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■ブラック・ウィドウ:S.H.I.E.L.D.'sモスト・ウォンテッド

■Black Widow Vol. 1: S.H.I.E.L.D.'s Most Wanted
■Writer:Mark Waid
■Artist:Chris Samnee
■翻訳・監修:idsam
■カラー/ハードカバー/1,999円 ■ASIN:B0BY3CSG5W


「マーベル グラフィックノベル・コレクション」第31号は、ベテランライター、マーク・ウェイドと、洗練されたアートが持ち味のクリス・サムニー(ペンシラー&インクを担当)のコンビによる、『ブラック・ウィドウ(vol. 6)』(2016年創刊)の最初のストリーアークを単行本化。

 なお、ウェイド&サムニーのコンビは、2011年創刊の『デアデビル(vol. 3)』#12-36(最終号)と、その続刊である2014年創刊の『デアデビル(vol. 4)』#1-18(最終号)で、長らくコンビを組んできており、同シリーズでそれぞれアイズナー賞も受賞している(ウェイドが2012年度のアイズナー賞ベストライター、サムニーが2013年度のベストペンシラー/インカー)。

 マーク・ウェイド期の『デアデビル』は、「デアデビル・バイ・マーク・ウェイド」と冠された単行本にまとめられているが、最初に出たソフトカバー(全7巻)と、1巻当たりの収録話数を増やした新版ソフトカバー(全5巻)、それにヘル分厚いハードカバー版の『デアデビル・バイ・マーク・ウェイド オムニバス』全2巻の3種類が刊行されている。どれも表紙が同じだったりするので購入時には注意(上は全5巻版の電子書籍)。


 で、この『ブラック・ウィドウ(vol. 7)』は、『デアデビル(vol. 4)』の完結から約半年後に、「アイズナー賞受賞のチームがブラック・ウィドウに取り組む!」とか言うアオリと共に創刊されたシリーズになる。

 本書の収録作品は、『ブラック・ウィドウ(vol. 6)』#1-6(書籍の巻頭に『ブラック・ウィドウ(vol. 7)』#1-6」とあるが、誤植だ)。この『ブラック・ウィドウ(vol. 6)』誌は、全12号、全2巻で完結しているのだが、「マーベル グラフィックノベル・コレクション」では2巻目の刊行予定はない。

 でー、歴代の『ブラック・ウィドウ』誌は、リミテッド・シリーズだったり、オンゴーイング・シリーズながら割と短命に終わったりしているため、volume 6までシリーズを重ねていながら、そのトータルの号数は、vol. 6の創刊号の時点で通巻41号目と、100号にすら達していなかったりする。

 ていうかブラック・ウィドウ初の単独誌である『ブラック・ウィドウ(vol. 1)』自体が1999年の刊行と、シリーズとしての歴史も全然若かったりする。

 そんな訳で今回は、ブラック・ウィドウが1999年に「初の自身の名前を冠したシリーズを獲得するまで」の大雑把な流れなどを紹介しようと思う(すまん、年寄りなので近年の『ブラック・ウィドウ』誌にはあまり興味がないのだ)。


 そもそもブラック・ウィドウというキャラクターは、1964年、『テールズ・オブ・サスペンス』#52(4/1964)に掲載された、「アイアンマン」の物語にて初登場した。

※『テールズ・オブ・サスペンス』誌は、元々はSFのアンソロジー誌。この当時は「キャプテン・アメリカ」と「アイアンマン」の2本のコミックを連載していた(後1968年、第100号に到達したのを機に誌名を『キャプテン・アメリカ』誌に改題し、キャプテン・アメリカの単独誌に。また同誌を卒業したアイアンマンは、単独誌『アイアンマン』誌を獲得)

 内容的には、億万長者のプレイボーイにして武器開発者トニー・スタークを、共産圏の女スパイ「ブラック・ウィドウ」が、その美貌と頭脳で手玉に取ろうとするが、スタークのもう一つの顔であるアイアンマンの先進の技術の前に敗北する……という具合。

 こちらは該当号の電子書籍版。この時点でのブラック・ウィドウ(マダム・ナターシャ)は、「工作員を従えるスパイのリーダー」といった立場であるため、ドレスにコートという出で立ち。


