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学習指導案をAIに相談したら、「自分がどこを見ていないか」がわかった話

「単元のねらいがぼんやりしていますね」

AIにそう言われたとき、カチンときた。

3時間かけて書いた指導案だった。でも、5秒後に「そうかもしれない」と思った。

ぼんやりしていた。わかっていたけれど、直せなかった。言語化できていなかった。

それを、AIはあっさり言ってきた。

指導案を書くのが、昔から得意じゃない。

「本時のねらい」の欄が、いつも抽象的になる。「生徒が〜を理解する」「主体的に取り組む態度を育てる」——文字にするとそれっぽくなるけど、「で、何ができたらOKなの?」が自分でも答えにくい。

今年から指導案をAIと一緒に書くようにして、その「ぼんやり」が見えやすくなった。


最初に試したのは、「書いた指導案を読んでもらう」だ。

本時のねらいと、主な学習活動の流れを貼って、「流れがおかしいところ・抜けていると思うところを指摘してください」と頼んだ。

返ってきたのは、こうだった。

「本時のねらいに書かれている目標と、授業の活動内容が対応していません。活動の中で、ねらいのどの部分を達成するのかが見えにくいです」

読んで、止まった。

授業の活動は考えていた。でも「この活動で何を達成するのか」の対応が、実は曖昧だったのだと気づいた。ねらいと活動がバラバラに存在していた。


「それって普通に見ればわかるじゃないか」と思うかもしれない。

でも指導案を書いているとき、ねらいを書いたときと活動を書いたときでは、頭の状態が違う。ねらいを書くときは「こういう授業がしたい」という理想があって、活動を書くときは「50分でどう動かすか」という現実に引き戻される。

その間で、対応がずれる。

自分では気づきにくい。書いた文章を読み返しても、「なんか変」と感じることはあっても、「どこが」がわからない。

AIはそこを、角度を変えて見てくれた。


指摘をもとに、ねらいの書き方を変えた。

「生徒が〇〇を理解する」から、「授業の最後に、生徒が〇〇を△△という形で表現できる」に変えた。

「△△という形で表現できる」と書くと、活動のどの場面でそれが起きているかを確認できる。「ここで言わせる場面がないじゃないか」「ここでの活動はそのためだったのか」が自分でも見えやすくなった。

指導案を書くのが、少し楽になった。


文部科学省の学習指導要領解説(令和3年)では、単元や本時の目標を「何ができるようになるか」という観点で設定することが強調されている。「知識・技能」「思考・判断・表現」「学びに向かう力」の3つの観点で、どういう状態を目指すかを明確にする考え方だ。

頭ではわかっていた。でも指導案に書くときに、その具体性がなかなか出せなかった。

AIに「この活動で、3観点のどれを意識していますか?」と聞かれたとき、「思考・判断・表現……のつもりだったけど、活動の内容はほぼ技能練習だな」と気づいた。

「つもり」と「実際の活動」のズレを、外から指摘してもらった感覚だった。


今では、指導案を書くプロセスに「AIとの対話」を組み込んでいる。

書いた → AIに読んでもらう → 指摘された視点で書き直す → もう一度読んでもらう

この往復が2回あると、かなり変わる。

最初の指摘で「ねらいが曖昧」を直して、2回目の指摘で「評価場面が見えにくい」を直す。それで1時間使っていた見直し作業が、30分に縮まった気がしている。


「AIに書いてもらう」のとは全然違う。

「書いてもらう」だと、私じゃない授業の設計になる。この子たちの実態を知らないAIに書いてもらっても、動かせない。

「読んでもらって指摘してもらう」だと、自分の設計を磨いている感覚がある。

その違いは、やってみてわかったことだ。


指導案を磨くAI活用フロー:具体的なプロンプト全文

指導案に関してわたしが使っているプロンプトを、全文でまとめる。順番通りに使うと、一通り見直せる。


① ねらいと活動のズレをチェックするプロンプト

以下は中学校英語の授業の学習指導案(本時部分)です。
「本時のねらい」と「主な学習活動」を読んで、以下を確認してください。

1. ねらいに書かれた目標と、授業の活動が対応しているか
2. 活動の中で「ねらいの達成をどう確認するか」が見えるか
3. 45分の流れとして不自然な部分(時間配分・順序)があるか

