宇宙と地球と気候に左右される人類の歴史〜『人類と気候の10万年史』〜【3月なんでも新書チャレンジ9】
今日は、『人類と気候の10万年史』です。

科学系の本はけっして内容を深く理解することはできないのですが、薄っぺらな表層の話でも知っていると何かとリンクする感覚を覚えるジャンルです。生物学、医学、ときて、今日は太古の気候とそれを知るための地質学です。
「過去には氷河期が何回かあった」とか「急激な寒冷化で恐竜が滅びた」とか、地球の過去に関する話はいろいろあります。それこそ子どものころに読んでいた学研の「ひみつシリーズ」の知識から、私の中では基本そんなにアップデートされていませんでした。
ところが今では地質学をきっかけにして過去の気候を知ることができるようになり、それを元に今後地球の気候がどうなっていくのか、考えることができるのだそうです。そしてどうも、地球の公転軌道と気候の間には関連があるというセルビアの地球物理学者ミルーティン・ミランコビッチの説が次々と立証されてきているのだといいます。
地球と太陽の位置関係のうち、時間とともに変化するのは公転軌道の形だけではない。地軸の向きや傾きの大きさも、それぞれ独自の周期で規則的に変動している。現代では、軌道要素と呼ばれるこれらの要因はすべて、気候に大きな影響を与えることが分かっている。また、軌道要素と気候を結びつけて考える理論のことを「ミランコビッチ理論」と呼ぶ。
地球が斜めに傾いたコマのような感じで太陽の周りを回っていることは素人の私でも理解しています。でもそれだけではなく、さらにコマの軸の向き自体も一定の周期で動いてるようなのですね。歳差運動といって2万3000年かけて軸の向きが一周するそうです。
それが本当に動いたのか、示してくれるのが「年縞(ねんこう)」と呼ばれる湖底に堆積する層で、その世界にもまれに見る堆積層が福井県南部の景勝地、水月湖にある、というのです。驚きですね。なんと7万年分もたまっているそうですよ。著者はその地質年代学と古気候学を専門にしておられる方です。湖底に堆積した泥を慎重に取り出し、調査を行ったのだそうです。
そして、ミランコビッチ理論によればこの1万年ほどはメタンも二酸化炭素も減少している時期のはずなのに、実際は両方とも増加しています。これは人の営み、つまりアジアの水田やヨーロッパの森林破壊による影響で温室効果ガスが増えているせいではないか、という仮説もあるらしく、そうなると現在の地球温暖化に関する議論はそもそも成り立たなくなる訳です。
はたして人類は冷えるはずの地球を実は温めていたのか? たいへん興味深い視点です。
もし私たちが、温室効果ガスの放出によって「とっくに来ていた」はずの氷期を回避しているのだとしたら、温暖化をめぐる善悪の議論は根底から揺らいでしまう、私たちは自然にやって来る氷期の地球で暮らしたいのか、それとも人為的に暖かく保たれた気候の中で暮らしたいのか。これはもはや、哲学の問題であって科学の問題ではない。
天文学から気候、地質と来て、哲学にまで波及してしまうのでしょうか?
科学から分かること、それを人がどう受け取り考えるか、読書から学び自分が受け取ることとも通じる永遠のテーマと同じと思いました。
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