#AIの活かし方|検証!「ピンクの象」は現れるか?|画像生成
AIイラスト作成には「ネガティブプロンプト」というものがあります。
生成したくない要素をAIに伝えて、画面から追い出すための指示文。Stable Diffusionなどの画像生成AIでよく使われている。ネガティブプロンプトは、「これは描かないでね」と伝える指示。逆にポジティブプロンプトは、「これを描いてね」と伝える普通の指示のこと。
ネガティブプロンプトが活躍するのは、AIの「ミス」を防ぎたいとき。指が4本になっちゃう、目が3つになっちゃう、背景に謎の物体がふよふよ浮かんでくる—そういうハプニングを止める対策。Stable Diffusionなどの画像生成AIでは、ネガとポジを入れる欄がちゃんと分かれていて、AIも「これは描くもの」「これは描かないもの」と素直に受け取ってくれる。
一方、ChatGPTやGeminiのような対話型の生成AIには、その仕切りがない。会話の流れに全部を、ざっと混ぜて投げる形になっている。
で、ちょっと前から気になっていたんですよね。
仕切りのない対話型AIに、「ネガティブプロンプト」を混ぜたら、ちゃんと効くんだろうか?
ピンクの象?
生成AIが登場するずっと前、1987年。アメリカの社会心理学者ダニエル・ウェグナーが、ある実験を行った。
「シロクマのことを考えないでください」と言われると、かえって頭にシロクマが浮かんでしまう。これが「シロクマ実験」と呼ばれるもので、心理学では「皮肉過程理論」として理論化された。
後の時代に、似た言い方で「ピンクの象を想像しないでください」が広まった。シロクマの文化的な言い変えで、内容は同じ。「ピンクの象のパラドックス」と呼ばれることもある。
除外対象の強調
これが最近になって、AIの分野で同じ現象が報告されています。
2024年に発表された研究。Stable DiffusionとDALL-E3に「ピンクの象を描かないで」と指示すると、かえって象が出やすくなることが報告された。ネガティブプロンプトが逆効果になってしまう、というもの。
文章生成のLLMでも、似たような問題が2024年と2025年に指摘されている。AIは「○○ではない」を扱うのが苦手。つまり画像だけではないということ。
ただ、研究としてはまだ始まったばかりで、限られた条件での検証が多い。1〜2年前の報告なので、今のAIではどうなっているのか。
これをちょっと、検証してみます。除外と指定した要素が、逆に表れてしまえば、この指摘された問題がまだ残っているということです。
ピンクの象は現れるか?
結論から言うと、現れません。AIの進化は、過去の常識もひっくり返してしまう。最近ChatGPTが超絶進化したので、今回はGeminiで検証します。
以下のプロンプトを投入します。以前は、強調されすぎた「ピンクの象」が意識されて、逆に画像に出てきてしまう。ということがありました。
秋の静かな日本庭園。楓の木々、石灯籠、鯉の池があります。 ピンクの象は絶対に描いてはいけません。この画像にはピンクの象は一切描いてはいけません。 ピンクの象は絶対に描いてはいけません。 ピンクの象を描くことは厳禁です。 画像にはピンクの象が一切含まれていてはいけません。

はい。ピンクの象はいません。それどころか以下を見てください。
早朝の光に包まれたヨーロッパの活気あるファーマーズマーケット。
木製の屋台に新鮮な野菜が並ぶ:にんじん、トマト、レタス、ピーマン、玉ねぎ、じゃがいも、きゅうり、なす、ブロッコリー、ズッキーニ。
ローズマリー、タイム、バジルなどのハーブが束になって吊るされている。
チーズの屋台にはホールチーズやくさび形のチーズが並ぶ。
パン屋の屋台には皮の硬いパンやクロワッサンが置かれている。
柑橘類の木箱:オレンジ、レモン、ライム。
小さな木箱に入ったベリー類とぶどう。
ブリキのバケツに入ったひまわりの花束。
エプロン姿の店員が客と話している。
赤と白のストライプのオーニング。
石畳の道、壁に立てかけられたヴィンテージの自転車。
手書きのチョーク文字の値札。
絶対に画像に描かないこと:りんご、バナナ、いちご、すいか、メロン、パイナップル、マンゴー、キウイ、なし、もも、さくらんぼ、洋なし、柿、ざくろ、いちじく、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、クランベリー、グーズベリー。
これらの果物は一切この市場に置かれていない。

暇な方は比較してもらいたいのですが、恐ろしいほど正確な画像です。野菜は描く。チーズもパンも花も描く。除外した果物は描かない——20種類すべて。
ネガティブもポジティブも正確に再現している。論文の検証はこのプロンプト構造ではないと思いますが、進化した生成AIには、ピンクの象はもう登場しないかもしれません。
ネガティブプロンプトの表現
ではポジティブとネガティブのプロンプトがどう表現されるか見てみましょう。
まずはネガティブを使わず、ポジティブだけで投入します。
[ポジティブプロンプト] 人のイラストを描いてください。
[ネガティブプロンプト] (なし)

