かつての私は、仕事を「やらされるもの」として捉えていた。
特に20代の頃は、指摘を受ければ不満や反発が先に立ち、うまくいかなければすぐに不貞腐れる。
給与をいただきながら学ばせてもらっている立場でありながら、
ただ「こなす」だけの日々を繰り返していた。
その結果、仕事は長続きせず、転職を重ね、やがてフリーランスのような働き方へと流れていった。
一見、自由に見えるその生活の中で、
私はどこか満たされない感覚を抱えていた。
夢はあった。
だが、その夢に近づいている実感はなかった。
英会話教室に通い、資格を取り、さまざまな人と出会う。
努力している“つもり”にはなっていたが、
それが自分の強みとして積み上がっている実感は、ほとんどなかった。
そんな自分に違和感を覚えながらも、
何を変えればいいのか分からなかった。
転機となったのは、横浜で一人暮らしをしていた頃だ。
思うようにいかない日々が続き、
気づけば外にも出ず、今でいう引きこもりのような生活をしていた。
「このままではいけない」
そう思い、自己啓発書やノウハウ本を読み漁った。
だが、知識が増えるだけで、現実は何も変わらなかった。
そんなときに出会ったのが、西川善文氏の『仕事と人生』だった。
この本を読んで、心に残った言葉がある。
「本質は何かを考えること」
それは、その仕事の“ツボ”を掴むことだ。
この言葉をきっかけに、私は仕事への向き合い方を変えた。
まず、指摘を受けたら素直に「はい、わかりました」と受け止める。
その上で、「なぜそうするのか」を考え、不明点は質問する。
そして、自分の意見も伝える。
たったそれだけのことだが、意識して続けるようにした。
すると、少しずつ変化が生まれてきた。
相手が何を求めているのかが、以前よりも早く理解できるようになった。
仕事の流れを先読みできるようになり、任される仕事も増えていった。
評価される機会も増え、
「頭の回転が早い」「勘がいい」と言われることも多くなった。
特別な才能があったわけではない。
ただ、「本質は何か」を考えながら仕事に向き合うようにしただけだ。
振り返ってみれば、
以前の私は、仕事の表面だけを見て動いていたのだと思う。
だからこそ、うまくいかなかった。
この本が教えてくれたのは、
仕事のやり方ではなく、「向き合い方」だった。
新しい仕事に向き合うとき、
特別なスキルや経験が必要だと思ってしまうことがある。
けれど本当に大切なのは、
目の前の仕事の本質を考え、理解しようとする姿勢なのかもしれない。
まずは一つでいい。
今やっている仕事の中で、「これは何のためにやっているのか」を考えてみる。
その小さな問いが、
仕事の質を変え、
やがて自分自身を変えていくのだと思う。