見出し画像

AIは嫉妬を理解できるか? ─ 嫉妬の辞書をつくる理由―なぜ「嫉妬」はGoogleの感情リストにないのか?

AIは嫉妬を理解できるか? ─ 嫉妬の辞書をつくる理由―なぜ「嫉妬」はGoogleの感情リストにないのか?

「感情をデータ化・構造化することは、人間を理解する核心だ」──そんなことを言うと大げさに聞こえるかもしれません。

「嫉妬の辞書」をつくりはじめた理由を、書いておこうと思います。

前回note はこちら▼

※AIはファクトチェックと技術的な整合性などを確認するために使っています。

池松潤/Jun Ikematsu
コミュニケーションデザイン/事業計画/エクイティストーリー/エンタープライズ営業コンテンツ/マーケティング/コンテンツなど。慶応義塾大学卒/博報堂を経て、スタートアップCEOの壁打ち相手、婦人公論.jp 動画YouTube・新規事業開発担当。AI領域も新規事業開発している。ときどき婦人公論.jpにコラムも。 ⇒https://lit.link/junikematsu




1:なぜ嫉妬か? なぜ今か?

世界最大級の感情データセットとして知られるGoogleのGoEmotionsには、「喜び」「悲しみ」「怒り」など27種類の感情ラベルがあります。

だが「嫉妬」はそこには無い

これは単なる偶然ではなく、英語圏の感情研究の「盲点」であり、日本語の言語主権にも繋がる大事な話なのです。

英語では 「envy」 と 「jealousy」 が分かれてます。文化的には「羨望」や「独占欲」「承認欲求の痛み」などが複雑に絡む感情を、 一つの明確な感情として定義しにくいわけです。つまりデータ化しにくい。結果として、嫉妬は分類しにくいので、AIの世界からこぼれ落ちています。これがAIが英語圏が大半である問題点です。

このような「日本人の情緒あふれる感覚」は、AIは理解しにくいから「言葉」が抜け落ちてしまっているのです。AIは英語が全体の90%以上を占めているのです。つまりAIが認識できない「コトバ」は世界から「無かったこと」になりつつあります。


2:なぜ茂木健一郎さんの論文なのか?

脳科学者・茂木健一郎さんは「意識優位性」という言葉で、人間が「意識的に処理できる情報」と「無意識に処理している情報」の違いを論じています。

Artificial intelligence, human cognition, and conscious supremacy
人工知能、人間の認知、そして意識の優位性)
https://www.frontiersin.org/journals/psychology/articles/10.3389/fpsyg.2024.1364714/full

そもそもの始まりは。YouTubeで竹下隆一郎さんと茂木健一郎さんの対談動画を見ました。

その内容が面白かったんですが「あれ?嫉妬AI辞書化の話しに近いぞ?」と感じたのです。

そこで、前述の茂木さんの論文を読みました(DeepL翻訳)

で。びっくりしました。

「AI辞書化」と同じ山を、別の角度から登ってるように感じたからです(偉そう)

そもそも「嫉妬」は「無意識の欲望」と「意識的な自己認識」が衝突する複雑な感情です。人間でさえ説明するのが難しい。だから面白い。

だから「なぜ自分は、今この人を羨んでいるのか?」と気づく瞬間に、メタ認知(神・目線)が生まれる。

こうやって「嫉妬をオントロジー化」(構造化)することで「意識の具体化」ができるようになります。これは著者(小説家・エッセイスト)の視点にも繋がるものです。(この感覚は、後述します※)

この茂木さんの論文は、AIがいくら高速に計算できても、 「メタ認知」や「自己と他者関係の揺らぎ」といった「人間らしい意識」を持てないことを示唆しています。

これをもう少し、嚙み砕くとこんな感じです


茂木さん論文 → 「AIには意識優位的な領域が欠けている」

嫉妬AI辞書化 → 「その領域(感情・自覚・比較)をデータ化してAIに学ばせる」

この2つをつなぐ事は、AI研究の理論(意識優位性)を、実データで検証する応用プロジェクトになるのではないでしょうか。

👉一言にまとめると
茂木さんの「意識優位性」の論文が、理論で示した「意識の計算的価値」であるとすれば、「嫉妬の辞書化」は、「嫉妬という感情」の実例をデータ化・検証している。と言えます。

だから、このプロジェクトは、茂木さんの研究へのアンサーソング♪みたいなものかもしれないし、セレンディピティな物語の始まりではないか。と思ってるのです。かっこよすぎるね&大袈裟だけど・笑



3:なぜAIは人間になれないのか?