 マダム・ナターシャことブラック・ウィドウは続く『テールズ・オブ・サスペンス』#53にも登場し、やはり口八丁手八丁でスタークを手玉に取るも、やはりアイアンマンによって企みを打ち砕かれている。

 ちなみにこの2話は、2020年に映画『ブラック・ウィドウ』の公開に合わせ、小学館集英社プロダクションから刊行された、『ブラック・ウィドウ:プレリュード』に収録されているので、実は日本語でも読めたりする。

 こちらがその電子書籍版。映画に登場するレッドガーディアンとタスクマスターの初登場エピソード(『アベンジャーズ』#43と#196)も収録されていて、割と資料的価値は高い。

 さらにブラック・ウィドウは、『テールズ・オブ・サスペンス』#57(9/1964)にて3度目の登場を果たす。同話では、アイアンマンの人気に嫉妬したサーカスの射手クリント・バートンが、名声を求めて新ヒーロー、ホークアイとしてデビュー。しかし彼は誤解から警官に追われることとなり、そこに現れたブラック・ウィドウに巧みに篭絡され、アイアンマンと戦うことになる。

 上は同話の電子書籍版。

 その後、『テールズ・オブ・サスペンス』#60(12/1964)、#64(4/1965)にホークアイ&ブラック・ウィドウのコンビは再登場し、アイアンマンと対戦する。なお、#64において、マダム・ナターシャは、レザー調のコスチュームと、ホークアイ風のアイマスク、クモの様に壁面も歩ける特製ブーツ、武器を装備したリストバンドといった装備を身に着け、「ニュー・ブラック・ウィドウ」として登場。初登場から半年を経て、“スパイの黒幕”マダム・ナターシャは、“戦う女スパイ”ブラック・ウィドウへと転身することとなる。

 該当号の電子書籍。表紙でも「ニュー・ブラック・ウィドウ」の登場が煽られている(ただし、この頃のブラック・ウィドウは「格闘術の達人」的な設定は盛られてないので、アイアンマンに容易に撃退された)。

 と、まあ、このままアイアンマンのアークヴィランに収まるかと思われたホークアイ&ブラック・ウィドウだが、『テールズ・オブ・サスペンス』#64の翌月に刊行された『アベンジャーズ』#16(5/1965)にホークアイが登場。作中で彼は、1週間前にスパイから足を洗おうとしていたブラック・ウィドウが共産国の同胞に襲われて入院したことを明かす。そして、この一件で過去を悔いたホークアイは、今までの所業を償うためにアベンジャーズに加入させて欲しいと申し出るのだった(で、これまでの戦いで、彼の技量を知っていたアイアンマンの推薦により、ホークアイはチームに加入する)。

 こちらがその『アベンジャーズ』#16。チームの創設メンバー(アイアンマン、ソー、ジャイアントマン&ワスプ)が全員離脱し、代わりに『X-MEN』誌のヴィランだったクイックシルバー&スカーレットウィッチ、それにホークアイが新メンバーとして加わるという、大胆なメンバー交代があったことで有名な回。

 で、ホークアイのヒーロー転向を受け、ブラック・ウィドウもヒーローになる……かと思いきや、当時の制作陣は、どうもブラック・ウィドウの「元共産圏のスパイ」という立場を掘り下げることに面白味を見出したようで、彼女を中々“足抜け”させなかった。

 その後、ブラック・ウィドウは『アベンジャーズ』#29–30(6-7/1966)に再登場するが、この時の彼女は、洗脳によってヴィランに戻され、パワーマン、ソーズマンといった下っ端悪党を従えて、アベンジャーズと戦う(が、単身、一味に立ち向かうホークアイが苦戦する姿を見たウィドウは、愛の力で洗脳を脱する)。

 この一件以降、ブラック・ウィドウはアメリカに協力するようになり、諜報機関S.H.I.E.L.D.の長官ニック・フューリーの要請で、二重スパイとして共産圏に送り込まれる。しかし、二重スパイの件を伝えられていなかったホークアイは、ブラック・ウィドウが再び共産圏のスパイにもどったのだと思い込み、思い悩む……という話が、『アベンジャーズ』誌のサブプロットで描かれていく。

