因果律ゲーム③:宇宙、最小単位、関係性、構造
概要①〜④:現在③
本稿は因果律ゲーム(The Causality Game)という哲学的枠組みを提案する。これは、学問を「因果律への盲信をルールとするゲーム」として再定義する。①では歴史的背景を説明し、②では因果律と前提条件の整理をする。①でのヒュームの「因果性が経験則」という見解を踏まえ、学問の危機を解決し、因果律に絶対視する必要性を示す。また相対性理論やコペンハーゲン解釈を否定する。③は宇宙、最小単位、構造、意識について説明する。④では利益と損害、自由、そして共同体について論じる。この論は学問の迷走を是正し、人類の共通基盤となり得る。論を発展し広げることが私の利益である。私はその手段に無知である。協力者を求める。
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より広いまとめ
英語論文
因果律ゲーム:学問の再定義 as 盲信する因果律をルールとするゲーム
The Causality Game: Redefining Academics as a Game with Causality as its Rule Based on Blind Faith
https://philpapers.org/rec/HORTCG-2
因果律で相対性理論を否定してみた!https://philpapers.org/rec/HORIIT-4
前
因果律の成立のための要素の議論
最小単位と空間的関係性と宇宙論
因果律の成立に要素は必要である。(②より) 要素について検討する。
要素の議論
前提条件と結果は構造として現れる。構造は要素によって形成される。身体は構造によって形成される。そして構造は、さらなる構造によって形成される。
要素が有限である場合、構造を持たない最小単位と、最小単位間にある空間的関係性により成立する。同様に、宇宙の全空間もまた、最小単位と空間的関係性によって成立すると考えられる。
要素が有限の場合、空間的関係性は最小単位に影響を及ぼす
空間的関係性が最小単位に影響を与えるかを考える。影響を与えない場合、最小単位は構造を形成できず拡散する。もしくは要素や関係性以外の影響が必要となる。
最小単位は構造を形成する。
もし外部からの影響があるならば、その影響の原因が必要である。構造は最小単位と空間的関係から成り立つ。もし影響がそれらだけに依存しないのであれば、特定の前提条件が必ずしも特定の結果になるとは限らない。これでは因果律は成立しない。
逆に、もし影響がそれらに依存するのであれば、その影響はそれらの内包する。したがって、外部からの影響は作用していない。
空間的関係性が最小単位に影響を及ぼす場合、前提条件と結果が成立する。因果関係が成立する。したがって、空間的関係性は最小単位に影響を及ぼす。
どの距離間の2つの最小単位からなる構造を考える。最小単位の間に影響がなければ、その前提条件から必ず同じ結果を生めない。つまりどの距離間でも空間的関係性はあり、影響を及ぼす。
要素が有限の場合、空間的関係性は距離に応じて影響が変わる
距離に関わらず、すべての空間的関係が等しい影響を及ぼす場合を考える。この場合、全ての空間的関係性が維持され、宇宙の内部は静的になる。もし影響が距離に関わらずランダムであれば、因果律は成立しない。
しかし、空間的関係性による影響が距離に応じて変化する場合、最小単位の空間的関係性が変化し得る。つまり、宇宙の内部は動的となる。したがって、空間的関係は距離に応じて影響が変わる。
有限数の最小単位の不均一な分布
最小単位は現在、不均一に分布している。この不均一性は、それぞれの最小単位に方向によって影響の差異を生じさせる。この原因は空間的関係性の差異によるものである。最小単位は構造を持たないため、最小単位それ自体には力がない。宇宙が動的であるならば、最小単位を動的にする原因は空間的関係性にある。
もし要素が無限であっても、構造の形成のために、空間的関係性が影響を及ぼす。その場合、要素はあらゆる方向から無限の影響を受ける。これにより全ての要素は静止する。
したがって、要素は有限でならない。
つまり宇宙は、内部構造を持たない有限数の最小単位と、それらの間の空間的関係性で成立する。
宇宙論:有限空間、無限時間の孤立系の非局所的実在論、決定論
要素が有限ならば空間は有限となる。空間が有限ならば、境界がある。境界は辺縁と中心を生む。辺縁と中心は均一の配置を不可能とするため、時間は無限となる。
また、因果律を成立させるには、前提条件として宇宙は外部のない孤立系でなければならない。影響を与える外部は因果律の成立を不可能とする。影響を与えない外部であれば、存在しないと同然である。
これは宇宙が、有限空間、無限時間の孤立系の非局所的実在論となる。
これは因果律に基づく世界、つまり存在論は決定論となる。
最小単位の特性
情報を空間的関係性の変化とする。
情報は最小単位の動きで決まる。動きは最小単位ごとの空間的関係性に影響を受ける。空間的関係性は最小単位の分布に依存する。
最小単位は構造を持たない。また、最小単位自体を認識することは不可能であり、認識可能な要素は全て、最小単位ではあり得ない。加えて、最小単位が生成や消滅が可能であった場合、因果律は成立しない。生成消滅は全てに無限の情報を与える。最小単位は生成消滅が不可能となる。
創発の問題
要素の集合は、要素単体の複数と比較し、要素間の空間的関係性を持つ。これが創発の原因だと考える。
認識の議論
認識は情報である。
情報は最小単位の分布によって決まる。
境界の設定や何を構造とするかも認識に含まれる。意識と無意識は認識の一部である。存在論において、認識は発生する。
構造の議論
不均一な分布における境界の設定と、構造による情報の変化
構造は、全てが空間的関係性を持つ中、不均一な分布に境界を設定することで成立する。
