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AIで授業準備が「2時間→20分」になった

ため息をついたのを、今でも覚えている。

金曜の夕方。職員室の時計が19時を回っていた。週案はまだ半分しか埋まっていない。来週の国語、数学、社会、自立。それぞれの単元のねらいを書いて、展開を考えて、支援の手立てを考えて。

「毎週これか」と思った。

あのころ、授業準備に週2〜3時間は当たり前にかかっていた。それが今、中核部分だけなら20〜30分で終わる日がある。劇的に変わった。でも、変わるまでにはそれなりの失敗があった。正直に書いておきたいと思う。

最初にAIを週案作成に使ったのは、1年ほど前だった。

「これ、使えるかも」と思ってすぐ試した。特別支援学級の子どもたちに合わせた国語の授業案を、ChatGPTに出してもらった。

出てきた瞬間、少し興奮した。

たしかにそれらしい文章が出てきた。単元のねらい、展開、配慮事項まで。でも読み進めるうちに、じわじわと「あれ?」という感覚が来た。

これ、うちの子たちじゃない。

書いてある支援の手立てが、どこか教科書的だった。「視覚的な手がかりを用意する」「繰り返し確認する」。間違ってはいない。でも、目の前の子どもたちの顔が浮かんでこなかった。

たとえば、文字を読むことに困難さがある子には、文字のフォントや行間、背景の色まで個別に調整している。活動の見通しが持ちにくい子には、タイマーと手順カードをセットで使っている。そういう、その子だけの「ツボ」が、AIの出力には一切なかった。当たり前だ。私しか知らないのだから。

そのまま使えると思っていた。それが最初の失敗だった。


AIの出力をそのまま週案に貼り付けた翌週、授業がちぐはぐになった。

ある場面で「ここは子どもが〇〇するはず」と展開を見込んでいたのに、実際は全然違う反応が返ってきた。計画通りにいかないのは授業の常だけれど、あのときは「そもそもこの計画、自分が本当に考えたものじゃない」という居心地の悪さがあった。

授業が終わって、ぼんやり板書を消しながら思った。

AIが考えた授業を、私がやっている。

そのズレが、しばらく続いた。


転換点は、使い方を変えたことだった。

「答えを出してもらう」のをやめた。「一緒に考えるたたき台を作る」に切り替えた。

たとえば週案を作るとき、まず自分でねらいを書く。「この子に、今週はこれを身につけてほしい」という一文を自分の言葉で書く。それをChatGPTに渡して、「こういうねらいで50分の展開を考えるとしたら、どんな活動が考えられますか?」と聞く。

出てきたものを読んで、「これは使えない」「これは面白い」と取捨選択する。

そうすると、不思議と授業が自分のものになる感覚があった。


この使い方の変化は、文部科学省のガイドラインとも重なっている。

文科省は2024年12月、「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン(Ver.2.0)」を公表した(※1)。その中では、教師が生成AIを「授業準備・教材研究に活用すること」は有用な使い方として位置づけられている。一方で、「AIの出力をそのまま使うことの問題点」についても整理されており、教師の主体的な判断と関与が前提とされている。

「禁止」でも「何でもOK」でもなく、「どう使うか」が問われている。

現場の実感としても、まさにそこなのだと思う。AIが出してきたものをそのまま使うのか、自分の判断を介して使うのか。その違いが、授業の手応えとして返ってくる。

2025年度以降、各自治体でもAI活用に関するガイドラインの整備が進んでいる。ツールも増えた。ChatGPT、Gemini、Copilot。選択肢が広がった分、「何をどう使うか」を自分で決める必要がある。その軸を持っておくことが、これからはより大事になってくる、と感じている。


今は週案の核になる「ねらい」と「手立てのアイデア出し」にAIを使っている。

かかる時間が大幅に変わった。以前は2時間以上かかっていた週案作成が、慣れてきた今は実質的な検討時間だけなら30〜40分で収まる日が増えた。

浮いた時間で、子どもたちの様子を振り返るノートを書くようにした。支援の記録が積み重なると、次の週案がより具体的になる。そういう好循環が、少しずつできてきた気がする。

同僚に「これ使ってみて」とすぐに言えなかったのは、最初の失敗があったからだ。うまくいっていないのに勧めることはできなかった。でも、使い方が変わってから、少しずつ話せるようになってきた。


この先の有料部分では、私が実際に使っているプロンプトの文例と、週案作成のテンプレートをそのまま載せている。

コピペして、自分のクラスの情報を書き換えるだけで使えるように整えた。特別支援学級向けと通常学級向け、両方用意している。「思想は伝わったけど、明日どうすればいい?」という方のために作った。

■ なぜプロンプトの「型」が必要か

最初は毎回、何をどう聞けばいいか迷っていた。

「授業案を考えて」と入力しても、出てくるのは汎用的な内容ばかり。そりゃそうだ、と今はわかる。AIに渡す情報が少なすぎた。

自分のクラスの実態、子どもたちの認知特性、単元のねらい。それをきちんと言語化して渡すと、出力がぐっと変わる。プロンプトに「型」を作ったのは、その気づきからだった。


■ プロンプト文例①:週案のたたき台を作る(特別支援学級向け)