 やがて、『アベンジャーズ』#41-42(6-7/1967)で、二重スパイとして中国に乗り込んだブラック・ウィドウは、正体を見破られ虜囚となる。

 続く『アベンジャーズ』#43-44(8-9/1967)で、ブラック・ウィドウが囚われの身であることを知ったホークアイは、チームメイトのハーキュリーズと共に中国へ向かい、彼女を救出するのだが、その過程で遭遇したソビエト版キャプテン・アメリカのレッドガーディアンが、ブラック・ウィドウの元夫のアレクセイであることが判明する。――実はブラック・ウィドウは、人体実験中の事故で死んだ(と、伝えられていた)夫の英雄的な献身に報いるために、スパイになったのだった。

 この一件の後、ホークアイと共にアメリカに戻ったナターシャは、ブラック・ウィドウを引退し、ただのホークアイの恋人として『アベンジャーズ』誌にぼちぼちゲスト出演し、ホークアイとデートしたり、ホークアイに失言をして怒られたり、バケーションから戻ったら、なんかホークアイが死んでて泣きはらしたりと、お飾りのヒロインとしての役割を演じていく。

 やがて『アベンジャーズ』#57(10/1968、ヴィジョンの初登場号)で、ナターシャはブラック・ウィドウに復帰したことをホークアイに伝えるが、彼は「アベンジャーズの任務があるからその話は後で」と、おざなりな応対をし、謎の怪人ヴィジョンが出現したアベンジャーズの拠点へ向かう。

 この半年後の『アベンジャーズ』#63(4/1969)で、ブラック・ウィドウはスパイ活動中に悪人のエッグヘッドに捕らえられていたことが判明(またか)。ホークアイはハンク・ピム博士が開発した巨大化血清を服用して巨大化して、ナターシャを救い出す(続く#64で彼は弓を折り、2代目ゴライアスとして活動することを表明する)。

 そんな具合に、ホークアイ(ゴライアス)のトロフィー程度にしか扱われてなかったブラック・ウィドウは、#64の背景に描かれて以降、しばらく放っておかれたが、やがて『アベンジャーズ』#76 (5/1970)で、同誌に1年ぶりにゲスト出演。作中でブラック・ウィドウは、突然にホークアイとの別れを(理由も告げずに)宣言し、彼の前から姿を消す。

 これは、マーベル編集部内でブラック・ウィドウを独立したスーパーヒロインとして活躍させようという意図があったためだと思われるが、それにしても適当な退場であった(一粒涙を流してるシーンが描かれ、ホークアイにまだ未練が残っている気な描写はあるが、まあ、後々どうにでも転がせるように描いた程度のものだろう)。

 この時期の『アベンジャーズ』誌は、800ページ越えの分厚い書籍、『アベンジャーズ・オムニバス』でまとめて読める(まあ、ブラック・ウィドウの出演パートをチェックするためにワザワザこの本を買う必要はないが<じゃ、紹介するなや)。収録作品は、『アベンジャーズ』#31-58、『アベンジャーズ』アニュアル1-2、『X-MEN』#45、パロディ誌『ノット・ブランド・エック』#5, 8に掲載の短編。


 その後ブラック・ウィドウは、スタン・リーがライターを務める『アメイジング・スパイダーマン』#86 (7/1970)にゲスト出演(クモモチーフのコードネーム繋がり)。作中で、自身の経歴を一新しようと考えたナターシャは、旧来のコスチュームを捨て、ジョン・ロミータデザインの、黒一色のレザースーツ+武器を内蔵したブレスレットという新たなスタイルとなる。ついでに、今まで黒で塗られていたナターシャの髪は、赤毛に変えられた(黒のコスチュームに黒髪だと見づらいからだろう)。

 かくてここに、赤毛にスキンタイトな黒のボディスーツ+ブレスレットという、以降のブラック・ウィドウのデザインの基本が完成する。

 で、ブラック・ウィドウは、体術に優れるスパイダーマンと戦うことで、彼の技術を盗み取ろうと目論むが、スパイダーマンが怪力で彼を縛るワイヤーを引きちぎるのを見て、「あれは技術ではない」と悟り、その場を去る。

