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お灸と料理

朝起きると、まずは8畳の和室へ。ろうそくとマッチ、お灸線を用意したら、ろうそくに火を灯す。お灸線を火にかざし、煙が出てきたら、全身をさっとひとなで。血流が滞っていた箇所がスッと通るような感覚があり、気持ちいい。

お灸歴は、もう20年ほど。ちょっとした不調を改善したいと思い、続けている。体調がいいときにはお灸線を使うけれど、体のどこかに痛みがあるときなどには、枇杷の葉を使った温灸をしっかりとかける。

父方の祖母は、自分でもぐさをつくる人だった。それをわたしの母に頼み、背中など手が届かないところへのせ、火をつけてもらっていた。多分、月に一度か二度くらいだったと思う。

当時、小学生だったわたしは時々母についていき、その様子を近くで眺めていた。祖母の背中には、お灸の跡が黒くなった点々が、たくさんついていた。母がもぐさに火をつけると、しばらくは気持ちいいと目を閉じていたものの、途中から顔を歪め、我慢している様子だった。

母はピンセットでその熱いもぐさを外し、また次のもぐさをのせていく。子ども心に、なんでこんな熱いことをするんだろう、と思っていた。祖母の寝室にはお灸の匂いがしみついていたけれど、母は「この匂い、いいよね」、と言っていた。

友人夫婦が長年、お世話になっている鍼灸の先生(Tさん)がいると、話に聞いていた。ご縁がつながり、Tさんと一緒に食事をするなど、会う機会が増えていった。とてもチャーミングな女性で、会うたびに元気をもらえる。彼女は鍼灸の講座も開いている方で、ある日、「一緒にワークショップを開きたい」と、声をかけられた。

ずいぶんと間が空いたけれど、先日、やっと開催することができた。Tさんの講座に合わせ、わたしが食事を用意する。「お灸で体の外から、食事で中から、ケアできるようなワークショップにしたい」、との話だった。薬膳の知恵を取り入れ、これから迎える梅雨や熱い夏に向けて、食材を選ぶことにした。

場所は我が家の和室で。話し上手な先生の講座はわかりやすく、おもしろく、とても盛り上がった。今回用意した料理は、夏の香味ちらし寿司、じゃがいもの酢の物、蒸し茄子、とうもろこしと新玉ねぎの春巻き、トマト・卵・山芋のスープ、ハト麦茶。体に溜まった湿や水分を流し、気を補ってくれる食材で。

結局のところは、旬の食材を食べればいいということに落ち着く。自然とはなんと温かく、素晴らしい。お灸と料理。これからも季節ごとに開催したいね、と話している。ここ数年、自分が持っているものを、それを必要としてくださる方に手渡したいと思うようになった。軽やかに、楽しみながら。


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