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【第四話】ゆとり世代の1987生まれが青春時代を過ごした平成についての思い出を語る【Kissからはじまるミステリー/KinKi Kids(1996〜1997年)】



ミステリー×夏といえば、僕は「Kissからはじまるミステリー」を思い出す。
小3から小4の僕にとって、この曲はトラウマ級の恐怖を与え、夏のミステリーを思い出させる曲だった。
今思えば、あの頃から「ジッチャンの名にかけて!」という気持ちで様々な世の中の謎を考察するクセが付いていたのかもしれない。


「青春」とはなにか。
辞書を引くと「若さゆえの輝き、未熟さ、情熱」なんて書かれているけれど、実際僕にとってはシンプルで、音楽と共に過ごした時間こそが青春だ。



そう、僕は懐古厨だ。
でも、この懐古があるからこそ、今の僕があるのだと思う。

懐古厨のゆとり世代と、この気持ちを分かち合うために、このnoteを書き上げる。

僕は夢遊病

小学生時代の夏休みは、いつも祖母の家・いわきで過ごしていた。
そう、僕の家では、毎年、7月下旬からお盆までの期間、弟とともに祖母へ預けられる定期イベントが行われていたのだ。
そのため、祖母宅へ向かう常磐道は夏の景色の一つ。
祖母宅では昼は海水浴や釣りにでかけ、飽きたら畑で採れたトウモロコシを頬張り過ごした。
お盆が近づくに連れて、祖母宅へ親戚が集まってくる独特の高揚感。
そして、お盆の夜は決まって花火。まさに「これぞ夏休み」という黄金体験だった。

――なのに、田舎の夜は僕を恐怖心で包み込んだ。

原因は、当時テレビで放送されていた 『金田一少年の事件簿』 だった。
第一期では、「蝋人形館殺人事件」で外国人が串刺しになるシーンを鮮明に覚えている。あれはいまだにトラウマ級の恐怖だ。
また、第二期では墓場島殺人事件の防空壕でのダイイングメッセージが心を痛めた。

僕の祖母の家は、田んぼに囲まれていた。そのため、田舎でも静寂とは無縁で、謎の動物の鳴き声が鳴り響いていた。
ある晩、祖母に「このうるさい声はなに」と聞いたところ、カエルだと教えてくれた。
カエルの合唱とともに、夜の闇が訪れるのだと知った。
また、祖母の家には振り子時計があった。時計は30分単位で時刻を知らせてくれるのだが、定期的な「カーン」と「カチカチ…」いう音が妙に耳障りになってしまう。
これも田舎特有なあるあるのかもしれないが、祖母宅のトイレはボットン便所だった。
トイレで用を足すたびに、このトイレの奥底には何が眠っているのだろうか?と不思議に思っていたものだ。

そんなこんなで、祖母宅で過ごした土曜日の夜は恐怖しかなかった。
※金田一少年の事件簿は毎週土曜日21時から放送していた。
子ども心ゆえに「カエルが襲ってこないか」とか、「トイレから何者かが出てこないか」とか、そんな事ばかり考えてしまい、夜中にトイレに行くのを我慢した記憶がある。

「僕は夢遊病」というフレーズが、暗い夜の不安とぴったり重なってしまった。
以来、この曲を聴くと、あの夏のざわつきが蘇ってくる。

田舎で開催されるたまごっち争奪戦


当時、世の中を支配していた流行といえば、「たまごっち」。
とにかく入荷即完売。学校で持っている友達はヒーローとして扱われていた。

そんな中、祖母宅滞在中に親戚一同でスパリゾートハワイアンズへ遊びに出かけているときに、「これからたまごっちを販売します」というアナウンスが。
まさかのたまごっちゲリラ販売に遭遇したのだ。
叔母から「近所の友人に配りたい。お前も手伝え」との指示があり、不本意ながら僕も行列に並ばされた。
お金を持たされ30分ほど並ぶと、僕の番がきた。
並び始めた当初は、なんとも思っていなかったのに、この30分間で僕のたまごっちほしい欲はストップ高を更新した。
無事にたまごっちを手に入れたものの、そのまま渡すのが惜しくなり、「やっぱり僕も欲しい」とゴネにゴネ、譲ってもらった記憶がある。

このころの小学生男子の欲望は、心の難破船のごとく揺らぎやすいのだ。
そして、当時から謎だったのだか、ハワイアンズでたまごっちがゲリラ販売された理由。これはいまだに解明されていない。

田舎のミステリー


祖母宅に行く機会は1年に一度しかない。
そのため、行くたびに不思議に思ったことも、解決されずモヤモヤして帰ることが多かった。
たとえば、定期的に祖母宅の周りからした異臭の正体や、誰かもわからない親戚宅と、そこで出る美味しいお菓子の正体。
そして、丘の上にあるお寺で開かれるお経読み上げイベントやお盆の日に焚き火をする理由など。

結局、いろんな疑問が解決されぬまま僕は大人になり、祖母もとうの昔に亡くなってしまった。

けれど、大人になって子どもの頃のミステリーが解決されることもある。
この前、東北の街を訪れた際、昔祖母の家で定期的に嗅いだ異臭がした。
周りを振り返ると、完全防備した人が、長くて太いホース状のものを持ち、とある古びた家の裏に消えていった。
そこで合点がいったのだ。
「あの臭いはバキュームカーの臭いだったのか」と。

今振り返れば、あのお菓子は福島銘菓の「ままどおる」や「エキソンパイ」だったし、お経読み上げイベントは法事だった。
※ままどおるはこちら

https://www.sanmangoku.co.jp/products/mamadoru/%E3%80%82


※エキソンパイはこちら


また、花火と同時にやる焚き火は、きっと僕が生まれる前に亡くなった祖父の迎え火だったのだろう。 

「Kissからはじまるミステリー」を聞くと、そんな夏の田舎の記憶が蘇るのだ。

今年の夏は祖母の墓参りに行けなかった。
来年こそは、あの夏の記憶とともに、墓参りにいこうと決意した。

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