約5分で振り返る大人の世界史「宗教改革①」
私は大学受験で世界史を選択し、大学受験をしましたがその当時の勉強というと、単なる単語の詰め込みであまり出来事の流れや地域ごとの横のつながりなどが理解できていませんでした。
社会人になって、改めて世界史関係の書籍を読み返すと受験時代にはわからなかった気づきや再発見があり、大人になってからの方が世界史が好きになりました。
世界史の中でもヨーロッパの宗教改革が好きなので自分なりにわかりやすい言葉でまとめてみました。
宗教改革とは
宗教改革とはそれまでキリスト教の本流であったカトリック派に対する批判運動です。批判運動を通じて後々、プロテスタント派というものが誕生します。
日本語では「宗教改革」という言葉で表現されますが英語にすると「Reformation」となり、それまでのヨーロッパ世界におけるキリスト教の土台は残しつつも、その上にあったキリスト教の考えが崩壊して、新しいキリスト教の考えを構築するという意味合いです。

それでは何故、それまでのキリスト教の破壊せねばならなかったのか?
それは西ヨーロッパを支配していたローマカトリック教会が腐敗していたからです。この時のローマカトリック教会は宗教としての「精神的拠り所」だけでなく、政治も支配してました。
また聖職は様々な特権がある職ですが、そんな聖職を金銭で売買したり、司教は独身でなければならないのですが、普通に妻子を持っていたり、やりたい放題な状態だった訳です。
宗教改革のきっかけ
・サンピエトロ大聖堂の改修

民衆からローマ=カトリック教会に対して疑問が噴出していくなか、教会側にはやんごとなき事態が発生します。それがサンピエトロ大聖堂の改修です。
サンピエトロ大聖堂とはローマ=カトリック教会の総本山。総本山がボロボロだと困るんですね。ユリウス2世の頃から改修が始まり、レオ10世へ引き継がれることになります。
しかし、困ったことが起きます。
それはサンピエトロ大聖堂の改修費用が高額すぎて教会はお金を工面する必要が出てきました。
そこでレオ10世は考えました。

この贖宥状(免罪符)というものが酷いもので
宗教改革のきっかけの出来事へ繋がっていきます。
贖宥状(免罪符)の販売
・贖宥状(免罪符)とは
まず贖宥状(免罪符)とは何なのか。
それは簡単に言うと「天国に行けるチケット」です。
キリスト教の考えでは、死んだあとに「最後の審判」というイベントがあります。「最後の審判」では皆、復活し、生前の行いからイエスに「あなたは天国、あなたは地獄」と宣言されるのです。

※この「最後の審判」があるからキリスト教は土葬です。燃やしたら復活するべき肉体がなくなっちゃうから。
当たり前ですが
皆、天国に行きたいのです。地獄なんて真っ平ごめんなのです。

だから目の前に「天国に行けるチケットがあるぞー」となると買ってしまう訳です。現代の我々からすると考えられない詐欺ですが、当時はペストなども流行ってましたから、藁をも縋る思いで購入したんでしょう。
・贖宥状販売スキームと裏工作
諸悪の根源となったレオ10世の贖宥状ですが、ドイツで販売されることになります。ローマにあるサンピエトロ大聖堂の改修費の捻出のためなのに、何故ドイツで販売することになったのか?
ここには考えられた販売スキームと裏工作がありました。
ここでは、メディチ家、フッガー家、ホーエンツォレルン家という家系が登場します。世界史やってない人からすると、初めて聞く名前だと思うので簡単な解説を置いておきます。
メディチ家
北イタリアで栄えた大富豪の家系
フッガー家
ドイツのアウグスブルクで栄えた大富豪の家系
ホーエンツォレルン家
ドイツのブランデンブルク地方の貴族の家系
まず、先ほどから登場しているレオ10世ですが、本名をジョバンニ・デ・メディチと言いまして、メディチ家出身です。
そして、このレオ10世はとんでもない浪費家だったらしく、教皇3代分のお金をたった1代で使ったと言われています。
そのため、お金がないんですね。
そしてどうしたかというとフッガー家のヤーコプ・フッガーにお金を借りて凌ぎます。

