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開発者の身体には、ピンク色の川が流れている #飲み物のある時間


こんにちは、黒パグです🐾

公式お題第二弾
レッドブルよりモンスター派の黒パグです。

以下本文

冷蔵庫には、川が何本か冷えている。

白い川、赤い川、ピンクの川。たまに青やオレンジも混ざる。今日は少し迷って、ピンクを一本取り出した。

もちろん、本物の川ではない。

モンスターエナジーの缶に描かれた、三本の爪痕のことだ。

このマークを「M」ではなく、漢字の「川」と読んだ人がいたらしい。言われてから見てみると、たしかに川に見える。

黒い缶に緑の川。白い缶に銀色の川。桃色の缶にはピンクの川。

一度そう見えてしまうと、もう元には戻れない。

我が家の冷蔵庫には、今日も色とりどりの川が流れている。

開発者の主食

「開発者の主食はエナジードリンクである」

そんな冗談がある。

もちろん主食ではない。私は普通にご飯を食べる。夕食も作るし、朝は弁当も作る。コーヒーも飲む。エナジードリンクだけで生きているわけではない。

ただ、仕事が長くなりそうなとき、冷蔵庫の川に手が伸びることはある。

画面の向こうで何かが赤くなった夜。

すぐ終わるはずだった作業が、いつの間にか別の作業を二つ、三つと連れてきたとき。

一つ直したら、隣で別の何かがこちらを見ていたとき。

見なかったことにできる人は、きっと長生きする。

私は冷蔵庫を開ける。

コーヒーではない日

普段はコーヒーもよく飲む。

朝、仕事を始めるとき。少し考えを整理したいとき。何となく口寂しいとき。机の端に置いたまま、冷めてしまうことも多い。

モンスターは少し違う。

コーヒーは、仕事をしながら飲む。
モンスターは、仕事を始めるために開ける。

少なくとも、私の場合はそうだ。

プルタブに指をかける。

カシュッ、と小さく空気が抜ける。

たったそれだけなのに、「さて、やるか」と思う。まだ一口も飲んでいないのに、もう何かが始まっている。

味も一つではない。その日の気分によって選べるくらい、たくさんある。

白にするか。赤にするか。ピンクにするか。

仕事の内容で選んでいるつもりはない。

ただ、夜中に赤い表示を見ながら赤い缶を開けると、少し縁起が悪い気がする。そんな日はピンクにする。


根拠はない。

人はときどき、根拠のない手順に助けられる。

本当に効いているのか

そもそも、エナジードリンクは本当に効くのだろうか。

カフェインには、眠気を抑えたり、注意を保ったりする働きがある。だから「全部気のせい」というわけではないらしい。

一方で、「カフェインを飲んだ」と思うこと自体が、人の感覚や動きに影響するという研究もある。

だとすれば、私に効いているのは何だろう。

カフェインなのか。冷たさなのか。甘さなのか。缶の色なのか。それとも、プルタブを開ける音なのか。

たぶん、全部だ。

人間はそれほど単純ではないし、それほど厳密でもない。

飲めば急に頭がよくなるわけではない。間違ったものが正しくなるわけでもない。眠い身体から、無限に力を取り出せるわけでもない。

それでも、「これを開けたら始める」と何度も繰り返しているうちに、身体が順番を覚えたのかもしれない。

缶を開ける。

一口飲む。

画面を見る。

そして、やる。

もしこれが思い込みだったとしても、ずいぶん長く私を支えてきた思い込みである。

赤い流れと、ピンクの川

夜の画面には、赤いものが流れていた。

数字が増えたり減ったりしながら、こちらの顔色まで変えていく。

こういうとき、機械は驚くほど正直だ。

「何かがおかしい」と知らせてくれる。

ただし、それを誰が直すのかまでは考えてくれない。

机の上には、開けたばかりのピンクの川がある。

赤い流れを止めるために、ピンクの流れを身体へ入れる。

冷静に考えると、あまり健全な水利事業ではない。

一つ確認し、もう一つ確認する。

直ったと思って、少し待つ。

待っていると、別の数字がまた動く。

「少し直せば終わる」は、たいてい終わらない。

それでも、いつかは静かになる。

窓の外が少しずつ明るくなり、家の中から朝の音が聞こえ始めたころ、画面から赤い色が消えた。

机の上には、半分ほど残った缶がある。

一口飲む。

開けたときの冷たさは、もう残っていなかった。

ピンクの川もまた、私と一緒に長い夜を越えたらしい。

川が流れ始める時間

私はエナジードリンクの味が好きなのだと思う。

種類を選ぶのも楽しい。新しい色を見つければ、一度は試してみたくなる。

でも、それだけではないのだろう。

私が好きなのは、何かを始める直前の時間なのかもしれない。

まだ何も解決していない。作業も終わっていない。これから何時間かかるのかもわからない。

それでも、プルタブを起こす。

カシュッ、と音がする。

その瞬間だけは、「これからやる」と自分で決められる。

仕事には、自分で選べないことが多い。

鳴る時間も選べない。起きる問題も選べない。終わる時間さえ、こちらの都合を聞いてくれないことがある。

それでも、どの川を選ぶかだけは自分で決められる。

白い川にするか。赤い川にするか。今日はピンクにするか。

ほんの小さな選択だ。

けれど、選べないことが多い夜には、その小ささが少しだけありがたい。

私の身体に、本当にモンスターが流れているわけではない。

飲み物一本で、疲れが消えるわけでもない。

ただ、うまくいかない夜に机の隅を見ると、そこには自分で選んだ色の川がある。

一緒に夜を越えた缶を片づけ、私は席を立つ。

朝の支度が始まる。

昨日から続いていた時間が終わり、家族の新しい一日が動き始める。

そしてまた別の日、何かを始める必要ができたとき、私は冷蔵庫を開ける。

白い川、赤い川、ピンクの川。

少し迷って、一本を選ぶ。

プルタブを起こす。

小さな音を立てて、今日の時間が流れ始める。




※エナジードリンクの感じ方には個人差があります。カフェインを含む飲料は、体調や摂取量、飲む時間帯に気をつけて楽しんでいます。

#飲み物のある時間

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