不条理通りはネオンに濡れて
通りはネオンに濡れている。ならぶ看板。ビルディングの影に明滅する切れかけた蛍光灯。壁に寄りかかり足をクロスさせて虚空を睨む売女。酔いどれ野郎のふらつく足どりは歪んだジグザグ。猫。
コートの襟に首をうずめてあたりをうかがいながら、ネオンに濡れた路面を歩いていた。ふしだらな通りとも見える、が、その実、この空間はゆがみ込みで計算が働いているのだ。
花束を持った女が歩いてくる。その後ろを同じく花束を持った女たちの列が続く。近づいてくる。すれ違った。女たちが持っていた花束は、白い百合だった。それにより、ボスの死を知った。
ボスは勇ましいほどに暴飲暴食だった。ボスが風紀を守り続けてきたこの通りを、これから保つのは私になった。大人の風紀委員。忘れ形見となったスコッチを今夜あけよう、と足をふみ出す。通りは、これからもネオンに濡れてあらねばならない。
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