サイドFIREして、もうすぐ一年。実際にやったことと、思ったこと
昨年の7月初めに退職届を出し、8月末に会社を辞めた。
ちょうど一年前の今頃は有給休暇を消化していたので、厳密にはまだ退職前だったのだけれど、すでに会社へ行くことはなく、気持ちとしてはサイドFIRE生活が始まっていたように思う。
ちなみに、妻と娘は海外で生活しており、私は日本で一人暮らしをしている。独身でもなく家族持ちともいえない状態、そんな中でサイドFIREへ踏み切り、生活していく中で、どんなことを思ったのかを、ラフに残しておこうと思う。
退社してすぐ。思ったより普通に馴染んでいった
会社を辞めた直後は、かなり大きな解放感があった。
ただ、その解放感は、何か劇的に人生が変わったというよりも、少し長めの休暇が始まったような感覚に近かったと思う。
とはいえ、普通の長期休暇とは圧倒的に違うことが一つあった。
休暇が終わったら、また会社に行かなくてはならない。これまでの連休には、終わりが近づくにつれて、そういう小さな憂鬱が必ずついてきた。
でも、今回はそれがない。
数日後も、その先も、会社に戻らなくていい。むしろ、ずっとこの生活が続くのだと思うと、これからの時間が妙に明るく見えた。
ただ、会社に行かない生活も、しばらくすると普通の日常になった。
もともと出不精なこともあって、退職したからといって積極的に外へ出かけるようになったわけではない。たまにプールへ泳ぎに行くくらいで、ほとんどの時間はPCに向かって仕事という名の創作活動をしたり、Netflixを見たりして過ごしていた。
祝日だからといって特別にうれしいわけでもなくなった。むしろ連休になると、どこへ行っても混んでいるので、できれば家にいたいと思うようになった。会社員時代とは、曜日や休日に対する感覚がかなり変わったと思うがそれでも、特別な生活をしているという感覚は長くは続かなかった。思っていた以上に早く、会社へ行かない毎日に馴染んでいった。
写真家として、取り組んだあれこれ
会社を辞めた後、副業だった写真業は本業(個人事業主)になった。
もともと副業として少しずつ育ててきた「カメラを使って小さく稼ぐ」事業だったが、退職後はそれをもっと伸ばしてみたいと思っていた。ただし、毎日忙しく働き、売上をどんどん伸ばしたいという伸ばし方ではなかった。
一般的なカメラマンのように撮影件数や活動エリアを広げ売り上げを狙っていくというよりは、もう少し違う角度から写真家としての可能性を広げてみたかった。
それは、たとえばブログやnoteを書いたり、HTMLを使ってカメラの設定を学べるシミュレーターを作ったり、個展を開いたり、フォトコンテストに作品を出したりといった、お客様との接触やサービスを拡張するというより、自分の活動軸・表現軸を太くするという側面が強く、思いついたことをどんどん試していった。
そして、それらの試行が売上に比例したかといえば、まったくそんなことはなかった。
写真家としての「売上」について
自分の表現や事業の骨格を作ることには力を入れたが、実際に撮影を依頼してくれるお客様との接点は、副業時代よりも少なくなっていった。
活動のために融資を受けたり個展を開いたりとかなり金と時間を投資したが、それが売り上げにつながるということはなかった。
結果としては、売上のためにお客様の求めるサービス導線を作り込んで撮影機会を増やすことに専念していた副業時代に比べて、事業的な収入としてはどんどん下がっていった。
ただ、売り上げは立たない一方で、知名度は上がっていった。
事業としての売上は右肩下がりになったが、生活費を写真で稼がなくてもいいという余裕があるからか、悲観的に感じることはなかった。
何よりも「お金のためにやる」「稼がなくちゃいけない」となると、途端にこの活動の意味が薄れるから、今くらいの温度感で長く続けていければいいのかな、と思って自分なりの距離感を見つけられたような気がしている。
暇な日は、普通に暇だった。けれど・・・
FIRE後の生活について話すと、「毎日何をしているの?」と聞かれることが多い。
正直に言えば、特に何もしていない日が多い。
YouTubeを見たり、ネットを眺めたり、猫と過ごしたり、昼寝をしたりしているうちに一日が終わる。何かをやろうと思っていたのに、気づいたら夕方になっていた、という日も普通にある。
ただ、そういう時間帯の中で、何かやってみたいなと思えるようなこと(写真に関することが多い)が生まれた際にはすぐに積極的に動ける嬉しさがある。そうした新しい思いつきの中で、個展の開催が生まれたりするし、思いつきをすぐに実行できる時間的な余裕あるおかげで生まれたての発想を実現できる機会が圧倒的に増えた。
この「思いつきをすぐに実行できる」は思っていた以上に素晴らしい。
会社員時代には、思いつきがあっても、それを実行できるのは平日に仕事が終わった後とか、休日の空き時間のみだったりで、途切れ途切れになってしまっていた。そのせいでやる気が失われていったり、やる意味を考え始めた結果、お蔵入りになったことも少なくなかった。
だが、今は思いつきがあった瞬間に、一気に前に進められる。
おもいついたままの速度感で実行に移せる時間的な余裕は、多くの空白時間を持っているこの生活ならではだと思うし、この活動余力こそが私の求めていたものだという気もする。
