シリーズ短編小説:友人Pと俺を結ぶ何か #3
「え、やば!」
俺より前方に座る女子グループの誰かが声を漏らす。
ぼそぼそと自己紹介を終えた彼は、元いた席に戻ろうと歩き出したが先の女子グループに呼び止められていた。
この時間を受け持った教授が「後にしなさい」と呼びかける声は優しすぎて彼女たちには届かない。
「『東京から来ましたー』とか言ってなかった?今。」
一際大きな声で彼を呼び止めた女は、女子グループ3人の中でもとびきり背が高く、コンビニで売っているモンブランのような色の頭をしていた。
「ウケんだけど。」モンブラン(仮称)は急にパチパチと手を叩きながら笑った。何が面白いのだろうか。
「えアパートこの辺?」
モンブランの左隣に座る女がナンパまがいの発言をし始めた。彼女は落ち着いた髪色だったが、アホ毛を許さないピシッとしたストレート髪と濃いめの化粧が、彼女の『美』に対するこだわりを感じさせていた。
「肌白くない?うらやまなんだけど。」テーブルに肘を置き、しげしげと彼の顔を覗き込んだ。
「県外から人来ることあるんだー。」
モンブランの右隣に座るショート髪の女は、さして興味もなさそうに自身の爪を眺めていた。
「つか何しにここ来たん?」ちらと目線だけを彼の方に向けて足を組む。…勉強をしにきたのではないだろうか。
俺の目の前で繰り広げられる一連の流れが思いの外愉快だったため、俺は心の中でひとしきりツッコミを入れた。
早くこの時間が終わって自由になりたいと思いつつ、絡まれた彼がどんな反応をするのかも気になっていた。
そうして部屋中の注目を浴びた彼は、絡んできた彼女たちに対して少し考え事をするように目を瞑り、自身のこめかみを人差し指でトントンと小突いて、——手をぱっと広げた。
「馬鹿共が。授業中だぞ。」
彼はぼそりと正論を呟いてその場を去った。
「は?おもんな」
モンブランが不機嫌そうな低い声を響かせる。
後には気まずい空気が残された。