構造には内部と外部がある。構造外からの情報は構造で処理される。構造は構造内部の情報の和によって、構造外の情報は必ず異なる情報に変わる。その和が0の場合、情報を変化させない。これは静的でなければなければならない。しかし宇宙は動的で分布は不均一である。構造は情報を生む。このことは、情報は絶対に正確に伝わらない根拠となる。
構造による限界と、認識論と存在論の議論
認識論とは、認識の解釈の議論である。存在論は決定論的である。認識論を決定論として捉えることはできない。認識は、最小単位とその分布によって影響を受けるからである。
人間の場合、認識は身体の構造に強く影響される。行動以前の経験を通じて、行動の主体となる身体構造の概略を把握することが多い。しかし、その身体を通してしか認識ができない。その身体を完全に知ることはできない。遠く離れた場所の分布を知ることも、極めて小さなものやその動きを知ることもできない。他にも知ることができない事柄は数多く存在する。認識には常に未知の前提条件が伴うためである。
認識論は未知の前提条件を伴うために、決定論にはなり得ない。
存在論として記述可能な範囲は、因果律の成立およびその派生に限られる。
未知の前提条件は、2つに分類される。
認識によって設定された前提条件の外部にある未知と、内部にある未知である。外部の未知は存在論において影響を及ぼす。しかしその存在は認識されない。一方、内部の未知は、度合いが未知の影響を及ぼすものとして認識される。したがって、内部の未知は、「未知の影響をもたらす前提条件」と言い換えることができる。これにより自由と可能性が生まれる。
クオリア問題
異なる構造でも内部の情報が一致すれば、同じ外部の情報によって構造は同じ認識を持つ。
しかしこの条件を満たすのは困難である。
まず内部情報の一致が困難である。
最小単位は位置によってそれぞれ動きは異なる。構造の内部の情報はそれらの組み合わせである。位置の違いが一致を困難にする。同一の最小単位からなる構造も経時的に変化する。過去と将来で構造の内部の情報は同じとは限らない。
同じ外部の情報を与えることも困難である。同じ一点の情報源からの情報の場合、位置の違いが異なる情報にする。全く同じ情報源を同じ位置関係にしても、媒介により情報は変化する。
そして認識の記述も、解釈や記述のための構造も同様に一致する必要がある。
これは、同様の情報でも解釈が異なる根拠となる。
しかし人間であれば、似たような環境と位置関係において同様の構造を持つことから、赤といった単純な情報であれば、そこまで認識は変わらないことを示唆する。
構造の変化と情報の関係
構造は情報により配置を変化させる。これは外部からの情報だけでなく、内部の情報によっても変化する。
現在の構造は、時間的に近い情報ほど、強い情報ほど影響を受ける。しかし構造の変化は単純な強さだけでなく、それぞれの情報によって影響力は異なる。これは構造自体で決まる。
人間にとって身体が認識や思考、行動の基盤であり、前提条件となる。
-O/-Iモデル
同じような情報を繰り返し受ける場合、構造はすべて均一に変化することなく、傾向をもって不均一に変化する。これはある情報に対する構造内構造を作る。これは外部からの情報も内部からの情報も同様で、このそれぞれの構造内構造をO型構造内構造、I型構造内構造とする。
このことはO型はどの情報に特化するかの構造であり、I型が情報に対してどのような処理をするかに特化した構造を意味する。
構造内構造はまたその内部に構造内構造を作り、複雑なI型とO型の組み合わせで構造は形成される。これこそ知性や生命の源泉と考える。
つまり知性は一方向の進化ではなく、双方向性の進化であり、また非生物と生物の境界も恣意的なものにならざるを得ない。
石にもまた自由はあり得る。適切な情報により石も活動的になり得るだろう。
また情報によれば、構造は崩壊や分裂、部分的に均質の方へ向かう場合もあり、単純にすべてが複雑な方向性には進まない。
追記
iPS細胞も放置すれば神経細胞に分化しやすく(デフォルト分化)、これは外部情報が乏しい状況である程度安定した構造の内部情報による構造変化が起き、I型である神経細胞となやすい傾向を生んだ、とモデルと合致する。
またおそらく-O/-Iモデルは生命のみならず組織論に応用可能である。
意識の議論と、「我思う、故に我あり」への示唆
意識は、境界を設定すること、と定義できる。
意識は認識の一部である。構造は情報を変容させる。構造により認識の一部が強調される。それが意識である。同時に、構造によって弱くなる認識の部分が無意識になる。
自己も境界の設定で成り立つ。
自己という意識が途絶えることは日常でよくある。これは熱中しているときや睡眠時とかではなく、むしろ自己という意識に集中している時以外は、自己という意識がない。
同様に、交通事故で運転手が歩行者に気付かないのは、本当に歩行者は最小単位の配置に過ぎず、意識していない。
これはデカルトの「我思う、故に我あり」にある示唆を与える。確かに我を意識している時、我はある。つまり我を思っている前提条件では我がいるのは妥当である。しかしこの思索の過程でデカルトは様々なことに意識を向けて我を思っていない状態がある。つまり我を思っていない前提条件では、我を設定する境界はないのである。
関係性と拡大解釈への示唆
時間的関係性
非局所的実在論は、ある要素に対し全ての要素が影響を与える。しかしそれぞれの影響力は全く異なる。この影響力とはその要素に与える空間的関係性の変化が示す。これが時間的関係性であり、因果関係の強さと言える。
最小単位の拡大解釈の潜在性
最小単位は拡大解釈することで応用可能であろう。共同体における構成員や、同一分子の集合の中の単一の分子など、集合において要素が同質と見なすことが可能な場合、拡大解釈により近似値の計算ができる潜在性がある。
