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名古屋駅でコーヒーを飲みながら考えたこと|地下に行くか、地上に出るか

新幹線のホームで、きしめんのいい匂いがする。

立ち止まって食べるほどではない。でも、目に入る。そして、少しだけ、足が遅くなる。

名古屋に来た、という感じは、だいたい、ここで決まる。

改札を抜けて、コンコースに出る。
人が多い。流れは太く、速い。

柱のデジタルサイネージに、トヨタ関連の部品メーカーの広告が流れている。

聞いたことのある社名と、よく分からない製品名。

車の一部なのか、それとも、もっと小さな何かなのか。

内容は分からないが、ここが名古屋だ、とはっきり思う。

人の流れに押されるように歩くと、自然とデパートの前に出る。

駅なのか、街なのか、境目は、あまり気にされていない。

外に出る。

一瞬、ここが都会なのか、それとも、そうでもないのか、分からなくなる。

高いビルはある。でも、空が少し広い。

オフィス街のようで、どこか、まだ余白が残っている。

地下に降りるか。このまま、地上を歩くか。

名古屋では、いつも少し迷う。

地下街は、どこまでも続いていそうだし、地上は、思ったより風がある。

名鉄か、地下鉄か。どちらでもいい気もする。

名古屋は、喫茶店が生活に馴染んでいる街だ。

本当なら、どこかに入っても不思議じゃない。

でも、今日は、あえて入らない。セブンイレブンでコーヒーを買う。紙カップから、はっきりした匂いが立つ。

いつもの味。特別ではないが、それが、少し安心する。

カップを持ったまま、人の流れから、ほんの少しだけ外れる。

みんなは、どこかへ向かっている。自分だけが、少し遅い。

遅れている、というより、急いでいないだけかもしれない。

巨大な駅の中で、その違いは、意外と目立たない。

地下に行くか。地上に出るか。まだ、決めなくていい。

コーヒーの匂いが、その間を、静かに埋めてくれる。

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