AIを裁判官にしない。難しい仮説を理解するための使い方
〜8月21日 21:00
先日、とても難しい文章を読む機会がありました。
物理学、生物学、意識、哲学。
それぞれ単独でも十分に難しい分野が、一つの仮説の中でつながっていました。
出てくる言葉は、聞いたことがあるものも多い。
でも、文章全体として、
「何を起点に、どういう道筋で、そこへ到達したのか」
が、なかなかつかめません。
読み進めているうちに、自分がどこまで理解できていて、どこから分からなくなったのかさえ、見失いそうになりました。
こういうとき、生成AIは便利です。
文章を貼って、
「これを分かりやすく説明して」
とお願いすれば、すぐに解説してくれます。
ただ、今回のような文章では、それだけでは少し足りませんでした。
AIに「正しいですか?」と聞いてみると
新しい仮説や、現在の定説とは異なる主張に出会うと、ついAIに聞きたくなります。
「この説は正しいのでしょうか?」
するとAIは、現在の一般的な知見と照らし合わせて答えます。
「現在の科学では証明されていません」
「一般的な理論とは異なります」
「検証可能な証拠が必要です」
もちろん、それ自体は間違った回答ではありません。
AIは、すでに蓄積されている知識をもとに答えるため、現在の教科書や論文と違う部分があれば、それを指摘します。
でも、今回、私が知りたかったのは、そこではありませんでした。
その仮説を正しいと認定したいわけでも、間違いだと判定したいわけでもない。
まず、
「この人は、何を言おうとしているのだろう?」
を理解したかったのです。
まだ仕様を読んでいる途中なのに、いきなり監査部門が入ってきて、
「この方式は標準手順に登録されていません」
と言われても困ります。
それは後で聞くので、まず中身を説明してください。
そんな感じです。
AIを裁判官から通訳へ変える
そこで、AIへの質問を変えました。
「この説が正しいかどうかは、いったん判定しなくてよい」
そのうえで、文章を次のように分けてもらいました。
現在、すでに分かっていること
現在の科学でも、まだ分かっていないこと
著者が新しく提案していること
さらに、難しい専門用語については、高校生でも追える程度の言葉に言い換えてもらいました。
すると、文章の見え方が少し変わりました。
長く難しい文章が、いくつかの部品に分かれて見えるようになったのです。
ここまでは現在の科学で説明されている。
ここは、まだ研究者の間でも答えが出ていない。
そして、著者は、その未解決部分に新しい前提を置いている。
その前提を使って、別々に見えていた問題を一つのモデルで説明しようとしている。
この順番が見えてくると、仮説に賛成するかどうかとは別に、著者が見ている構造を追えるようになります。
分かったのは、答えではなく「分からない場所」だった
AIを使ったからといって、難しい内容がすべて理解できたわけではありません。
専門知識が突然、頭の中にインストールされたわけでもありません。
ただ、
「どこまでは分かるのか」
「どこからが分からないのか」
「何を著者に確認すればよいのか」
が見えるようになりました。
以前なら、
「難しかったです」
「壮大で面白い仮説ですね」
くらいしか言えなかったと思います。
しかし、構造を分けて読むことで、
「私は、この部分をこのように理解しました」
「ただ、この概念は、一般的な意味よりも広く使われているのでしょうか」
と、一歩踏み込んだ質問ができました。
そして著者から回答をもらい、自分の理解をもう一度修正することができました。
AIが著者の代わりに答えたわけではありません。
人間同士で対話できるところまで、私の理解を運んでくれたのです。
AIは、未知を消すのではなく、足場を作る
AIを使えば、知らないことがすぐ分かる。
そう考えたくなることがあります。
でも、実際には、難しいものはAIを使っても難しいままです。
それでも、以前なら「分からない」で閉じていた文章の中へ、少しだけ入っていけるようになります。
AIは、未知の世界の答えを全部教えてくれる先生というより、
「ここまでは道があります」
「この先は、まだ足場がありません」
「ここで著者に聞いてみるとよさそうです」
と教えてくれる案内役なのかもしれません。
ただし、案内役が地図を読み間違えることもあります。
しかも、ときどき自信満々です。
そのため、こちらも油断できません。
どうやらAIと難しい文章を読むというのは、優秀なガイドと一緒に登山するというより、よくしゃべる照明係と一緒に濃霧の山を歩くことに近いようです。
足元はよく見える。
でも、照らしている方向が崖ではないかは、最後まで自分で確認する必要があります。

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ここまでの無料パートでは、
AIに難しい仮説の正しさを判定させるのではなく、まず理解するために使う
という考え方を紹介しました。
ただ、実際にやってみると、単純に要約させるだけではうまくいきません。
AIは、著者独自の概念を、既存の理論へ勝手に戻してしまうことがあります。
反対に、
「著者の前提を正しいものとして読んでください」
と指示すると、今度は、現在分かっていることと独自の提案との境界が見えにくくなります。
では、未知の仮説を、
最初から否定せず
そのまま信じ込まず
既存の知識だけに回収せず
著者の意図も失わず
に読むには、何をどう分ければよいのでしょうか。
ここから先では、私が実際に行った読み方を、別のテーマにも使える形に構造化して整理します。
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7月22日 21:00 〜 8月21日 21:00
この記事は、私自身の経験と思考をもとに、生成AIとの対話を通じて探索・再構成した記録です。いただいたお気持ちは、次の寄り道の燃料としながら、生成AIと人間の共創の研究をさらに深めていきたいと思います。
