半導体製造工場のインフラ整備

今回記載するのは半導体製造工場(ファブ)で使われる半導体製造装置ではなく、ファブを回すために必要となる分野を担当している会社群

例えばクリーンルームや半導体製造に必須な超純水を作る設備などを担当している会社などだ。

まずはこのファブインフラを見るうえで重要となるテーマを紹介する

  1. AMHS
    工場内での半導体の物流を自動で行うシステム。機械で自動で行えるので人がいない=効率的、衛生的(クリーンルーム内)。
    https://www.youtube.com/watch?v=XKXZT-BBUEE
    ダイフクが公開しているAMHSのイメージ動画

  2. 超純水
    ウエハ洗浄、薬液処理後のリンス、工程間の汚染除去に超純水が使われる。先端半導体の微細化が水の純度要求と水処理設備の複雑性を高めるため重要。

  3. 真空ポンプ
    成膜やエッチングなどのプロセスチャンバー内を低圧・真空に保つ装置。
    エッチング、成膜、イオン注入、EUV露光など多くの工程で真空環境が必要になり、この需要が微細化や先端化に伴い上昇している。

  4. 排ガスなどの有害物質処理
    排ガス除害装置はプロセス後に排出される有害ガスや温室効果ガスを処理する装置。先端化により工程数が増え、3D NANDの高層化やGAAのような複雑構造が増えるほど、真空ポンプ、排気、除害の重要性は高まる。

  5. 真空バルブ
    真空バルブは、プロセスチャンバーを隔離したり、圧力を制御したり、ウエハ搬送時に真空環境を維持したりする部品。真空プロセスの安定性に直結するため、顧客認定・品質要求が非常に厳しい。

  6. RF・ガス・真空制御

  7. フィルターや汚染制御
    液体薬液・ガスの純度、ウエハや基板の清浄度を確保するためのフィルター、精製、汚染制御ソリューションを提供し、顧客の歩留まり、デバイス信頼性、コスト改善に貢献する。

ではそれぞれで注目すべき企業を見ていこう

ダイフク:6383 JT(村田機械:非上場だが重要)

AMHSにおいてこの企業は最重要。
特に半導体工場においてマテリアルハンドリングと呼ばれる、モノを効率的に動かすシステムでの市場シェアは5割を超えている。

ダイフクはクリーンルーム向けAMHSについて、高効率、清浄度、低振動を訴求し高い評価とシェアを得ている。

ファウンドリに対し非常に高いプレゼンスを持つためファウンドリの動向チェックには大いに役立つ。
先端ファブ新設の初期投資に直接連動する企業なので決算も確認しておこう。

2026年4月には半導体生産ライン向けクリーンルームシステムの新工場棟を完成させ、AI需要拡大に伴う半導体需要に対応するため、国内クリーンルーム事業の生産能力を30%増強すると説明があった。

世界的に高まるAIデータセンター用の半導体製造に注力→今後の半導体製造気運が見れることが大きなポイント。

また、ダイフクが1位ではあるが同じく日本の村田機械に関しても半導体工場での市場シェアは高く存在感もあるのでこの2社の動向を追いかけることが効率的

オルガノ 6368 JT

水処理エンジニアリング企業で、半導体向けでは超純水製造設備、排水処理、排水回収、資源回収、メンテナンス・運転管理を提供

半導体ファブでは、ウエハ洗浄、薬液処理後のリンス、工程間の汚染除去に超純水が使われる。半導体微細化などが進めば進むほどこの洗浄機会が大きく増加するため超純水需要も伸びる。

半導体製造工程のうち洗浄工程は約30%を占め、2nm以下の先端ノードでは微粒子が歩留まり悪化要因になるが、
オルガノは、1ppt以下という極めて低い不純物濃度、1時間あたり1,000トン規模の超純水供給、先端工場で80%超の水回収・再利用といったクオリティでサービスを提供できる。

ただこの分野はあくまで超純水の設備提供とメンテナンス、アフターケア関連がメインなので直近の需要と直結するというよりはあくまで半導体製造工場の開発需要と連動しやすい点に注意。

荏原製作所(6361 JT)

別の記事でもコメントしたが↓
荏原製作所はファブインフラを担当している企業であり、かつCMP装置を作る半導体製造装置メーカーでもある。

ただ今回はCMP装置やめっき装置などの半導体製造装置メーカーとしての部分ではなく、ファブインフラよりの分野、つまり

ドライ真空ポンプ
排ガス除外装置

これらの分野の面から荏原製作所を考える。

ドライ真空ポンプ
成膜装置、エッチング装置、EUV露光装置などのチャンバー内からガスを抜き、真空状態を作る装置。
→この分野で荏原は世界シェア2位。

排ガス除外装置
半導体製造で使った後のガスを処理する装置。エッチングや成膜では人体や環境に悪影響を与える可能性のあるガスが使われるので分解・無害化して排出するための装置

Edwards(EW US)、Atlas Copco(ATCO-スウェーデン)

EdwardsはAtlas Copco傘下の真空・除害ブランド。Edwardsは1919年創業で、2014年にAtlas Copcoグループに加わった。

エドワーズのドライ真空ポンプシェアは1位。
それ以外にも排ガス除外装置など、除害・サービスをグローバルに束ねる最大級のサブファブプラットフォーム

EUV露光や先端ロジックで水素や特殊ガスの扱いが増え、真空・排気・除害が単なる補助設備ではなく、工程安定性と環境対応の中核となっており、同社の存在感が大きく高まっている。

MKS(MKSI)、ダイヘン(6622)

半導体製造の過程ではエッチングなどプラズマ加工と呼ばれる手段が多く用いられ、その需要、重要性も高まっています。

そのプラズマを安定して生成、制御するための機械を高周波電源(RF電源)といいます。

プラズマは現在半導体の微細化、高度化でさらに高い技術力が求められているエッチングなどの部分で用いられるため、当然このプラズマの安定生成、制御にも高い技術ハードルがあります。

その制御を行うRF電源を世界トップシェアで製造販売しているのがMKSやダイヘンです。

VAT

スイスの真空バルブ企業。
真空バルブは、プロセスチャンバーを隔離したり、圧力を制御したり、ウエハ搬送時に真空環境を維持したりする部品で精密さが要求され、スイッチングコストが高い。

半導体バルブにおいてのシェアは8割。
真空プロセスの増加を最も純粋に反映する公開企業の一つ。

エッチング、成膜、イオン注入、EUV、検査・計測など、真空を必要とする工程が増えれば、バルブの数量、精度、耐久性、低パーティクル性の要求が上がり恩恵にあずかれるし、その動向を同社決算から見ることができる。

※真空ポンプは空気やガスを抜く装置、真空バルブはガスの流れや圧力を調整する弁。真空ポンプは半導体製造工場のCAPEXに連動するが、真空バルブは製造半導体の数量や先端工程の需要増加に、より連動する。

Entegris

Entegrisは別記事での半導体素材の分野でも記載したが、ここでも出てくる。
ファブインフラという観点で見るのであれば同社はAPS(Advanced Purity Solutions)という

液体薬液・ガスの純度、ウエハや基板の清浄度を確保するためのフィルター、精製、汚染制御ソリューションを提供し、顧客の歩留まり、デバイス信頼性、コスト改善に貢献する事業が重要。

これも最近大きく需要が上がっている。というのも、、先端半導体では汚染許容度が極端に低下し、フィルター・精製・搬送部材の価値が上がるためだ


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