指示待ち人間をつくるのは、実はリーダーの“善意”だった
「なぜこんなに手戻りが多いんだろう?」
「理解できるはずなのに、どうして指示した通りに動いてくれないんだろう?」
技術系の管理職や経営者の方なら、一度はこんな悩みを持ったことがあるのではないでしょうか。
私もまさにその一人でした。
エンジニア時代にプロジェクトリーダーを任された頃、私は「チームの品質は自分が守らなければ」と強く思い、細かいところまで逐一指示を出しました。
資料の書き方、図表の色、変数の命名規則に至るまで。
「ここまで言えば手戻りがなくなる」と信じていたのです。
ところが現実は真逆でした。
チームは疲弊し、メンバーは言われたことしかしなくなり、私が期待した「主体的な動き」はどんどん消えていきました。
最終的には、私自身が一番疲れ果てていたのです。
この問題は単なる「リーダーのスタイル」の違いでは済みません。
細かい指示を出しすぎることで、現場の思考力が失われ、成長機会が奪われ、組織の未来が縮んでしまうからです。
特に技術系の組織では「自ら考えて動く力」が競争力の源泉です。
にもかかわらず、細かい指示が続くと「どうせ、何か言われるのだから、最初から指示に従っておこう」と指示待ち人間になってしまい、「自分の頭で考えること」を放棄する文化が生まれます。
こんな指示待ち人間だったときが私にもありました。
これはじわじわと組織をむしばみ、気づいたときには「言われないと動けない人」ばかりが残ってしまうのです。
この状態を放置するとどうなるでしょうか。
一見「リーダーが主導しているから安定している」ように見えても、実は危ういバランスの上に立っています。
リーダーが休むと回らない
新しい挑戦ができない
若手が育たない
責任がすべてリーダーに集中する
これは、まさに私が20代後半で味わった地獄でした。
毎晩遅くまで残業して「自分がいなければ崩壊する」と思い込み、家に帰っても頭の中はプロジェクトのことばかり。
結局、私自身が倒れかけて、上司がフォローに入ってくれたおかげで、ようやく「これは続けられない」と気づきました。
では、なぜ細かい指示が逆効果を生むのでしょうか?
根本原因は、「メンバーに任せきれない不安」にあります。
リーダー自身が「失敗したら責任を取らされる」「自分の評価が下がる」という恐れを抱えているため、自然とコントロールしたくなるのです。
解決の糸口はシンプルです。
「指示を減らす」のではなく、「問いを増やす」こと。
私もコーチングを学んでから初めて気づきました。
相手に「どう思う?」「なぜその方法を選んだの?」と問いかけることで、メンバーの思考が動き出すのです。
(とは言っても、詰問になっては本末転倒なので、注意が必要ですが。)
ともかく、細かい指示で思考を止めていた私が、問いで思考を促す側に回った瞬間、チームの雰囲気が変わり始めました。
具体的な解決方法は大きく3つあります。
ゴールを明確に伝える
細部のやり方ではなく「何を実現したいのか」を定義します。
数学の問題で言えば「答えの形」を共有するイメージです。制約条件を示す
自由に考えていいと言われても、人は動けません。
「納期は2週間」「予算は10万円」など条件を与えることで、数式の境界条件のように思考が進みやすくなります。問いを投げかける
「あなたならどうする?」「もっと良い方法はある?」と尋ねることで、相手の思考を開かせます。これはコーチングセッションそのものです。
数学的な考え方とコーチングは、実は同じ構造を持っています。
数式が「解を導くプロセス」に意味があるように、コーチングも「相手が答えにたどり着くプロセス」が価値になるのです。
ここで一度、あなたの職場を振り返ってみてください。
あなたは部下やメンバーに細かく指示を出していませんか?
その結果、メンバーは「考えるより指示待ち」を選んでいませんか?
もしそうだとしたら、仕事を効率的に進めるという目的ではなく、あなた自身の安心感のために、メンバーの思考を止めてしまっていませんか?
あなたの実体験をコメント欄に書いていただければ、きっと他の読者の気づきにもつながります。
「あ、自分も同じだ」と思った瞬間が、学びの第一歩だからです。
私はかつて、細かい指示で現場を潰しかけたリーダーでした。
そこからコーチングを学び、「問いを使う」ことでチームを変える経験をしました。
もしあなたが今、「どうしても細かく口を出してしまう」「任せたいけど不安が勝ってしまう」と感じているなら、一度私にご相談してみませんか?
実際の現場の悩みを題材にしながら、あなた自身の不安の正体を整理し、メンバーの主体性を引き出すための第一歩を一緒に探っていきましょう。
元コミュニケーションが苦手なエンジニアだった私だからこそ、寄り添えるし、共感できます。
この記事を読み終えた今こそ、行動を変えるチャンスです。
次はあなたが「問いで動くチーム」をつくる番です。
