耕す前に知りたい、土の力――土壌動物や微生物が支える持続可能な農地
土の中には、小は体長わずか0.01mmに満たないアメーバやミドリムシから、大は体長30cmを超えるミミズや体重100gを超えるモグラに至るまで、生息場所や食性(食べ物)の異なる多種多様な動物(土壌動物)が棲息しています。
農地に土壌動物が棲息(存在)することは、作物栽培にとってどのような意味があるのでしょうか。
土壌環境の形成に寄与する
土壌動物は有機物の分解に直接関与している微生物とは異なり、有機物を分解して植物が利用できる養分を生み出すとともに、有機質と粘土、細砂など粒径の異なる土壌粒子を混合・撹拌したり、土壌にすきまを形成したり、土壌中のリンを植物が利用しやすいように変化させるなど、作物栽培にとって重要なはたらきをしています(図1)。

とくに、微生物とともに土壌団粒の形成に大きく寄与しています。土壌団粒とは、多くのすきまをもつ丸みのある土の粒子の固まりです。この固まりがつみ重なることで団粒構造を形成します。微生物の代謝産物(ゴム状物質など)やカビ類の菌糸が土壌粒子の結合物質としてはたらき、ミミズなどの土壌動物によって、もっと大きな団粒が形成されます(図2)。
団粒の内部の小さなすきまには水を保ち、団粒の大きなすきまは、水を流し、空気が入ります。したがって、団粒構造が発達することで、水はけが良く水持ちの良い作物の生育に適した土壌を形成します。
土壌の団粒構造は固定的なものではなく、順次壊れていきます。団粒構造を維持するには、土壌動物や微生物の継続的に活動できる栽培管理が欠かせません。

土壌動物や微生物のはたらきが発揮される栽培管理を
一般に、土を柔らかくして根張りをよくするために、耕耘機やトラクターが不可欠とされています。しかし、過度な耕耘により、土壌動物が見られない畑地も少なくありません。
持続可能な農業を行うには、土壌動物や微生物のはたらきを理解して、そのはたらきが発揮されるような栽培管理を行うことが大切です。
参考文献
藤田正雄(2016)土壌動物『有機農業をはじめよう! 土づくり編』有機農業参入促進協議会, 10ページ.
