日本の夏
横溝正史の金田一耕助シリーズは、エログロな事件をナチュラルエコな感じの金田一探偵が、人間臭く、朴訥と、最後には優しさを漂わせながら犯人を断ずる。
そのバランスというかコントラストが面白い。
どんなに悲惨で凄惨な事件現場でも、そこへ金田一探偵が足を踏み入れた途端、劇薬は中和される。
事件が凄惨であればあるほど金田一ヒーリング効果が強く意識されて、作品に情感が生まれる。
そんな金田一探偵の立ち位置を考えると、なぜこの人がそれまで配役されなかったのかが不思議なくらいの適役、渥美清。
彼の金田一探偵が凄くイイ。
トレードマークの袴やボサボサ頭を掻きむしることもなく、金田一という男のエッセンスのみを漂わせている。
人間らしい反応と思いやりと、そこから来る厳しさ。
辰弥役の萩原健一、尼子義孝役の夏八木勲、多治見要蔵役の山崎努、揃いも揃って男の色香が匂い立ち、怯えや憤怒や憎悪といった負の感情に艶を与えている。
季節は夏、だから余計に、香りが立つのかもしれない。
そして美也子役の小川真由美、春代役の山本陽子、鶴子役の中野良子、汗ばむ彼女たちはイヤになるほど女でエロい。
そんなこんなで画面がムンムンしてる中を、多治見要蔵が着物の裾をはだけながら桜並木を疾走し、無言の殺戮を繰り広げる。
あまりの凶行にゾッとし早くそのシーンが終わらないかと願うけれども、やはり寒気に襲われるというより上気してしまう。
2008-3-15
八つ墓村/野村 芳太郎
Yatsuhakamura
1977
Director : Yoshitarô Nomura
Writers : Shinobu Hashimoto, Seishi Yokomizo
Composer : Yasushi Akutagawa
Cinematographer : Takashi Kawamata
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