娘が夫の愛情おにぎりを食べられなくなったワケ
うちの子どもたちはもう成人しています。
中学生や高校生のころは、部活の朝練や塾通いで朝早く出かけ、深夜に帰宅するという生活リズムでした。
わたしたちは子どもが頑張っていることを応援したくて、必死でサポートしてきたつもりです。
しかし、子どもは子どもなりに親に気をつかい、自分の気持ちを抑えることがあるんですよね……。
*
当時、高校2年生の娘は、毎朝5時50分に家を出ていました。
1限目の授業の前に「0限」という理系だけの授業があったからです。
夜、娘が塾から帰るのは0時過ぎ、朝は5時に起きる生活。
わたしも0時まで娘の帰りを待ち、小腹が空く娘のために軽食を出してから就寝。
朝は4時半に起きて、朝ご飯とお昼のお弁当を作ってフルタイムの仕事へ行っていました。
1週間ほど経ったころ、寝坊して朝ごはんもお弁当も作れなかったことがありました。日曜日以外の週6日、その生活リズムを続けていたので寝不足になってしまったのです。
このまま続けていたら、わたしが倒れてしまうかもしれない。
そんなことになったら、夫は料理ができないので大変です。
仕事もできなくなるかもしれません。
瞬時にそう考えました。
困ったわたしは、夫に助けて欲しいとお願いしました。
料理ができない夫ですが、「お弁当は作れなくても、おにぎりくらいは作れるはず」そう思ったからです。
だって、おにぎりって具を入れてにぎって、ノリを巻くだけですからね。
さっそく、”おにぎりづくり”をレクチャーすると、夫は「簡単じゃん」とでも言うようにニコニコ。
実際ににぎってもらうとまあまあの仕上がり。
「すごいじゃん!形もキレイだし、わたしよりうまいかも」と褒めると「オレもまんざらじゃないよね」と、気をよくして、次の日から作ってくれることになりました。
毎日帰りが遅い夫。
23時ころに帰ってくるのが通常で、寝るのは1時過ぎ。
それでも娘のために朝5時に起きて、おにぎりを作ってくれました。
自分の役割を嬉しく感じていたのか、娘のためだからなのか、それともどちらもなのかわかりませんが、とにかく、彼は毎日5時に起きてくれたのです!
わたしが寝坊しそうになっても夫が起こしてくれるので、朝ごはんとお弁当は毎朝作れました。
夫はよっぽどおにぎりづくりにやりがいを持ってくれたのか、週末の買い出しでも、おにぎりの具をスッと買い物かごに入れてくれます。
いままでそんなことをしたことがなかったのに、決まって「昆布」と「鮭フレーク」が入っていました。
夫の協力のおかげで約2年間、朝ごはんとお弁当づくりを頑張れました。
娘が高校を卒業するとき
「朝早く起きて頑張ったよね」と、夫婦で労いの言葉をかけあったほどです。
それから月日が経ち、娘が大学2年生の頃。
「久しぶりにパパがおにぎりを作ろうかなー」と言うと、娘が苦笑い。
どうした?と聞くと、パパのおにぎりが「食べられなくなった」というのです。
夫は「えぇぇぇぇーーー!なんで?美味しくなかったの?」とビックリ。
「パパが作ってくれるのは嬉しいけれど、おにぎりがギューッとにぎられていて、ごはんが固くなってて食べにくかったんだよね」と娘。
それだけじゃなく、前からあまり好きじゃなかった昆布が毎回おにぎりに入っていたから、高校生のころは頑張って食べていたけど、いまは食べられなくなったというのです。
パパのことを思うと、言いにくくて言いたくなかったけど……
と、娘は本音を聞かせてくれました。
夫はおにぎりの形を整えようと何回もにぎっていました。
きっとそれでお米が固くなっちゃったんでしょうね。
それだけでなく、昆布があまり好きじゃないとわかっていたら、毎日入れることはなかったでしょう。
毎朝、頑張って作っていたパパに「昆布はやめて」と言えなかった娘の気持ちもわかります。
わたしたちは、子どもには「なにも気にせず頑張って欲しい」と思い、応援したくて、自分たちにできることをしてきたつもりです。
しかし、こっちが一生懸命やっても、子どもなりに言い出せないことや我慢していることはあるんだと気づかされました。
25歳になり、ひとり暮らしをはじめた娘は
「いま考えると残酷だよね……せっかくやってくれたのにさー」
「お弁当を作ってもらえるありがたみを感じる……」
と優しい言葉をくれました。
後悔先に立たずですが、せめておにぎりの具はバリエーションを増やすことをオススメいたします。
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