 パウエル議長記者会見
決算:Micron、General Mills、Williams-Sonoma、Five Below
木曜 3/19
NVIDIA GTC最終日
決算:FedEx、Alibaba、Accenture、Darden Restaurants
金曜 3/20
トリプルウィッチング(四半期オプション満期)── ボラティリティが通常より高まる可能性
WTI原油4月限最終取引日── 原油が$100近辺で限月交代を迎えるため、ポジション整理の動きに注意

🔑 今週の3大テーマ
① NVIDIA GTC:「AIの最後の防衛線」
月曜14:00 ETにJensen Huang CEOが2時間のキーノートを行う。テーマは「AIの5つのレイヤー」(エネルギー、チップ、インフラ、モデル、アプリケーション)。サンノゼのSAP Centerで開催され、39,000人の参加者、700超のワークショップ、400近い出展者が予定されている。Microsoft、Meta、Teslaも参加。
→ 先週のAdobe -7.6%で「AI決算の無敗神話」が途切れた。Broadcom→Marvell→Oracleと3連勝した流れがAdobeで止まり、「好決算でも売られる」環境に入った。GTCは通常、AI半導体の需要サイクルを確認する年次最大のイベントだが、今年はそれ以上の意味を持つ。FOMC直前のブラックアウト期間中にFRBメンバーの発言がない以上、市場のセンチメントを左右できるのはJensenの言葉だけだ。
注目ポイント:新GPU「Blackwell Ultra」のロードマップ、光インターコネクト事業の詳細、AIファクトリーの需要見通し、主要クラウド企業のCapEx計画に関する言及。BofAは光インターコネクト市場が$73B規模に成長すると予測。Daiwaは$215、Morgan Stanleyは$260のNVDA目標株価を維持。

② FOMC:パウエル議長の「綱渡り」
水曜14:00に金利決定が発表され、14:30からパウエル議長の記者会見。据え置きはほぼ確実(CME FedWatch)。焦点は3つ。
a) ドットプロット: 年内の利下げ回数見通し。12月時点では「年2回」が中央値だったが、原油$100+GDP 0.7%+PCE +0.4%の環境で、何回に修正されるか。市場は「年内1回(12月)」をメインシナリオとして織り込んでいる。
b) パウエル議長の言葉選び: Prime Capital FinancialのWill McGough CIOは「FRBは2つの責務が逆方向に引っ張られている状態。労働市場はやや弱く、利下げを示唆する。インフレはまだ粘着的で、利上げを示唆する。差し引きゼロで、何もしない」と指摘。パウエル議長がイラン紛争と原油高にどこまで言及するかが重要。
c) 同日朝の2月住宅着工件数: FOMC当日の朝8:30に発表される。金利高止まりとインフレ再燃の懸念の中で、実体経済(住宅市場)の減速度合いを確認する最後のデータとなる。

③ 原油$100と地政学:紛争の3週目
イラン紛争は3週目に突入。先週末時点の状況を整理する。
Khamenei新最高指導者:「ホルムズ海峡は封鎖を継続すべき」と公言。米軍基地への攻撃も示唆
トランプ大統領:「比類なき火力と無限の弾薬がある。何が起きるか見ていろ」── 停戦どころか強硬姿勢を強調
Hegseth国防長官:「我々はそれに対処してきた。心配する必要はない」とホルムズ問題を軽視する発言
供給側の対策: IEA大規模備蓄放出の検討、Jones Act 30日間凍結、ロシア産原油制裁の一時緩和(Bessent財務長官)
楽観材料: WSJがインドとイランの間でタンカー通過に関する交渉が進んでいると報道。週末にも動きがある可能性
→ WTIは$98.71で金曜を終えた。$100を超えるかどうかが今週最大の心理的ラインとなる。金曜にはWTI 4月限の最終取引日があり、ポジション整理が加わることでボラティリティが通常以上に高まるリスクがある。

📈 決算スケジュール
注目度の高い銘柄:
Micron(3/18 水曜引け後)── NVIDIA GTCの翌々日。メモリ/DRAM需要がAIサーバー向けに持続しているかを確認。AI半導体サプライチェーンの健全性を測る重要指標
FedEx(3/19 木曜引け後)── グローバル物流のバロメーター。原油高・ホルムズ封鎖による輸送コスト増、貿易量への影響をリアルタイムで測定できる
lululemon(3/17 火曜引け後)── 高所得消費者の支出トレンド。Dollar Generalが低所得層の冷え込みを示した翌週、高所得層がどこまで耐えているか
Dollar Tree(3/16 月曜引け後)── Dollar Generalに続き、低所得消費者セグメントのもう1つのデータポイント
Alibaba(3/19 木曜)── 中国経済+AI投資の方向性。テンセントと並ぶ中国テック大手の決算

🧭 強気・弱気の材料整理
プラスに働きうる要素:
NVIDIA GTC── Jensen Huangの2時間キーノートがAIセンチメントを立て直せるか。BofA、Daiwa、Morgan Stanleyがいずれも買い推奨を維持
インド-イランのタンカー通過交渉── ホルムズ海峡の事実上の部分再開につながる可能性(WSJ報道)
ロシア産原油制裁の一時緩和(Bessent財務長官)── 供給増加に寄与
Wells Fargo:「紛争による海峡閉鎖は数週間〜数カ月で解消されると見ている」── 長期化シナリオは少数派
S&P 500は高値から-5%── まだ「調整」の範囲。200日移動平均線(約6,596)が支持線として意識されている
利下げ期待の後退がすでに織り込まれつつある── 「年内1回(12月)」がコンセンサス
リスク要因:
🚨 原油$100突破のリスク── WTI $98.71で週を終え、$100は目前。突破すれば新たな売りの波
🚨 FOMC ドットプロットの下方修正── 利下げ回数が2回→1回に減れば、市場が再度動揺する可能性
🚨 2月住宅着工件数(FOMC当日朝)── 実体経済の減速が想定以上に進んでいれば、スタグフレーション懸念がさらに強まる
Adobe -7.6%の余波── 「好決算でも売られる」環境が継続すれば、GTC後のNVDA株にも影響
トリプルウィッチング(金曜)+WTI限月交代── ボラティリティが通常以上に高まるリスク
3週連続マイナスからのモメンタム悪化── 機関投資家のリスク削減が続いている兆し
紛争の3週目── Khameneiの強硬路線+トランプの「無限の弾薬」。出口が見えない

今週の見どころ:
「月曜、Jensen Huangが2時間かけてAIの未来を語る。水曜、パウエル議長が30分でスタグフレーションの現実に向き合う。この2つのスピーチの間に、市場の次の方向が決まる。GTCがAIへの信頼を取り戻し、FOMCが『まだ利下げの道は閉じていない』とシグナルを出せば、3週間続いた下落トレンドに歯止めがかかるかもしれない。だが原油が$100を超え、ドットプロットが利下げ回数を削れば、スタグフレーションの現実はさらに重くのしかかる。答えは、今週中に出る。」
※本レポートは情報提供を目的として作成したものであり、特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
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