「正しい指導案に書き直して」は求めていません。
指摘だけをお願いします。書き直すかどうかは自分で判断します。

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(本時のねらいと、主な学習活動の流れをここに貼る)

② ねらいを「観点別」に整理するプロンプト

以下は本時のねらいです。

学習指導要領の「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の観点から、この目標がどの観点に対応しているかを整理してください。

また、どの観点の目標が曖昧になっているか、または欠けているかがあれば指摘してください。

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(本時のねらいをここに貼る)

③ 評価の場面を確認するプロンプト

以下は本時の授業の流れです。
この授業の中で、教員が「生徒の達成状況を確認できる場面」はどこにありますか?

また、評価の場面がない・少ないと感じる部分があれば指摘してください。
指摘だけをお願いします。

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(授業の流れをここに貼る)

④ 特別支援・配慮が必要な生徒への対応を確認するプロンプト

以下は授業の流れです(個人情報は含みません)。

この授業の中で、読み書きや音声認識に困難がある生徒が参加しにくくなる可能性がある場面を教えてください。
また、そういった生徒の参加を支えるために活動を調整できる部分があれば、一般的な観点から提案してください。

医療的な診断に踏み込む内容は含めないでください。

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(授業の流れをここに貼る)

Before / After:AIを使う前と使った後の指導案の変化

| | Before | After |
|---|---|---|
| 本時のねらい | 「〜を理解する」という抽象表現 | 「〜を〜の形で表現できる」という具体的な状態 |
| 活動との対応 | ねらいと活動がバラバラに存在 | 各活動で「どのねらいを達成するか」が対応している |
| 評価の場面 | 授業の最後のまとめのみ | 途中の活動でも確認の場面を設けるようにした |
| 書き直しの時間 | 「なんか変」で1時間迷う | AIの指摘を受けて30分で直せるようになった |
| 特別支援への対応 | 「配慮が必要な生徒」の欄が一般的な記述 | 活動ごとの参加のしやすさを確認するようにした |


落とし穴

「AIが言ったから直す」になると、自分の授業じゃなくなる

AIの指摘を全部受け入れようとすると、授業が動かせなくなる場合がある。「評価の場面が少ない」と言われても、この単元ではそれでいい、という判断をすることもある。

指摘を受けたうえで、「それでもここはこうする」という判断を自分でする。それが、自分の授業設計だ。

指導案の「形式」を直すためだけに使わない

「指導案っぽい書き方」に整えることは、AIが得意だ。でも指導案は「書き方」ではなく「授業設計」が本体だ。AIに整えてもらった指導案が、授業で動かせなければ意味がない。

形を整えることより、「自分が授業の流れをイメージできるか」を常に確認しながら使う。


まとめ

「ぼんやりしていますね」という指摘をAIにされたとき、少しカチンときた話から始めた。

でも、その指摘は正しかった。わかっていたけれど言語化できなかったことを、外から見てもらえた。

指導案の書き方が変わった、というより、「自分がどこを見ていないか」が見えやすくなった。それが今年度の変化だと思っている🐱


参考

  • 文部科学省「学習指導要領(令和3年告示)解説 外国語編」※「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点による目標設定の考え方について。文科省公式サイト(mext.go.jp)より確認可能。

  • 文部科学省「指導と評価の一体化のための学習評価に関する参考資料(中学校英語)」(2020年)※本時のねらいと評価の対応の考え方として参照。

  • 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利用に関するガイドライン(改訂版)」(2024年)※AIを校務・授業設計の補助として活用する際の基本方針として参照。


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