 で、彼女の登場シーンの最後には、「5月初頭に刊行される『アメイジング・テールズ』誌で、ブラック・ウィドウの連載が始まるぞ!」というプロモーションも載っていたのだった(この堂々とした宣伝が、実にスタン・リーらしい)。

 そうして予告通りに1970年5月に創刊された『アメイジング・アドベンチャーズ(vol.2)』#1(8/1970、隔月刊、ちょっとタイトルが変更された)にて、ブラック・ウィドウが主役のコミックの連載が始まる。

 これはシルバーエイジ以降のマーベルでは初の「単独のスーパーヒロインが主人公のコミック連載」だったが、残念ながら1冊丸ごとブラック・ウィドウのコミックが掲載されていた訳ではなく、「インヒューマンズ」のコミックとの2本立ての連載で、しかもブラック・ウィドウの掲載位置は後ろで、表紙に描かれる面積も少なく、要は2番手扱いだった。

 作:ゲイリー・フリードリッヒ、画:ジーン・コーランという布陣で始まった「ブラック・ウィドウ」の連載は、高級マンションに住むマダム・ナターシャが、お抱え運転手のイワンが運転する高級車に乗り込み、中でコスチュームに着替えてクライムファイターとして活動する……といった具合な、スパイドラマ風の内容となっていた。

 で、初期4号の話はプエルトリコ移民の青年が、ハーレムで居場所を得るためにデモやストライキを行い、それを快く思わない悪人にブラック・ウィドウが立ち向かう……という、妙に社会派な、地味な話が展開された。

 んで、この「ブラック・ウィドウ」の連載は、スタン・リー&ジャック・カービーという無駄に豪華な布陣でスタートした「インヒューマンズ」に比べて受けなかったようで、#3(11/1970)でフリードリッヒは降ろされ、ミミ・ゴールドが代打で登板した#4(1/1971)でプエルトリコ青年絡みの話は一旦終わり、続く#5からロイ・トーマスが新ライターになる。

 で、その後『アメイジング・アドベンチャーズ』#5-6(3, 5/1971)をロイ・トーマスが、#7(7/1971)をジェリー・コンウェイ、8号(9/1971)をトーマス&コンウェイが書いて、「ブラック・ウィドウ」の連載は打ち切られる(以降、同誌は「インヒューマンズ」の単独誌になる)。


 他方、『デアデビル』#72(1/1971)から、同誌のライターに就任していたジェリー・コンウェイは、『アメイジング・アドベンチャーズ』の脚本を書いたことでブラック・ウィドウを気に入ったようで、『アメイジング』誌での連載が終了した直後の『デアデビル』#81(11/1971)にブラック・ウィドウを登場させ、以降、彼女を『デアデビル』誌のレギュラーキャラクター兼デアデビルの恋人とし、同誌にロマンスの要素を盛り込む。

 ちなみに、ブラック・ウィドウの名字「ロマノフ」(安直なネーミングではある)は、『デアデビル』#82(12/1971)で初登場した。

 またコンウェイは、『デアデビル』#87(5/1972)から、物語の舞台をサンフランシスコに移し、同地に買ったナターシャのマンションにデアデビル(マット・マードック)が住むという同棲生活が描かれていく。

 ちなみに後年のインタビューによれば、当時コンウェイはサンフランシスコを訪れ、坂の街であるサンフランシスコをデアデビルが縦横無尽に飛び回る絵面が面白かろうと思いついたのだという(あと、スパイダーマンもファンタスティック・フォーもいないサンフランシスコで、デアデビルを「街の唯一のヒーロー」的に描きたかったのだという)。

 なお、1970年代の少年向けコミックブックで、未婚のカップルの同棲生活をガチで書くのはご法度だったので、マットとナターシャは別々の部屋に住み、ナターシャの部屋には彼女の父親代わりのイワンが一緒に住んでいる、という、気を使った描写がなされていた。

