失敗しない不動産売却のポイント 〈マイホーム売却時に使える特例 ①〉
第3章 損しないために!手残り額の計算方法と特例等の活用
2.マイホーム売却時に使える特例 ①
マイホームを売却する際は、活用を検討すべき特例や特別控除が5つあります。ただし、特例の適用を受けるには「所有者本人が生活の拠点として利用していた居住用財産」、つまりマイホームであることが前提条件です。
また、実際の申請の際には不動産会社の担当だけではなく、税務署や担当税理士に相談し、見落としている特例がないか確認することをお勧めします。
① 居住用不動産を譲渡した場合の3,000万円特別控除
所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円までが控除できる特例です。控除を受けるためには、現在その物件に住んでいるか、引越し済みの場合は済まなくなった日から数えて3年目の年末までの売却であるといった条件を満たす必要があります。
なお、売却した年の前年および前々年にこの特例の適用を受けている場合は使えません。②の特定を除き、マイホームの買い換え特例や、新しい家を購入した際の住宅ローン控除との併用もできません。

② 10年超所有軽減税率の特例
マイホームの所有期間が譲渡した年の1月1日時点で10年を超える場合には、長期譲渡所得の税額より低い軽減税率が適用可能です。軽減税率が適用されるのは譲渡所得のうち6,000万円までの部分で、通常の長期譲渡所得の税率が20.315%(所得税15.315%、住民税5%)であるのに対し、この特例を使えば14.21%(所得税10.21%、住民税4%)にまで税率が軽減されます。
なお、譲渡所得のうち6,000万円を超える部分についての税率は通常の長期譲渡所得と同じ20.315%です。①の特例とも併用できるため、大きな節税効果が期待できます。

③ 特定居住用財産の買い換え特例
マイホームの所有期間が譲渡した年の1月1日時点で10年を超える場合であって、令和5年12月31日までに売って代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件のもと譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます(譲渡益が非課税となるわけではありません)。
なお、売却代金が1億円を超える場合や、売却した年の前年および前々年に①・②の特例あるいはこの特例の適用を受けている場合は使えません。
※この特例は他にもいくつか適用条件があります。
④ 居住用財産の買い換え等の場合の、譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
所有期間が5年を超えるマイホームを令和5年12月31日までに売却し、新たにマイホームを購入した際に譲渡損失が出た場合、一定の要件を満たせば譲渡損失をその年の給与所得や他の所得から控除(損益通算)できる特例です。
1年で控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡した年の翌年以降3年間にわたって繰り越して控除できます。この特例を受けるためには税務署への確定申告が必要です。
⑤ 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
所有期間が5年を超えるマイホームを令和5年12月31日までに売却した際、売却契約締結日の前日時点で償還期間10年以上の住宅ローンが残っており、かつ譲渡損失が生じた場合に、「譲渡所得の損失金額」と「住宅ローンの残高から売却価格を差し引いた金額」のいずれか少ない金額を限度として、その年の他の所得から差し引くことができる特例です。
買い換えはせずに売却だけをした場合でも適用できます。1年で控除しきれなかった金額は翌年以降3年間、繰り越しての控除が可能です。③の特例と同様、適用を受けるには確定申告が必要です。
出典
・国税庁「マイホームを売ったときの特例」
・国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
・国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例」
・国税庁「マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
・国税庁「住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
・三井のリハウス「マイホームを売ったときの5つの特例」
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◎ 情報提供

渡邊 大
株式会社Ark Wealth Management
取締役共同代表
宅地建物取引士
野村證券財務ファイナンス部門を経験。ロンドンでのフィンテック市場リサーチ等を経て、帰国後は社長直轄のDXプロジェクト等を担当。自身の不動産投資を拡大する中で資産運用の本質を見極め、アーク・ウェルスマネジメントを共同設立。