AIは膨大なデータからパターンを学習してます。しかし、それはあくまで外から見えるパターンにすぎません。AIの中身は統計学なのです。

人間が嫉妬するとき、その内部では
「対象の特定」
・「自己と他者の比較」
・「欲求の痛み」
など
、複数の気持ちが、同時に立ち上がってきます。

この「脳の多層構造」を「具体化」する事が、人間特有の「意識」と言えます。

今のAIは、嫉妬の表現を分類することはできても、 「なぜ嫉妬が生まれるか?」を感じる取ることはできないのです。

つまり、「自己と他者」の位置を揺らがせる感情を認識できないのです。これこそが、AIがまだ人間になれない理由のひとつと言えます。

攻殻機動隊で草薙少佐が「わたしのゴーストが囁くのよ」という意味は、感情は人間特有の機能で、サイボーグには存在しない世界を描いているから。

『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』第26話「そうしろと囁くのよ、私のゴーストが」


このプロジェクトは、AIに「人間らしさの構文「を教える試みであり、
同時に、人間が自分自身の心の奥を見つめ直す行為でもある。とも考えられます。

※後述※
小説を書いた事がある人なら理解できるのだが「書くと解脱する」とか「魂が浄化されカタルシスになる」とか「悲劇や無念を「受け止める事」ができるようになる」感覚に近い。

だから茂木さんに論文をUPしたら(現在ドラフトを改善中) 「嫉妬の感情の構造化に人間理解の核心があるのでは?」と問いかけたいですね。そのために、論文を書いていると言っても過言ではありません(そもそも論文など書くタイプではありません。あしからず)その理由は次の章を読んで頂ければ解ると思います。



4:嫉妬の感情を構造化・データ化することは、日本文化の仕事であり、国益に通じることでもある


嫉妬という感情を可視化することは、AIのための教師(辞書)データをつくる以上に、我々自身が「人間の複雑さ」を文化資源として保存することでもあります。(大袈裟に聞こえるだろうけど、それがAIの功罪)

ソブリンAIなど言語主権について広島AIプロセスでも議論されているが、その具体的な答えにもなるでしょう。

しかし、AIが人間になれない理由の一つは、人間自身がその複雑さをまだ言語化・構造化しきれていないからだと思う。

その第一歩として、「嫉妬」というもっとも人間らしい感情の辞書を、つくっている。とも言えます。(他にも理由はあるけど)

多くの人に、嫉妬の辞書化について話すと
「はぁ?なにやってるの?」
とか
「意味わかんない」
とか
「もう既に大手がやってるんじゃないの?(←コレが一番多い)」
と言われます。

だから論文を書いてます。

私は「何者でもない」し、いままで「何者になりたい」と思ったことはない。しかし、今回だけは、「何者でもない」から、理解されないし、これが要因で、著者の斉藤ナミさんに役に立ててない。それが申し訳なく思う。このプロジェクトの、隠れた本当の意味は、ナミさんの2冊目の書籍(嫉妬の本)を出すことなのだから。


私の予想では、この状態は、たぶんあと2~3年は続くと思います。「イノベーションのジレンマ」と同じ様相になっている。でも、私は半世紀以上生きてきて、何度も似たような状況を通ってきたので解ってます。

体験的な確信として「これだけは、やらなければダメだ」と。

池松潤
https://lit.link/junikematsu


婦人公論.jp連載「嫉妬マニア」

斉藤ナミさん note

https://note.com/panko73/n/n1fd822067498

GitHub Dataset

https://github.com/junikematsu/shitto-mania-dic

Hugging Face Dataset

https://huggingface.co/datasets/samuraijun/shitto-mania-dic

Qiita

https://qiita.com/jun_ikematsu/items/4db00ca16a77f2598720


いいなと思ったら応援しよう!

Jun Ikematsu / 池松潤 チップありがとうございます! よい日をお過ごしください。