 またコンウェイは、『デアデビル』を書きつつ、ナターシャの位置づけについて色々と考えていたようで、『デアデビル』#91(9/1972)の冒頭で突然「この数週間、デアデビルのパートナーとして活動してきたが、デアデビルからの感謝が一切ない」と表明したブラック・ウィドウが、一時的にデアデビルの元を去り、独自に活動を開始するという展開を行う。なお、続く#92(10/1972)からは、同誌のタイトルは『デアデビル&ザ・ブラック・ウィドウ』と改称され、デアデビルとブラック・ウィドウが対等の存在であることが表明された(でも、当初の内容は、マンションを出て行ったブラック・ウィドウが悪人ダモン・ドランに捕らえられ、洗脳されてデアデビルを襲う……という、なんか「格下」な扱いではあった)。

 が、ほどなくしてコンウェイは『デアデビル』誌のライターを降板することとなり、#97-98(3-4/1973)をコンウェイ&スティーブ・ガーバー連名で担当した後に『デアデビル』#99(5/1972)からガーバーが単独でレギュラーライターとなる。

 この『デアデビル』#99は、『アベンジャーズ』#110-111(4-5/1973)とクロスオーバしており、まず、『アベンジャーズ』#109(3/1973)でアベンジャーズを退団したホークアイがブラック・ウィドウとよりを戻すためにサンフランシスコを訪れ、デアデビルとしょうもない「彼女は俺のモンだ」ケンカをした挙げ句、「ナターシャの決断に従おう」ということで同意したものの、そこへ『アベンジャーズ』#110でマグニートーに蹴散らされたアベンジャーズの面々が、デアデビルの応援を借りようとサンフランシスコにやって来る……という話であった。

 で、続く『アベンジャーズ』#111で、デアデビル&ブラック・ウィドウは対マグニートーに貢献し、キャプテン・アメリカその人からアベンジャーズのメンバーシップを提供される。

 が、この時デアデビルは、「チームとして活動すると、自身の持つレーダーセンスが混乱して機能しないだろう」と考え、この申し出を断る。一方で、デアデビルとの関係についてしばらく考える時間が欲しかったブラック・ウィドウは、チームに参加することとし、ニューヨークのアベンジャーズの拠点に留まる。

 ……ただし、翌月の『アベンジャーズ』#112(6/1973)で、早くも自身の思いに結論を出したブラック・ウィドウは、「自分はチームプレイヤーではない」として、デアデビルの元へ戻ることを表明する(とはいえ、この一連の話で、ブラック・ウィドウは正式にアベンジャーズのメンバーとなる)。

 そんな訳でサンフランシスコに戻ったブラック・ウィドウだったが、肝心のスティーブ・ガーバーはあんまりブラック・ウィドウを活躍させる気はなかったようで、以降、彼女は「バットマン&ロビンのロビン程度」の活躍しかさせてもらえず(要はデアデビルよりも能力的に劣る相棒として描かれ)、ついには同誌の#108(3/1974)から、タイトルも『デアデビル』に戻ってしまう。

 コンウェイ期~ガーバー期の『デアデビル』のブラック・ウィドウ登場回は、『デアデビル:オムニバス』第3巻に全部収録されている。収録話は『デアデビル』#75-119、『アベンジャーズ』#111、あと『アメイジング・アドベンチャーズ』#1-8のブラック・ウィドウの話。

 その後、ガーバーは『デアデビル』#117(1/1975)をもってライターを降板し、#119(3/1975)から新レギュラー・ライターにトニー・イザベラが就任する。なお、後年のインタビューによると、イザベラは「デアデビルとブラック・ウィドウが良いカップルだとは思えない」と考えており、ライターへの就任当初から「この2人を別れさせる」ことを目標に、ストーリーを積み重ねていく。やがて『デアデビル』#123(7/1975)で、イザベラはライターを降り、続く#124(8/1975)の前半パート、担当編集者のレン・ウェインが自ら筆を取ったこの話の中で、ナターシャはブラック・ウィドウとして独立することを決意し、デアデビルの元を去ることを表明した。

 イザベラ期の『デアデビル』は「オムニバス」化されてないので、ページ数の少ない『デアデビル・マスターワークス』の第11、12巻を買うのがまあベター。収録作品は第11巻が『デアデビル』#108-119、『マーベル・ツー・イン・ワン』#3(デアデビルのゲスト回)。12巻が『デアデビル』#120-132と情報誌『フーム』#13掲載の記事。


