ペニシリン:偶然では片付けられない奇跡。片付けられない天才が偶然見つけた抗生物質
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仕事の効率化や5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)が絶対視される現代。しかし、人類の歴史を揺るがす最大の医学的発見は、あきれるほどの「だらしなさ」から生まれました。
数億人の命を救った世界初の抗生物質ペニシリン。その誕生の裏には、片付けられない一人の天才の「散らかり放題の机」という、完璧さとは無縁の奇跡が隠されていたのです。
片付けられない男と「放置されたシャーレ」
1928年、ロンドンのセント・メアリー病院。ここで研究をしていた細菌学者アレクサンダー・フレミングは、極めて優秀な頭脳を持つ一方で、研究室の机を全く片付けないという致命的な欠点を持っていました。
ある夏の日、彼は机の上に黄色ブドウ球菌を培養した実験用の平皿(シャーレ)を「出しっぱなし」にしたまま、1ヶ月間もの長期休暇に出かけてしまいます。
休暇から戻ったフレミングが見たものは、カビだらけになった無惨なシャーレでした。開けっ放しの窓から偶然アオカビの胞子が飛んできて、放置されたシャーレの中でびっしりと繁殖してしまったのです。通常であれば「あーあ、失敗した」とゴミ箱に放り込んで終わる場面です。
しかし、フレミングは捨てる直前、ある異変に気づきます。アオカビの周囲だけ、細菌が溶けて透明になっていたのです。カビが細菌の繁殖を抑える物質を出している。これこそが、のちに数億人の命を救うことになる「ペニシリン」発見の瞬間でした。
もし彼が几帳面な性格で、休暇の前に机をピカピカに片付けていたら、この世紀の大発見は決して生まれていませんでした。
偶然を「大発見」に変えた観察眼
単なるまぐれや失敗の中に、価値あるものを見出す能力。これを「セレンディピティ(偶然の幸運を掴み取る力)」と呼びます。フレミングの発見は、まさにこのセレンディピティの極みでした。
しかし、この「片付けられない天才が生んだ偶然の奇跡」は、ここで綺麗にハッピーエンドとはなりません。
驚くべきことに、このフレミングの世紀の大発見は、その後「10年以上も歴史から完全に忘れ去られる」ことになります。一体なぜ、人類を救うはずの特効薬は放置されてしまったのでしょうか。
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