家族が海外にいる、特殊な生活
私の妻は海外で働き、娘も妻に帯同して海外の学校へ通っている。
その中で、自分だけが日本で会社を辞めて日本で一人暮らしをしているので、どこか中途半端な状態でもあった。
一人暮らしといえど、正確には猫やフクロモモンガを飼っているので、完全な一人暮らしではない。むしろ動物たちの世話があり、寂しさを感じることなく生活している。
我ながら、少し変わったサイドFIRE生活をしていると思う。
自由な時間は多いけれど、その時間を家族全員で楽しめるわけではないし、動物たちのことを考えると、自由気ままに旅へ出られるほど身軽でもない。
ただ、来年、家族が日本へ戻ってくる予定だ。
来年は、生活はかなり変わると思う。
今より家事は増えるだろうし、家族の予定に合わせて動くことも増える。
おそらく、ほぼ専業主夫のような形になるので、そのときは家族の生活をしっかり支えていきたい。
そして、将来的に犬を迎えたいと思っている。
家族や動物との時間を優先するために仕事を辞めた部分もあるので、会社を辞めてよかったと思う場面は、これからさらに増えていくのだと思う。
資産は増えていくのに、お金は使いにくくなっている
会社を辞める前は、一定の資産があれば、お金の不安は小さくなると思っていた。
だから、そのために共働きの利を生かして毎月できるだけ多くのお金を投資に回し、資産を積み上げてきた。
そして、今は自分の固定給がなくなり、妻の扶養に入っていて、日々の主な生活費は妻の給与からやりくりしている。
幸いなことに、積み上げてきた資産を取り崩さず、妻の給与だけで生活できている。相場や為替の影響もあり、今のところ資産も増え続けている。
数字だけを見れば、会社を辞める前より資産は増えているけれど、不思議なことに、お金は以前より使いにくくなった。
会社員時代は、何かにお金を使っても、翌月にはまた固定給が入ってきた。新しい機材や、やってみたいことが見つかったときも、今より勢いでお金を出せたように思う。ただ、今は新しいことを始めたくても、以前より慎重になった。衝動買いもほとんどしなくなった。
積み上げてきた資産をできるだけ減らしたくない、という感覚があるのだと思う。資産形成では「増やすこと」に慣れてきたけれど、自由な時間や経験のために「使うこと」には、まだ慣れていない。
ここが、ファットFIREとの違いなのかもしれない。
すぐに生活が立ち行かなくなるような不安ではないけれど、多少の不安は常に残る。ただその不安をなるべく減らしておきたくて、無駄使いには慎重になっていると言えるかもしれない。
会社を辞めたことを後悔しているか
会社を辞めたことは、まったく後悔していない。
毎日がとても充実しているかと聞かれれば、そうでもない。暇な日もあるし、お金の不安も完全にはなくなっていない。
圧倒的に「稼ぐ力」は無くなった。
というか、サイドFIREすることで稼ぐ力を廃棄したといってもいいのだろうと思う。
それでも、会社員に戻りたいとはまったく思わない。
会社を辞めて得たものは、好きなことだけをして暮らす華やかな生活ではなく、嫌なことを生活のために延々と続けなくてもいい生活だったように思う。
会社員時代の時間は、自分のもののようで、完全には自分のものではなかったから。休日も仕事の疲れを回復するための時間になっていたし、何かやりたいことが見つかっても、翌日には会社へ行かなくてはならない。ようやく没頭し始めた頃に時間切れになり、途中で手を止めることも多く、そういうこともストレスになっていた。
この一年で、人生を変えるような大成功をしたわけではないけれど、、自分の時間が自分のところへ戻ってきたことは、やはり大きかったと思う。
来年には家族が日本へ戻り、今の一人暮らしも終わる。将来的には犬も迎えたいと思っているので、生活は今とはかなり変わっていくはずだ。
そのときには、会社を辞めてよかったと思う場面が、今よりもっと増えているような気がする。
あとは、もう少しお金を使うことに慣れていきたいな。
まとめ
各項目に分けてそれぞれまとめておこうと思う。
生活面(家族としての側面)
妻と娘が海外にいるため、日本でほぼ一人暮らしをしている。自由な時間は多かったものの、猫やフクロモモンガの世話もあり、旅をしながら暮らすような生活ではなかった。来年に家族が本帰国予定。生活面(金銭的な側面)
健康保険、国民年金共に妻の扶養に入っている。
妻の給与で生活費を賄えていることや、相場と為替の影響もあり、今のところ資産を取り崩さずに生活中。資産面
退職を決めた頃は約6,000万円だった資産が、現在は約8,000万円まで増加。個人事業面
副業から本業へ移行した写真家業。売上は右肩下がりである一方で、個展やフォトコンテスト入賞、ブログ、note、HTML制作など、表現や事業骨格を強くする活動はかなり進んだ。精神面
会社に行かない生活には、思っていた以上に早く馴染んだ。暇な日や何もしない日があっても、それほど苦にはならなかったし、会社員に戻りたいと思ったこともない。ただし、資産は増えているのに、お金を使うことには以前より慎重になった。自由な時間を手に入れることと、その時間のためにお金を使うことは、また別の慣れが必要なのだと思う。
