#23_昔話『らんばに火が燃える』
男が女に櫛を贈るということは意味があるそうです。
一生添い遂げようという、思いが込められると。
むかしあったずもな
あるところに仲のいい若げぇ夫婦ものあった。
どちらが先に死んでも後添えなどもらうなよ、
もらわねんだじぇ誓い合った。
ある時ガガはさっとした風邪をひいた。
そうして2~3日ばかり床にふせてらところ、
コロッと死んでしまった。
トドは肩を落として何年も泣き暮らしたずもな。
三年ばかりたったとき、新しいガガもらえ。まだ
若いんだからもらえと世話する人があった。
トドはそんなに気がすすまねがったが、いつしか
新しいガガと仲良く暮らすようになる。
その頃だったど若い人たちの間で噂がたった。
町はずれのらんば(墓場)で火が燃えているという話だ。
肝試しに行ってみんべ、オレなら屁でその火を消す
口々に言い合った。
あるとき、ひとりの男が行ってみたずもな。
噂通りだった。らんばに炎がチロチロとあった。
そのうえに男が腰を下ろしたところ、
地面からが手がにゅっと出て、男の足首をつかむ。
男は声を上げた。
見ると、冷たく細い指は男の足をぎっちりとつかんでいる。
どこまで行っても逃れられない。
放してくれ!
すると土の中から女の声がした。
この手、放してほしかったらオレの頼みを聞いてくれ
ここをこう行った先にこうした家がある。
そこの戸の口(玄関)にあるお札をはがしてくれ。
お寺のお札があるために、中に入れないと言う。
男はその声のいうとおりにした。
そして家の中に向かって、オレは化け物に頼まれて
お札をはがしたぞと叫び、走り去った。
それを聞いたトドと新しいガガは身を隠す。
まもなく、らんばからビュンと飛んでくるものがあり、家の中に入った。
死んだガガは懐かしい我が家に戻った。
引き出しを開け、生前使っていた櫛を見つけるとふたつに割り
火元に櫛の半分を投げ入れると押し入れに飛んだ。
隠れていた新しいガガに櫛がザクリ。
ガガは残った櫛も火元に投げ入れる。
天井の梁からそれを見ていたトドめがけて櫛が飛び・・
それからというもの、らんばに火が燃えるということは
なくなったんだとさ。
どんどはれ
遠野で聞いた話ですが、日本の各地に似た話がありそうです。
ご存じでしたらコメントを残していただければ幸いです。
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