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悲鳴|さぶいぼ選手権 参加作品

コールドスリープ。クライオニクス。人体冷凍保存。


最新医療でも治せない病に侵された命を未来の技術に託す、人類の運命を繋ぐバトンリレーである。


冷凍時の細胞保護技術は20XX年に確立された一方、解凍に際した損壊は未だ不可避とされていた。



今日までは。



我々は解凍時の細胞損壊を完全に防ぐテクノロジーを開発し、ついに一人の人間を深い深い眠りから目覚めさせることに成功した。


記念すべき第一号となる対象者は、とある日本人女性だ。
様々な条件から最も安全に蘇生が見込めると判断されたのが彼女だった。
現在は脳だけの状態で保存されており、脳波の分析により覚醒、そして言語信号の発信も一部確認された。


こちらからの信号を受信し、コミュニケーションできる日も近いはずだ。
目覚めた人間が最初に”口にする”言葉は何なのか、楽しみでならない。



彼女はもう冷凍保存された患者ではない。
新たな人類史の祖となる、第二の『Lucy』といえるだろう。
その足跡はどこまでも遠い未来へと続いている。
あとは我々が続くだけだ。



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博士の発表会見に、世界中から歓声が沸き起こった。
即座に著名人や資産家からの依頼が殺到して研究所は対応に追われたが、事前の用意もあって半月後には多数の保存処置が完了した。

忙殺される日々の中、博士は人類進歩の急加速を体感していた。


その時、解析用端末からアラートが鳴った。


受信した言語信号の全解析が完了した通知だった。
違和感に博士の意識は立ち止まる。



早過ぎないか?



会見時点での解析率は数%程度、内容も明確に判定されたのは「イ」の一文字だけだったため、完全解析までには数ヵ月かかると踏んでいた。


博士の首を冷たい汗が伝う。
震える指で、解析結果を画面に表示した。


彼女から届けられた言葉を目にした博士が事態を理解するまでに、数秒を要した。



こうなる可能性も予測できたのではないか。
いや、恐ろしくて考えることができなかったのか。
保存液の中で目覚めた脳が一体"何"を感じるのか、なんて。



解析があっという間に終わるのも当然のことだった。
彼女からの信号は、たったの二単語だけだったのだから。


延々と繰り返し画面に流れ続ける彼女の言葉を前に、博士はただ立ち尽くすしかなかった。







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よしまるさんのこちらの企画を拝見して書いてみました。

ひんやりしていただけましたでしょうか。

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