 なおイザベラは、自分の後任のライターがデアデビルとブラック・ウィドウの仲を復活させないように、彼が新たに担当することとなったチームものの『チャンピオンズ』#1(10/1975)のメンバーにブラック・ウィドウ(&イワン)を起用し、彼女を「抱え込む」こととする。

 ……とはいえ、イザベラは『チャンピオンズ』#7(8/1976)で早々にライターを降り、『チャンピオンズ』誌もさほど人気を得られず、#17(1/1978)で休刊する(連載中、ブラック・ウィドウとチャンピオンズは『アイアンマン』アニュアル#4(8/1977)だの『アベンジャーズ』#163(9/1977)だの『スーパーヴィラン・チームアップ』#14(10/1977)だのといったタイトルにもゲスト出演して頑張っていたのだが)。

 短期で終わった『チャンピオンズ』は、500ページ弱の「コンプリート・コレクション」全1巻でまとめて読める。収録作品は『チャンピオンズ』#1-17に、『アイアンマン』アニュアル#4、『アベンジャーズ』#163、『スーパーヴィラン・チームアップ』#14、『スペキュタクラー・スパイダーマン』#17-18、『ハルク』アニュアル#7と、ゲスト出演号も網羅。


 その後、ブラック・ウィドウは、チャンピオンズのチームメイトだったハーキュリーズと共に、『アベンジャーズ』#173-176(7-10/1978、「コーバック・サーガ」後半)にゲスト出演。

 またロジャー・マッケンジーがライターを担当していた時期の『デアデビル』誌の#155–165 (11/1978–7/1980)にかけて、割とコンスタントに登場している。

 また、ブラック・ウィドウは、マッケンジーの後任のフランク・ミラーによる『デアデビル』の連載後半にも登場し、そこそこ活躍している(#187-191(10/1982-2/1983)まで。#191がミラー期の最終回)。ちなみにミラーはブラック・ウィドウのコスチュームをアレンジし、襟のあるグレーのボディスーツ(背中と胸にクモのマーク)に、ショートカットというスタイルにしている。

※ミラー期の『デアデビル』については、『デアデビル:ボーン・アゲイン』のエントリを参照。


 他方、1980年代初頭のブラック・ウィドウは、マガジン・サイズのアンソロジー誌『ビザール・アドベンチャーズ』#25(3/1981)や『マーベル・ファンファーレ』#10-13(8, 11/1983, 1, 3/1984)にて単独話が掲載されたものの、ソロでの活躍はそれくらいで(ていうかこれらの単独話は、諸事情でお蔵入りしていた原稿を掲載したものらしい)、後は『マーベル・チームアップ』#140-141(4-5/1984)でスパイダーマンと共演したり、『アベンジャーズ』、『デアデビル』といった縁のあるタイトルにぼちぼち登場することで顔を繋いでいく(もはやこの辺一々挙げない)。

 やがて1990年代に入り、『アベンジャーズ』#329(2/1991)でアベンジャーズのメンバーが再編成された際に、ブラック・ウィドウはチームのレギュラーメンバーとなり、以降、大体毎号登場するようになる。で、この辺から彼女は、「アベンジャーズの主要メンバー」とみなされ始める(それを受けて『インフィニティ・ガントレット』他の1990年代のアベンジャーズが絡むクロスオーバーにも露出していく)。

 上は『アベンジャーズ』#329の単話版電子書籍。新メンバーをアナウンスするキャプテン・アメリカの表紙が好きなので貼る。

 こっちは、「アベンジャーズが新体制になる話」を特集したテーマ別単行本『アベンジャーズ:アイ・アム・アン・アベンジャー』。新メンバーをアナウンスするキャプテン・アメリカの表紙が好きなので貼る(リフレイン)。収録話は『アベンジャーズ』#1, 16, 137, 151, 181, 211, 221, 300, 329。


 あと、ジョン・バーンがライターを務めていた時期の『アイアンマン』の後半、#269-277(6/1991-2/1992)あたりにも、ブラック・ウィドウは準レギュラーで登場していた(筆者がこの時期の『アイアンマン』誌が割と好きなんで言及したいだけ)。

