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1人息子を、勘当した日。(その4)

夕食後、家族会議を再開した。
とりあえずは、学校側と本人の視点の相違を埋めること。
そこで出てきたのが、学校の保健室から「発達検査を受けてみたらどうだろうか」と言われているということだった。

息子は先天性ヒルシュスプルング病の術後後遺症で、肛門括約筋にメスを入れているので、締める力が弱く、小1の夏休みに改善手術をして半年程経ったらずいぶん良くなったけれど、今でもごくごくたまに漏便があるときがあるので、幼児用のトレーニングパッドを反対に後ろ側に向けて下着に貼って過ごしている。
その関係で時間に余裕があれば障害者用トイレを使わせてもらうときもあり、これまでも受験期には障害者用トイレ使用の配慮を求める手続きをしてきた。
本人いわく、「もしものときのための保険」的扱いまで下がってきたのは、かつて小学校になっても紙おむつを履かせざるを得なかった苦労を抱えてきた親としては感涙ものである。

そんないろいろな体質上の問題から、入学当初から自分で保健室に申告して定期的に面談をしてきたらしい。
そこの先生と話をして、「今までも発達特性については何度も検査してきていると思うけど、やっぱり1人暮らしという生活の激変で何か影響が出てきてるのかもしれない。一度今の君に合った検査を受けてみたらどうかな。検査にならなくても、一度専門医にかかって意見を聞いてみるのもいいと思うよ。」と言われたことがわかった。

また発達検査かよー!!!

私が最初に息子の発達特性に気付いたのは幼稚園年少の冬である。
息子は2月半ばの生まれで、月齢はほとんどのクラスメイトより遅い。
しかし月齢がうんぬん、よりも「年少児の中に1人だけ2歳児クラスの子が混じってる感じ」をなんとなく幼稚園の先生との面談時にぽろっと口に出したのだ。
そしたら担任の先生、「お母さんもそう思われますか!やはり教育学を学んでいらっしゃったからですかね?!」と話がすぐ通じてしまい(泣)、すぐに幼稚園から市役所のこども課の担当へ話が通って以来
・K式発達検査
・田中ビネー知能検査V
・WISCⅢ
・WISCⅣ
と、少なくとも私が大学で学んだ発達検査はほとんど通ってきたのに全部「うーん、診断が下りるレベルじゃないですね。敢えて言えば・・・グレーゾーンってやつ?」と言われ続けてきた息子に、新たに
・WAISーⅣ
という、幼児教育専攻の私にはさすがに範囲外になる発達検査の可能性が示されてしまったのだ。

もうこれは仕方ない。
このままでは学業どころではない。
どうせ取得単位2なら留年は確定なんだから、復学するにしろ、他の道を探すにしろ、まずは一旦下期を休学して、学業に専念しやすい土壌を整えてはどうだろうという話になった。 

とりあえずは、
・下期休学の手続き
・発達検査をしてくれるクリニック探し
 (学校保健室との連携必須)
・個別指導に近い形で高校時代の学力補填をしてくれそうな塾探し
をしようという話になんとかまとまったのは、再び入浴からの睡眠時間を取ってからの翌日午前中だった。

発達うんぬんに関わらず、短大の授業についていけるだけの学力の補填は絶対に必要だと思った。生物を選択していないというハンディもあるし、そもそも息子は定時制高校卒なので、全日制高校を出た子とは高校で取得できる学術的知識や思考力が比べようにならない程低い(だって卒業充足単位数全然違うし)。
しかしこんなド田舎では、一応大学生をマンツーマンに近い状態で見てくれるような塾など存在すらしないのである。

これらの情報収集をどこで行うかも、東京のアパートで1人でやってみる、ということになった。
何しろこちらは北陸のド田舎、過疎化待ったなしの環境である。
何をするにも、自分のアパートから通える選択肢が複数存在してしまう中から選べてしまうという贅沢が許される東京とは比べ物になるわけがない。
そもそもこっちは選択肢すら無いと言う環境も平気に存在する程度のド田舎なんだもん。
もちろん1人では難しい部分はネット環境を駆使して適宜フォローするし、どうしようにもなくなれば親が上京して手助けするという方法もある。

そんなこんなでようやく話がまとまり、息子は「まぁ楽な道じゃないってのは最初からわかってたし、それでも東京で頑張るって決めたのは俺だから、できるところまでやってみるよ。」と前向きな言葉を残し、手土産代わりに春は持って行かなかった携帯ゲーム機をちゃっかりトランクに入れて、夕方の新幹線に乗るべく再び最寄り駅まで旦那の運転で送ってもらいながら東京のアパートへ帰っていった。

前提として、この時点では私たち親も、そして本人も(と信じたいが)半年学校のカリキュラムに囚われずに時間を有効に使って、再び臨床検査技師への道を目指す環境を整えよう、ということになっていた。
まさかこの後、たった1ヶ月半でその予定はひっくり返されるどころか息子VS両親の大戦争になるとはこの夏の終わり(とはいえ全然暑いけど)には微塵も感じていなかったのだが。


つづく。

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