以下をそのままコピーして、【 】の中を書き換えて使ってください。

私は【小学校・特別支援学級】の担任です。
今週の【国語】の授業について、展開のアイデアを一緒に考えてほしいです。

■ 今週のねらい
【例:「ひらがなの『を』と『お』の書き分けができる」など、1〜2文で】

■ 子どもの実態(個人が特定されない範囲で)
【例:「文字を視覚的に捉えることが難しい子が1名。活動の切り替えに時間がかかる子が2名。】

■ 授業時間
【45分 or 30分など】

■ 使える教材・環境
【例:タブレット1人1台、ホワイトボード、手順カードあり】

上記をふまえて、授業の展開案(導入・展開・まとめ)を3パターン出してください。
私が取捨選択するので、バリエーションを重視してください。

使い方のポイント

出てきた3案を比べながら、「この活動の部分だけ使おう」「この流れはうちには合わない」と判断していく。全部使おうとしない。いいとこ取りでいい。


■ プロンプト文例②:支援の手立てを深掘りする

授業展開は決まったけど、「この子への配慮がまだ薄い」と感じたときに使うプロンプト。

以下の授業展開で、【活動の見通しが持ちにくい子ども】への支援の手立てを
もう少し具体的に考えてほしいです。

■ 授業展開(先ほど決めたもの)
【展開の概要を貼り付ける】

■ その子の具体的な困難さ
【例:「次に何をするかわからないと不安が高まりやすい。口頭説明だけでは伝わりにくい場合がある。」】

支援の手立てを5つ提案してください。
私が実際に使えそうなものを選ぶので、多様なアイデアを出してください。

「視覚的な手がかりを」と書くだけでなく、困難さを具体的に書くほど、出てくる手立てが具体的になる。ここが、使い始めたころの私に一番伝えたかったことだ。


■ プロンプト文例③:週案全体をざっくり作る(通常学級向け)

私は【小学校3年生】の担任です。
来週の週案のたたき台を一緒に作りたいです。

■ 各教科の単元(来週の予定)
・国語:【例:「もうすぐ雨に」第2時】
・算数:【例:「わり算」導入】
・理科:【例:「植物の育ち方」観察】
・その他:【道徳、体育など】

■ クラスの状況
【例:「グループ活動が得意。書く活動に時間がかかる子が複数いる。」】

各教科について、ねらいと主な学習活動のアイデアを出してください。
私がそれをもとに肉付けして週案を完成させます。
あくまで「たたき台」でいいです。

このプロンプトを使うと、週案の骨格が10〜15分で出てくる。そこから自分で加筆・修正する。合計30〜40分で収まるようになったのは、この流れができたからだ。


■ 週案テンプレート(特別支援学級・1週間分)

以下は私が実際に使っているテンプレートの構造。Googleドキュメントや Word に貼り付けて使ってください。

【週案テンプレート:特別支援学級用】
対象期間: 年 月 日(月)〜 日(金)
作成日:
担当:

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 今週の重点目標
(クラス全体として大切にしたいこと)
→

■ 個別の重点目標
・[子どもA]:
・[子どもB]:
・[子どもC]:
※個人名ではなく「Aさん」「Bさん」など

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 各教科の計画

【国語】
・単元名:
・ねらい:
・主な活動:
・支援の手立て:
・使用教材・ICT:

【算数】
・単元名:
・ねらい:
・主な活動:
・支援の手立て:
・使用教材・ICT:

【生活】
・単元名:
・ねらい:
・主な活動:
・支援の手立て:
・使用教材・ICT:

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 今週の見通し・懸念点
→

■ 週末の振り返り欄
(金曜に記入)
・うまくいったこと:
・次週に活かしたいこと:
・個別の気づき:

「週末の振り返り欄」を作ったのは、支援の記録を翌週の週案に活かすためだ。書いた記録が次のプロンプトに使える。そういう流れにしておくと、AIへの入力精度が週を重ねるごとに上がっていく。


■ チェックリスト:週案作成のAI活用フロー

□ 自分の言葉で「今週のねらい」を1〜2文書く
□ 子どもの実態(個人が特定されない範囲)を書き出す
□ プロンプトに情報を入れてAIに投げる
□ 出てきた案を読んで「使える/使えない」を仕分ける
□ 使える部分だけ取り出して週案に組み込む
□ 特別支援が必要な子への手立てを自分で確認・加筆する
□ 週末に振り返り欄を記入する
□ 気づきを翌週のプロンプトに反映する

このフロー、最初は慣れるまで少し時間がかかる。でも2〜3週間続けると、体に馴染んでくる。私がそうだった。


■ 注意点として伝えておきたいこと

AIに入力するとき、子どもの名前や学校名など個人が特定できる情報は入れないようにしている。「Aさん」「3年生の男の子」といった表現にとどめることを、私は意識的に続けている。

また、AIの出力はあくまで「たたき台」だ。最終的な判断は自分でする。AIが「この子にはこれが合う」と言っても、その子のことを知っているのは私だ。そこだけは、ずっと手放さないようにしている。


まとめ

AIを使い始めた最初の一歩は、失敗だった。でも、失敗したからこそ「どう使うか」を真剣に考えた。同じように「使ってみたけど、なんかしっくりこなかった」という先生、おられませんか?その感覚、たぶん正しいと思います🐱

プロンプトの型を持つと、ぐっと変わります。一緒に試行錯誤していきましょ🐱✨


参考・出典

※1:文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン(Ver.2.0)」(2024年12月)
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/mext_02412.html


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#現場事例 , #教員の工夫 , #AI活用 , #授業改善 , #before -after, #特別支援教育 , #プロンプト

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