そして、ドイツのブランデンブルク地方の貴族であるホーエンツォレルン家にもフッガー家にお金を借りなければいけない事情がありました。お金を借りたのは、ホーエンツォレルン家の次男であるアルブレヒトという人物です。
アルブレヒトは次男であったので世俗権力を得ることができず、代わりに宗教的な地位を狙っていました。そこで狙っていたのがドイツのマインツ大司教というポジション。
当時のドイツ、いわゆる神聖ローマ帝国は中央集権化ができておらず、諸侯の力が非常に強く、そのなかでも7選帝侯と言われるひとたちは、神聖ローマ皇帝の選挙権を持ち政治的にも影響力がありました。その7選帝侯の1つがマインツ大司教なのです。

そんな重要なポジションを狙うアルブレヒトですが重要な問題がありました。アルブレヒトは大司教になるには若かったのです。大司教は30歳以上しかなれなかったんですが、アルブレヒトは当時23歳でした。(というか、それ以前に彼は元々聖職者でもなんでもないんですが…)
このままじゃマインツ大司教になれない!
そう思ったアルブレヒトはレオ10世に特例を認めてほしいとお願いに行きました。
アルブレヒトはレオ10世から莫大なお金を要求されました。レオ10世は金にがめついですね。アルブレヒトはお金がなかったので、フッガー家に借金をすることになります。

ここでまとめると、レオ10世はフッガー家からお金を借り、アルブレヒトもフッガー家からお金を借りる、フッガー家は2人から借金の回収をしなかればいけない。こんな構図が出来上がりました。

フッガー家は何が何でも借金の回収がしたいので、妙案を思い付きます。それが冒頭に記載したサンピエトロ大聖堂の改修です。
これを名目に贖宥状を販売して、レオ10世、アルブレヒトから借金回収を行うことを画策します。
販売スキームとしては、ローマ教皇レオ10世が認可し、アルブレヒトが贖宥状を発行し、販売を委託されたドミニコ修道会がドイツ国内を売り歩きました。
ドミニコ修道会が販売手数料として、一部を受け取り、それ以外の売上はアルブレヒトに渡りますが既にお話ししたようにフッガー家とレオ10世に借金がありますので、
アルブレヒトの収入のうち、半分はフッガー家、もう半分はレオ10世に渡ります。しかし、レオ10世はフッガー家に借金をしているので、そのままフッガー家に流れていくというキャッシュフローです。

こうやってみると、「天国行きのチケット」である贖宥状になんの宗教的な意義なんてものはなく、ただの詐欺行為です。
そして贖宥状販売を委託されたドミニコ修道会の売り方も酷く、以下のようなセールストークが使われていたようです。
・これから犯す罪に対しても有効
・死者に対しても贖宥状は有効
・お前のお母さんは煉獄にいて焼かれているぞ
1番最後のセールストークが酷いですね。
ドミニコ修道会は営業としては詐欺行為はダメですが、数字を上げる営業としては素晴らしいですが…
ドミニコ修道会のメンバーは証券会社の営業をやったら、すぐに成績が1位になりそうです。
こんな詐欺行為が行われているなか
贖宥状に疑問を思っていたマルティン・ルターという世界史でいうと超有名人物が登場します。
ルターによる95ヶ条の論題

世界史で超有名人マルティン・ルターはドイツのザクセン地方にあるヴィッテンベルク大学の神学教授でした。
ルターは信仰義認説を唱えており、聖書に書かれていない贖宥状が販売されている現状について疑問を感じていました。
信仰義認説とは
超簡単に解説すると
良い行いをしたから神に救われるのではなく
神を信じることで、神に救われるのだ。
という説です。
まずはどんな行いよりも、「聖書を大事にしようよ!大事なことは全部聖書に書いてあるよ!」とキリスト教の教典である聖書を重視しました。
聖書を重視するルターからすると
贖宥状販売は聖書に書かれていないことであり、おかしいと思い、ヴィッテンベルク大学の教会の扉にバーンとあるものを貼り付けます。
それが「九十五ヶ条の論題」であり
教会の贖宥状販売を批判した内容であったため、大きな反響を呼び、ここから宗教改革が幕開けます。

宗教改革は個人的に好きな世界史のテーマです。ルターが投じた九十五ヶ条の論題によって、宗教改革がヨーロッパ中に広まり、やがては宗教戦争まで起きていきます。出来るだけそこまでは書こうと思います。
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