 こちらはジョン・バーン作の『アイアンマン:ドラゴン・シード・サーガ』の単行本。『アイアンマン』#270-275を収録。ブラック・ウィドウがぼちぼち出る。

 こちらはバーン期の『アイアンマン:アーマーウォーズⅡ』。『アイアンマン』#258-266を収録。ジョン・ロミータJr.の重厚なアートが素晴らしいが、ブラック・ウィドウは出ない(おい)。


 それからブラック・ウィドウは、この時期コンスタントに刊行されていた、大判の描き下ろしグラフィックノベルにもちょいちょい登場し、『マーベル・グラフィックノベル ブラック・ウィドウ:コールデスト・ウォー』#61(4/1990)で主役を張ったり、『マーベル・グラフィックノベル パニッシャー/ブラック・ウィドウ:スピニング・ドゥームズディズ・ウェブ』#1(12/1992)、『デアデビル/ブラック・ウィドウ:アバトワール』(7/1993)、『フューリー/ブラック・ウィドウ:デス・デューティ』#1(2/1995)と言った作品で他のヒーローと共演していた。


 そうする内に(盛大に省略する)、1996年度の大型クロスオーバー『オンスロート』を機に、ブラック・ウィドウの居場所であった『アベンジャーズ』誌は休刊した上に、『オンスロート』のラストでアベンジャーズの主要メンバーは次元の彼方に消え去り、そこから1997年のイベント『ヒーローズ・リボーン』に繋がる……のだが、ブラック・ウィドウは「リボーン」のメンバーには含まれず、マーベル・ユニバースに居残る。

 その後彼女は、『オンスロート』後の『デアデビル』誌にゲスト出演して、アベンジャーズ不在の街をデアデビルと一緒にパトロールしたり、元『ソー』誌の『ジャーニー・イントゥ・ミステリー』#517-519(2-4/1998)で久々に単独話を獲得したりしていた。

 やがて「ヒーローズ・リボーン」イベントが終了し、アベンジャーズの中核メンバーはマーベル・ユニバースに帰還し、新たに『アベンジャーズ(vol. 3)』#1(2/1998)が創刊されるが、ブラック・ウィドウは最初のストーリーアークに登場しただけで、#4(5/1998)で決定した新体制のメンバーには含まれなかった。


 その後マーベル・コミックス社は、インディーズ・コミック出版社の雄、イベント・コミックス社のジョー・カザーダ&ジミー・パルミオッティを招いて新規レーベル「マーベル・ナイツ」を立ち上げ、「マーベルの看板作品からやや外れるものの、根強い人気とポテンシャルを持ったヒーロー」をリバンプしたシリーズを担当させる試みを行う(コピペ)。

 でー、1998年末に刊行された「マーベル・ナイツ」第1陣『ブラックパンサー』、『インヒューマンズ』、『デアデビル』(ブラック・ウィドウもゲスト出演)、『パニッシャー』は成功を納め(『パニッシャー』は除く<おい)、気をよくしたマーベル編集部は、カザーダに更なるリバンプ・タイトルを打診し、1999年に第2陣となる『ドクター・ストレンジ』と『ブラック・ウィドウ』、あと『ウルヴァリン/パニッシャー』のリミテッド・シリーズを刊行した。

 そしてこのリミテッド・シリーズ『ブラック・ウィドウ(vol.1)』(ライターは当時高い人気を誇っていた女性ライター、ディヴィン・グレイソン)は、彼女の誕生以来35年目にして、遂に『ブラック・ウィドウ』の名前をタイトルに冠した月刊のシリーズとなった(全3号とはいえ)。

 そしてこのシリーズはそこそこのヒットを博し、翌2000年には、デアデビル、パニッシャー、ブラック・ウィドウらを主要メンバーに据えたチーム物のオンゴーイング・シリーズ『マーベル・ナイツ』#1(7/2000)が創刊されたり(全15号)、2001年には新たなリミテッド・シリーズ『ブラック・ウィドウ(vol. 2)』#1-3(1-3/2001)が刊行されたりして(ライターはグレイソン&グレッグ・ルッカ。主人公は前シリーズに登場した新ブラック・ウィドウ、エレーナ・ベロワ)、ブラック・ウィドウは「マーベル・ナイツのクールなキャラクター」として、人気を博すようになる。