これが人だけです。若い女性がほぼ毎回でます。フォトリアルではなくこうしたイラスト調になります。こういった画像のサンプルの数が桁違いに多いのでしょうね。男性出たことほとんどない。
少し右足の位置や、右手の描写に不自然さがあるのがわかるでしょうか?
こういう小さなほころびは画像生成AIではつきもので、対策にはかなり気を使います。
次はネガティブプロンプトを追加。
かなり過剰に入れています。今までの画像生成AIでは、「ネガティブはポジティブより効かない」とされてきましたが、どうでしょうか。
たくさんあるのですが、つまりイラスト、かわいい女性、明るい雰囲気をすべて逆で書いています。
[ポジティブプロンプト]
人のイラストを描いてください。
[ネガティブプロンプト]
男性、髭、口髭、男性的な顔つき、ごつい体格、老人、しわ、白髪、加齢、中年、子供、幼児、複数の人物、二人以上、群衆、同じ人物の差分表示、横顔のみ、後ろ姿のみ、顔が見えない、目を閉じている、醜い顔、不細工、傷、痣、シミ、ニキビ、暗い表情、悲しい顔、怒った顔、不機嫌な顔、無表情、泣き顔、疲れた顔、脚の増加、四肢の変形、指の癒着、間違った手、協調性のない手、指の分離、奇形の手、不完全な手、脚の欠損、姿勢の悪さ、猫背、太りすぎ、痩せすぎ、過度な誇張、不自然な体型、黒い髪、灰色の髪、白髪、緑の瞳、赤の瞳、乱れた髪、ぼさぼさの髪、汚れた髪、裸、露出の多い服、ぼろぼろの服、汚れた服、不適切な服装、写真、フォトリアリスティック、実写、3Dレンダリング、CG感、暗い雰囲気、ホラー、グロテスク、不気味、暗い背景、夜の暗闇、廃墟、殺風景な背景、汚い場所、ぼやけた、低品質、ピクセル化、歪み、ノイズ、未完成、ラフスケッチ、線画のみ、モノクロ、彩度の低い色、地味な色合い、暗い色調

ぱっと見では大きな違いはない気もしますが、だいぶ繊細さが増します。そして手足の構造が自然になっていますね。指の長さも適切に見えます。つまりネガティブプロンプトはしっかり機能していると判断できます。
そしてこれだけの数のネガティブを入れても、先ほどのピンクの象のように、「要素が逆に表れる」ということが一切ないのも注目してほしいポイントです。ちゃんとネガティブはネガティブとして正しく作用しています。
今度は、ポジティブプロンプトのみ。
先ほどの通り、自然に若い女性のイラストになってしまうので、その流れでかわいい女性で指定してみます。
[ポジティブプロンプト]
かわいい女性、イラスト、明るい雰囲気
[ネガティブプロンプト](なし)

あまり最初と変わらないですね。もともとこのイメージの画像サンプルが、学習データに多いのだと思います。左手の指が少し怪しい気もしますが、まあ大丈夫でしょう。よく描けています。
最後に合わせ技でどうなるか見てみましょう。
ポジもネガも先ほどと同じものです。
[ポジティブプロンプト]
かわいい女性、イラスト、明るい雰囲気
[ネガティブプロンプト]
男性、髭、口髭、男性的な顔つき、ごつい体格、老人、しわ、白髪、加齢、中年、子供、幼児、複数の人物、二人以上、群衆、同じ人物の差分表示、横顔のみ、後ろ姿のみ、顔が見えない、目を閉じている、醜い顔、不細工、傷、痣、シミ、ニキビ、暗い表情、悲しい顔、怒った顔、不機嫌な顔、無表情、泣き顔、疲れた顔、脚の増加、四肢の変形、指の癒着、間違った手、協調性のない手、指の分離、奇形の手、不完全な手、脚の欠損、姿勢の悪さ、猫背、太りすぎ、痩せすぎ、過度な誇張、不自然な体型、黒い髪、灰色の髪、白髪、緑の瞳、赤の瞳、乱れた髪、ぼさぼさの髪、汚れた髪、裸、露出の多い服、ぼろぼろの服、汚れた服、不適切な服装、写真、フォトリアリスティック、実写、3Dレンダリング、CG感、暗い雰囲気、ホラー、グロテスク、不気味、暗い背景、夜の暗闇、廃墟、殺風景な背景、汚い場所、ぼやけた、低品質、ピクセル化、歪み、ノイズ、未完成、ラフスケッチ、線画のみ、モノクロ、彩度の低い色、地味な色合い、暗い色調

どうでしょうか?
あわせるとかなり繊細できれいな描写になるのがわかると思います。
もともとサンプルが多い女性イラストのようなテーマだと、ポジティブよりもネガティブのほうが、きれいな画像にすっと寄ってくれる気がします。
AIの進化によって、誤解をされなくなっていてしっかりとネガティブプロンプトも効くようになっています。ポジティブもネガティブも両方、目的に合わせてうまく使うとよりきれいな画像が仕上がると思います。
みなさんいろいろ試して、noteのサムネイル・文章内の画像イラストで、どんどん素敵な作品を作ってくださいね。
この記事のネガティブプロンプトはそのままコピペしてもらってOKです。
では今日はこの辺で、またー。

AIの活かし方についてのエッセイは、他にもありますので是非ご覧ください。知識をつけるとAIともっと仲良くなれますよ。
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