【短編】夏雨に残る 君の名 ~遠い記憶~
# じまこちゃ夏祭りの屋台エリアです
# しんみりと夏を感じてくださいませ
遠い記憶。
雨が降っていた。
夏の雨だったから、火照った体を冷やすには
ちょうど良い温度だと思っていた。
だけど
打たれた場所から冷えていき
心がこごえるほど冷たかった。
そんなときには
決まってただ抱き寄せてくれた。
自分よりも小さいのに
存在ばかりが大きくて
柔らかい肉体に溺れたくなり
何度も求めた。
それさえも微笑んで受け容れてくれた。
そんな夏の思い出。
それが何年経った今も
何度も何度も蘇り、ふっと消えていく。
それはあの夏に見た波のように。
女々しいけど
何度も愛の言葉を吐いて
何度もその名を呼んで
快楽の波間を漂って
心と魂さえ溶け合えた感覚。
それさえもあの波は
かき消して去って行った。
心の奥に愛の傷痕だけを残して。
太陽が照りつける季節なのに
心だけは冷たくなって
そのギャップに身を捩り
声にならない叫びをあげ
血の気が引いて膝をつく。
そうか、これが
これこそが恋なのか…
そう思ったときには
手が届かない場所へ
行ってしまっていた。
熟れて落ちたのか
熟れぬまま堕ちたのか
どちらでもいいが
それはずっとこの奥底に
揺らいでいる。
去って行った日の
夕焼けみたいに
胸を焼き付け忘れられない。
なぁ、あの日腕の中で
名を呼び続け
ずっと好きだと言った言葉は
幻だったのか。
幻ならなぜにいまだに
消えないのだ。
波がさらってかき消すように
どうかこの胸の想いも
消し去ってほしい。
それが出来ないのなら
またここで抱き締めてほしい。
こんなにも冷たくなった
だけど
熟し熱をもったままの
私の涙ごと
君にすべてを捧げたいのに
その君は夢の中・・・
ここにはいない。
ただそれだけがはっきりとしている。

主催者
出資者
物語の元ネタは「真夏の果実」
分かったかな?
お粗末様でしたー(*´∀`)