 こちらは『マーベル・ナイツ』全15号をまとめた『マーベル・ナイツ・バイ・ディクソン&バレット:ディフェンダーズ・オブ・ストリーツ』。


 さらに2002年にもグレッグ・ルッカによる全3号のリミテッド・シリーズ『ブラック・ウィドウ:パール・リトル・スパイダー』#1-3(6-8/2002、やはり主役はエレーナ)が刊行される一方、2002年に創刊された『アルティメッツ』誌に、アルティメット・ユニバース版のブラック・ウィドウがレギュラー・キャラクターとして登場して人気を博したり、2004年には、本家ナターシャ主役の『ブラック・ウィドウ(vol.3)』#1-6(11/2004-4/2005)も刊行されたり、あと、ブライアン・マイケル・ベンディスがライターになった『デアデビル』誌にもブラック・ウィドウがゲスト出演したりと、色々クールなタイトルに露出していき、最終的に2010年公開の映画『アイアンマン2』に、スカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウが登場したことで、ブラック・ウィドウは高い一般への認知度を獲得。更に2012年公開の映画『アベンジャーズ』がヒットしたのを受け、ブラック・ウィドウは映画版の設定に準拠する形で「アベンジャーズの欠かせないメンバー/時にはS.H.I.E.L.Dのエージェント」というキャラクターとなり、『アベンジャーズ』関連誌でいい感じの活躍をしつつ、コンスタントに単独のシリーズも刊行される感じの人気キャラクターになったのだった(駆け足)。


 めでたし、めでたし(これ言えば大体おさまる)。

 ちなみに、今回紹介したブラック・ウィドウの登場話は、「エピック・コレクション」で結構網羅されている。

 こちらが第1巻、『ブラック・ウィドウ・エピック・コレクション:ビウェア・ザ・ブラック・ウィドウ』。収録話は『テールズ・オブ・サスペンス』#52-53, 57, 60, 64、『アベンジャーズ』#29-30, 36-37, 43-44、『アメイジング・スパイダーマン』#86、『アメイジング・アドベンチャーズ』#1-8、『デアデビル』#81、それと『アベンジャーズ』#16, 32-33, 38-39, 41-42, 45-47, 57, 63-64, 76の、ブラック・ウィドウ(ナターシャ)登場シーンと、『アメイジング・アドベンチャーズ』で単独連載を獲得するまでの一連の登場話を網羅。


 こちらが第2巻。1980年代以降のブラック・ウィドウの単独話やグラフィックノベルをメインに収録。収録話は『ビザール・アドベンチャー』#25、『マーベル・ファンファーレ』#10-13、『ソロ・アベンジャーズ』#7、『ブラック・ウィドウ:コールデスト・ウォー』、『パニッシャー/ブラック・ウィドウ:スピニング・ドゥームズディズ・ウェブ』、『デアデビル/ブラック・ウィドウ:アバトワール』(7/1993)、『マーベル・コミックス・プレゼンツ』#135、『デアデビル』アニュアル#10、『フューリー/ブラック・ウィドウ:デス・デューティ』、『ジャーニー・イントゥ・ミステリー』#517-519。

 あとこっちは、1970~90年代のブラック・ウィドウのゲスト出演回をまとめた単行本『ブラック・ウィドウ:マーベル・チームアップ』。まあ「エピック・コレクション」の補完的な一冊。収録話は『マーベル・ツー・イン・ワン』#10、『マーベル・チームアップ』#57, 82-85, 98, 140-141、それと『マーベル・コミックス・プレゼンツ』#53, 70, 93に掲載の短編。


 上はディヴィン・グレイソンの『ブラック・ウィドウ(vol. 1)』以降の一連のリミテッド・シリーズをまとめた『ブラック・ウィドウ・モダン・エラ・エピック・コレクション:ザ・イッツィー・ビッツィー・スパイダー』。『ブラック・ウィドウ(vol. 1)』#1-3、『ブラック・ウィドウ(vol. 2)』#1-3、『ブラック・ウィドウ:パール・リトル・スパイダー』#1-3、『ブラック・ウィドウ(vol. 3)』#1-6、それと2005年刊行の『ブラック・ウィドウ:ザ・シングス・ゼイ・セイ・アバウト・ハー』#1-6。

  
  

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