『日本人の口』で語るモスクワ──タス通信が置いた“日露関係改善の条件”の正体(第20回)/アンチグローバリズム観測・反既成秩序のうねり
「『日本人の口』で語るモスクワ──タス通信が置いた“日露関係改善の条件”の正体
Ⅰ 温度の違和感
違和感は、文章の温度で分かる。タス通信が2月14日付で配信した畔蒜泰助氏のコメント記事は、日露関係の「完全な正常化」を“そう遠くない未来”に置き、条件まで丁寧に並べた。しかも、その条件が日本側の努力ではなく、米国の動きに連動している。これは外交記事というより、相手の意思を整形して届ける「伝言板」に近い。
Ⅱ 誰の言葉か
日本の既存メディアは「ロシアがそう言っている」で流しがちだが、国営通信社の“選び方”にこそ本音が出る。
誰を出すか、どの言い回しを残すか、何を削るか。そこに、政府会見では言えない要望が混ざる。ロシアの情報工作は、軍事や諜報の領域だけではない。言説の設計がまず来る。
Ⅲ 代弁の構図
本稿で扱うのは、畔蒜氏個人の評価ではない。タス通信が「日本人の学者の口」を借りて、どんな条件を日本に投げたのか、である。
第一に、“日本側の代弁者”を立てる狙いである。肩書は、国内向けの権威付けとして十分に機能する。
第二に、日露関係改善の条件の置き方が「日本」ではなく「米国」に向いていることである。日本に「安定政権であれ」と言い、真のレバーはワシントンにあると示している。
第三に、制度の隙間としての「例外領域」である。サハリン2や文化交流を“礎”と呼ぶ語りに、設計図がある。
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Ⅳ 構造分析
Ⅳ-1 宣伝ではなく設計
タス通信の記事は平板である。だが平板であること自体が仕掛けである。
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