【目覚め】第27回:初めてのオフ会
土曜日の夜7時、横浜駅西口のバーの前に立った。
ガラス越しに店内を見ると、カウンター席に女性が一人座っている。
メールで交換していた写真に似ている。さくらさんだ。
深呼吸をして、扉を開けた。
「美香さん?」
カウンター席から、さくらさんが手を振ってくれた。近づくと、笑顔で握手を求めてくれる。
「初めまして。やっと会えましたね」

その手の温かさに、緊張が少しほぐれた。実在する、リアルな人。画面越しではない、本物の仲間。
「初めまして。緊張してます」
正直に言うと、さくらさんは優しく笑った。
「私もずっと緊張してたよ」
しばらくすると、まいさんとゆりさんも到着した。二人とも、写真で見たより可愛くて、雰囲気も優しくて。すぐに打ち解けることができた。
「美香さん、メイク上手ですね」
「そのスカート可愛い」
「髪型も素敵」
褒められると、顔が熱くなった。でも嬉しくて、
「ありがとうございます」
と何度も言った。
4人でボックス席に座って、カクテルを注文する。私はカシスオレンジを選んだ。
最初は少し緊張していたけれど、話し始めると時間があっという間に過ぎていった。

メイクの話、外出スポットの話、失敗談や成功体験。
まるで女性同士の会話、そんな感じがした。
女装の話だけじゃなくて、仕事のこと、趣味のこと、普通の話も。
さくらさんは新しいお店の情報を教えてくれた。
まいさんは女装フレンドリーなバーをいくつも知っているらしい。
ゆりさんは美容に詳しくて、スキンケアのコツを教えてくれた。
みんな、それぞれの世界を持っていて、その世界を共有してくれた。
グラスを傾けながら、甘いカクテルを飲む。
ほんのり酔いが回ってきて、緊張がさらにほぐれていく。心地よい時間。
気がつくと3時間近く経っていた。
「そろそろお開きにしましょうか」
と言う、さくらさんの言葉に、寂しさを感じた。
外に出ると、夜風が心地よかった。
「また会いましょう」
「次は別の場所でも」
「メールしますね」
別れ際、みんなと握手をして、笑顔を交わして。
一人電車に乗った時、胸がいっぱいになった。
楽しかった。本当に楽しかった。画面越しではなく、実際に会って話せる仲間ができた。
みんなと対等に、楽しい時間を過ごせた。
窓に映る自分の顔が、幸せそうに笑っていた。
この世界には、まだ知らない言葉や文化がたくさんある。今日も、みんなが使っている不思議な言葉を聞いた。
「純男」「純女」「A面」「B面」——
そんな言葉の意味を、もっと知りたいと思った。(もっとこの世界を知りたい)
美香
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