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[短編小説]歯医者にいたキツネ

前の晩に仕込んでおいたふかふかのパンが焼き上がった。時間をかけて作ったんだからおいしいに違いない。

今日は歯医者の日だ。丁寧に歯をブラッシングして、支度を済ませる。左側の奥歯が痛む。抜かなきゃいけないかな。
家を出て歯医者に向かった。

自動ドアが開くと、清潔な香りが漂う。

こんにちは。

予約していた中洲ですけど、、。

掛けてお待ちくださいね。

受付を済ませ、待合室で待っていた。

怖いな、抜くのいやだなぁ。

なんだかんだ考えていたら、隣に服を着たキツネが座った。キツネも虫歯になるのだろうか。どこから来たのだろう。

キツネ太郎さーん。

受付が呼んだ。

コン。

会計1100円になります。次回はマイナンバーカードもお願いします。

コン。

動物もそんなことができる時代かぁ。マイナンバーカードもあるんだ。どこからきたのかな。

コン。

キツネが何かを差し出した。
あ、ぼくのハンカチ。

ありがとう。

コン。

キツネはにっと笑った。

自動ドアが空き、キツネが立ち去った。キツネだから人に化けれるのかな。どうなんだろ。優しいキツネだ。ありがとう。

中洲さーん。

歯科衛生士さんが僕を呼ぶ。

中へお入り下さい。

はーい。

なんかこれからの恐怖が、なくなってしまったようでちょっとホッとした。
稲荷神社様にぼくの作ったパンでも持って行ってあげよう。きっと喜ぶ。

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