家族でもない友達でもない、でも気にかける存在【ペア活動体験談シリーズ】
今回はプロジェクトポンテに参加しているMちゃん(若者)&Sさん(メンター)ペア (2024年度のマッチング)にメンタープログラムでの経験を聞いてみました!
📌プロフィール
Sさん: 大学生の時にサンパウロに留学し、そこでポルトガル語を学ぶ。現在は病院で、ブラジルルーツの方だけでなく中国やベトナムルーツの方にも通訳サービスを提供する仕事に従事。趣味は読書や料理。
Mちゃん: 現在(取材当時)はブラジルで暮らしており、将来に向けて特に日本語と英語を勉強中。家で家事をよく手伝っているため、料理にも興味がある。
なぜメンタープログラムに参加しようと思ったのですか?
Mちゃん: 日本に来てから、2023年の10月ぐらいにプロジェクトポンテのことを知り、興味を持ちました。とりあえず、プロジェクトポンテがどんなものかを知りたいと思い、参加しようと思いました。
Sさん: Yさんからの紹介でプロジェクトポンテに興味を持ちました。日本にいるブラジルルーツの若者の話を聞き、日本で生活していく上で困難を抱えている人も多いと知りました。彼らはポルトガル語も話せて、勉強しようと思えば日本語も話せるようになるから、たくさんの能力やさまざまのものを乗り越える力があると信じています。だから、そんな彼らを支えるために何かをしたいと思い、プロジェクトポンテに参加しようと決めました。
お二人は普段どんな話題について話していますか?
Mちゃん: 言語について、ポルトガル語と日本語の違いについて話しています。
そうなのですね!ポルトガル語と日本語の間にどのような違いを見つけましたか?
Mちゃん: 日本語には礼儀正しさ(敬語)があるけれど、ポルトガル語では初めて会った人とでも普段と同じ話し方をすることが、日本語とポルトガル語で一番違う部分だと思います。
Sさん: 日本語では助詞が1番難しいけれど、ポルトガル語では日本語には無い、女性名詞や男性名詞が難しいと感じます。
最初に話したとき、恥ずかしかったですか?どのように感じましたか?
Mちゃん: 何について話せば良いか分からなかったので、とても恥ずかしかったです。
Sさん: どんなことについて話せば良いのかと焦っていました。でも、言語や文化の違いについて話すことにしました。
どうやってその話題を思いついたのですか?
Sさん: 最初は普段の生活について話していました。Mちゃんは学校でどんな試験があるのかや、学校で学んでいることなどを教えてくれました。その中で、言語や文化の違いについてより深く話すことになりました。
なるほど。実際に交流してみてどのように感じるようになりましたか?
Mちゃん: 最初はとても恥ずかしくて、どちらも話せず沈黙してしまう時間もありました。けれど、会話を重ねる中で共通点を見つけて、たくさん話せるようになりました。
Sさん: 最初はとても不安だったけれど、だんだんと慣れてきて、より話せるようになりました。今はMちゃんともっと話したくて、Mちゃんが日本に戻ってきた時には一緒に出掛けたいです。
家族や友達にメンタープログラムでの経験は共有しましたか?反応はどうでしたか?
Mちゃん: 友達の最初の反応は「とても変わったプログラムだね」でした。多分聞いたこともなかったからだと思います。Sさんはポルトガル語ができて、とても応援してくれる人だから、日本人と話したかったけれど恥ずかしくて自信がなかった私には光のような存在でした。だからSさんと何を話したのかなどをみんなに話していました。
Sさん: 夫や義理の母は「そんなのあったんだ」という反応でした。「すごい、興味深いね、もっと多くの人がこのプロジェクトを知ったらとても良いことだね」とも言っていました。
日本とブラジルで何か大きな文化や習慣の違いはありましたか?自分の国の文化や伝統を話してみて、何か感じましたか?
Mちゃん: もう卒業したけれど、私は通っていた学校で小さな留学のような体験をしていました。日本人の学生が来て文化をお互いにシェアしていたので、文化について話すことには慣れていました。だから、文化の違いについて改めて何か感じることはありませんでした。けれど、一つ覚えているのは食文化に関することで、食材と作法が特に違うな、と感じました。
Sさん: 私はブラジルに行ったことがあり文化の違いについては知っていましたが、一つ大きな違いとして感じたことは、人との身体的、精神的な距離感です。ただ道を歩いていたりエレベーターに乗っていたりしても、ブラジルでは20秒くらいで初対面でも誰かと話し始めることが、日本との大きな違いだと感じました。
Mちゃんは日本語の学習に興味があると聞いたけど、どうして日本語を学ぼうと思ったのですか?
