【吹奏楽の書き方①】豊かなサウンドをどう書くか。|リードの名曲から学ぶ
「管弦楽法(=orchestration)」という、オーケストラの楽譜を書くための手法が存在します。
それを基準に考えると「管弦楽」の「弦」がない吹奏楽。
吹奏楽では、どのようなオーケストレーションが施されているのでしょうか。
オーケストラではオーケストレーションの名著が多く存在しますが、吹奏楽では日本語訳版も愚か、ほとんど存在しません。
オーケストラ→吹奏楽、という巨匠の編曲例をみるのもいいですが、吹奏楽オリジナル曲、特に今回はAlfred Reed作曲『Armenian Dances Part1』を分析していきます。
第1弾となる今回は「豊かなサウンド」にフォーカスします。
ffやfの強奏部を取り上げ、サウンドの断面図を分析するような形で、どの楽器がどのように積み上げられて響いているのか。
音域も考慮し、「豊かなサウンド」の傾向をつかんでいきたいと思います。
今回は、いわゆる盛り上がりどころであるTutti部分を取り上げます。
前置き
ひとくちに作曲と言っても、様々な要素を含んでいます。
「和声」「旋律(対位法)、リズム」「音色(ミュート等の器具や演奏技法)」「楽器編成」「オーケストレーション」「記譜」「作曲や演奏の背景」といった観点がお互いに絡み合って成立しています。
第1回、第2回では狭義の「オーケストレーション」について触れます。
※ 今回資料として用いるスコアは筆者がDoricoで再現したものです。
※ オプション楽器は除いています。
※ 細かい表記は盛り込んでいませんのであしからず。
音域と音色
管弦楽の作曲におけるバイブル的なリムスキーコルサコフの『Principles of Orchestration』ですが、日本語訳でまとめられたサイトがこちらになります。
音域についても記述があり、特に木管楽器に関しては形容詞を添えて音質が示されています。


次のサイトも音域について詳しい記述があります。
倍音列と理想配分

吹奏楽指導でさかんに触れられる倍音列についてですが、作曲にこそ重要になる音列です。
C2(基音)が単独で鳴っているときに、この倍音列が小さい音で鳴っている というものです。
基音の音色によりますが、原則、倍音は第X倍音のXの値が大きくなるにつれなっているその倍音の音量は小さくなります。
ですので第6倍音以降はほとんど聴こえません。

基音と第2倍音(画像ではB♭)はほぼ同等で、第6-7倍音(画像ではF-A♭)あたりから糸のように細くなっています。
その、比較的強く鳴っている基音から第6倍音までを重ねて鳴らしたものが和音(ドミソ等の三和音)です。


吹奏楽指導者の甘粕宏和は、上記のような音の積み上げをサウンドトレーニングの1つとして紹介しています。
倍音列に従っており、基音,2,3,4,5,6,8,10,16,32(倍音)の順に積みあがっています。吹奏楽の理想的な配分といえます。
ちなみに、各倍音同士の重みの比について、秋山紀夫は「ド:ソ:ミ=3:2:1」と述べています。
三和音揃う基音~第6倍音までを見たとき、ドは基音・第2倍音・第4倍音の3つ、ミは第3倍音・第6倍音の2つ、ソは第5倍音の1つ、というのが根拠です。
細かい部分はとばしますが、
倍音列に従って鳴らす
↓
物理的に濁り(衝突)のない音の集合体
↓
自然なサウンド
ということになっています。
ただ、次の点に注意してください。
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