「半年に1回だけ」の薬を、その場で決めなかった理由
最近、母の診察に付き添った日のことです。
以前から指摘されていた骨粗しょう症について、先生から聞かれました。
「検査や治療、希望されますか?」
先生の見解を聞くと、
「骨折もされていますし、以前から診断されているので、お勧めします」
とのこと。
検査をした結果、骨密度はかなり悪化していました。
「今すぐ治療をお勧めします」と言われました。
「半年に1回打つだけ」の言葉に、一瞬驚いた
治療の選択肢として、内服薬と注射を提案されました。
注射について詳しく聞くと、 「半年に1回打つだけでいいですよ」と先生。
パッと聞いた限りでは、なんと手軽で便利なのだろう、と正直思いました。
でも、そこで立ち止まりました。
薬には必ず、効果とリスクがある。
半年に1回効果が持続するということは、もし体に合わなかった場合でも、半年間は薬の成分が体から抜けないということです。
それを確認せずに「じゃあお願いします」と言ってしまっていいのだろうか。
「副作用はありますか?」と聞いてみた
私は先生に聞きました。
「副作用はありませんか?」
すると先生は副作用について説明してくれ、さらにこう言いました。
「使用する場合は、かかりつけの歯科の先生とも相談が必要なリスクがあります」
聞かなければ、知らなかったことです。
その場では決めなかった
心の中では、母にはこの注射は不要かもしれないと感じていました。
でも、その場ではまだ何も言いませんでした。
まず母と、じっくり話したかったからです。
効果とリスクをきちんと伝えて、母自身がどうしたいかを聞く。
そのうえで、一緒に決めて、先生にも伝える。
医師に決めてもらうのでも、家族が勝手に決めるのでもなく、本人が納得して選ぶことが大事だと思っているからです。
薬は「使う・使わない」を自分で決めていい
どうしても薬を使ったほうがいい場面はあります。
でも、「必ず使わなければいけない」かどうかは、最終的には自分が決めることです。
先生の説明を聞き、効果とリスクを理解したうえで、自分の生活や価値観に合わせて選ぶ。
それが、自分軸医療の本質だと私は思っています。
診察室では、先生の言葉をそのまま受け取るだけでなく、 「もう少し聞いていいですか?」と一言添えるだけで、見える景色が変わります。
手軽に聞こえた言葉の裏に、知っておくべきことが隠れていることがある。
あなたの体のことは、あなたが一番大切に考えていい。
そのための「聞く力」を、一緒に育てていきましょう。
後日、家族にこの話をしました。
「そんなことを考えながら診察室にいたとは。自分だったら質問すら絶対にできなかったと思う」と驚かれました。
知識があるから特別なことができたのではありません。
「薬には効果とリスクがある」という、ただそれだけのことを知っていたから、一言聞けただけです。
すべてを知る必要はありません。
今すぐ完璧に聞けなくてもいい。
ただ、「そういうことがある」と頭の片隅に残っていると、きっとどこかで役に立つ瞬間があります。
この記事が、その小さな一つになれたら嬉しいです。
