くだもの課金かぞく。
桃、598円。
すいか、1580円。
高い。
桃1パックで、ファミレスの日替わりランチ。スイカを一玉買おうものなら、ちょっといいお店のパスタセットが食べられる。
カニカマ、納豆、牛乳、豆腐。
スーパーで買う、いつもの子たちも3年前より30円くらいは上がった気がする。
それでも、私たちは「くだもの」を切らさない。
血眼で68円の納豆を探すくせに、産毛の生えたピンクの桃を見つけて
「うん、それ美味しそうだよね。」なんて微笑んでカゴに入れてしまう。
どうも弱い。
よわすぎる。
くだものに、弱い。
はじめて夫の家に挨拶に行った時、うちの両親とはタイプが違うとはっきり思った。
住む場所も顔立ちも、着ているものの系統も違う。一番はなんだろう。纏う雰囲気だろうか。
例えを探していたら、頭に浮かんだのは豆腐だった。
夫の家族は、真っ白な容器に姿勢よく充填された絹豆腐。やさしい甘みで、つるっとしていて、運ぶときはていねいに。冷ややっこにするなら、お醤油をちょろっとかけて飲むように食べたい。
私の家族は、商店街のとうふ屋さんみたいな感じ。銀色のお風呂のような桶に、ずしりと沈んでいる。空気の穴も少しあったりして、断面はぼこぼこ。重めの口当たりで、そのパンチには生姜や茗荷がよく似合う。
うまくやっていけるかな。
不安だった結婚一年目、期待は裏切られた。
11月、夫の両親から大きな段ボールが届いた。
箱をあけると、きみどり色の丸い帽子が並ぶ。
つるっとした青リンゴが、かわいらしく並んでいた。「名月」という品種のリンゴらしい。
1月、また大きな段ボールが届いた。
箱を開けると、たくさんのミカンだった。
義母の実家はみかんの有名なところで、裏山にはミカン畑がある。その年に採れたポンカンや伊予柑を、おすそ分けしてくれた。
5月、私の両親から大きな段ボールが届いた。
いつもの大きさと重さに、ピンときた。
わたしの大好きな5月のスイカだ。
小ぶりだけれど、ぎしっと詰まった真っ赤な実。
濃い、夏の始まりだ。
8月、実家から長方形の段ボールが届いた。
お盆明けに送られてくるものと言ったらあれしかない。ピオーネ、クイーンニーナ、シャインマスカット、巨峰。包み紙にまで甘い香りが染みついている。早く冷やして大切に食べよう。
旬のくだものを送り合う親たち。
話し合いでもしたのかと思うくらい、きれいにチーム分けされて。
AW(秋冬)担当の夫の両親。
SS(春夏)担当の私の両親。
旬のおいしい果物を、いつの間にか手配して送ってくれる。
交わらないと思っていた家族には、
ちゃんと共通点があった。
そう。
我々は、くだもの課金かぞく。
「ママ、今日のフルーツなぁに?」
「今日は、もも冷やしてるよ。」
家族が増えるということは、
買いたいくだものが増えるということかもしれない。
598円。
やっぱり高い。
でも、あの顔が見たいから。
またカゴに入れてしまうんだろう。
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ありがとうございます。毎日食べる納豆貯金に使わせていただきます。あっついご飯に乗せて食べます。また書きます!