Mちゃん: ブラジルに住んでいた幼い頃から、日系人なので日本に興味はあり、少しだけ日本語を学んでいました。そして、父が日本に行くと決めた時に、「いよいよきちんと勉強しないといけない」と思い、ブラジルを出た時からもっと日本語を勉強するようになりました。ある日、学校に何人かの日本人の学生が話しに来てくれた時に、私は喋れなかったから静かにしていました。喋ろうとした時に、日本人の学生に通訳している何人かの生徒を見て、私も日本語が話せて友達になることができたら、どれだけ面白くていいことだろうと思いました。もっと友達を作って話したいという気持ちが、もっと日本語を学びたいと思う理由です。
メンタープログラムに参加してから、心持ちや考え方、個人的な成長や周囲の環境などの変化はありましたか?
Mちゃん: 私が変わったと気づいたことは、自分の考え方や自分のことがより表現できるようになったということです。幼い頃は人見知りで人とたくさん話すことができませんでしたが、メンタープログラムやプロジェクトポンテに参加してたくさんの人と出会ったことで、もっとたくさん話せるようになりました。
Sさん: まず、周囲の若者を気にかけるようになりました。街を歩いている時にも、10代の子や若者が何が好きかや興味があるかを見て、何が好きかをもっと考えるようになりました。彼らが何を感じているのかや何を考えているのかについてもっと学びたいと思うようになりました。そして、Mちゃんがたくさん勉強している姿を見て、「すごいな、自分も頑張ろう!」と思いました。最初メンタープログラムに参加した時は、Mちゃんに何かを与える存在にならないといけないと思っていましたが、実際はそうではありませんでした。Mちゃんからむしろ多くのものをもらっていて、それが日々のモチベーションとなっています。
何がメンターを続ける理由ですか?メンターとしてのモチベーションは変わりましたか?
Sさん: 活動前はメンターがどのような役割なのかはっきりわからなかったけれど、実際に活動してみて、メンターが何かを与えるばかりの存在ではないとわかりました。むしろ私がMちゃんにインスパイアされていて、それが、これからも続けたいと思う理由です。これからもMちゃんが日々成長していく様子や日本語能力試験に合格するのを見届けたいです。Mちゃんのために何かをしたいと思っています。
今日は久しぶりに話してとても特別な時間だったと思います。お互いの近況を聞くのはどんな気分でしたか?
Sさん: Mちゃんともう一度会えるならとても嬉しいことで、今はもっと話したいです。
Mちゃん: Sさんの言ったことに似ているけれど、もっと話したいです。
将来、二人で一緒にやりたいことはありますか?
Sさん: 直接会って一緒に出掛けたいです。また、料理について話したいです。二人とも料理が好きだから、和食とブラジル料理について話したらとても面白そうだなと思います。
Mちゃん: 直接会うことを計画しているけれど、私が勉強で忙しくて‥。けれど、会いたいしもっと話したいです。
Mちゃんは今日本語を学んでいるけれど、これからも勉強を続ける予定はありますか?
Mちゃん: 日本に戻ってきたいです。戻ってきた時には日本語能力試験を受けるつもりです。大学に行きたいです。けれど、入学試験を受けるにも日本語を学ぶことや日本語能力試験は必要だから、とりあえずもっと勉強して日本語能力試験に合格したいです。両親が勉強の習慣として続けるのは素晴らしいことだとアドバイスしてくれたから、今ブラジルで予備校に通っています。予備校では日本語と英語を学んでいます。
最後に何かメッセージはありますか?
Sさん: Mちゃんへ、日本に関することで助けが要ったらメッセージを送って聞いてね。いつでも日本にいるから、日本に帰ってくる時は連絡してね。みなさんも聞いていただきありがとうございました。
Mちゃん: 不安だったけれど、来て、私の経験を聞いてくれてありがとうございました。Sさんと、もっと日本語も交えて話したいです。
インタビュー後記
今回のお二人は久しぶりに話したこともあり、終始あたたかく感動的な雰囲気でした。中でも印象的だったのは、二人の「もっと話したい」「また会いたい」という言葉です。
長い時間が空いても、言語や文化の違いを越えて人と人として築かれた関係は、お互いの中に残り続けるのだなと感じました。若者にとって、これは「困ったときに頼れる誰か」の存在につながります。一方で、メンターさんにとっても、「ふとした時に思い出しインスパイアされる存在」につながるのだと深く実感しました。
immi labでは、若者が自立できるよう、レジリエンス(困難を乗り越える力)の育成を目的としたプロジェクトポンテを実施しています。
自立に大切なのは、常に一人で乗り越えることではなく、必要な時に頼れる場所の多さだと思います。
メンタープログラムを通して、家族でも友達でもない、けれど何かあった時に話せる——そんな「メンター」という存在をより多くの若者に届けていきたいです。そして同時に、メンターさんにとっても、今の日本社会のあり方や自分自身にできることを見つめ直すきっかけになればと思っています。
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