背中で語る女は、会話まで背中を向けていた。
マッチングアプリをやっていると、たまに遭遇する。
私が勝手に「一問一答女」と呼んでいる人だ。
昨夜マッチした女性も、そんな一人だった。
プロフィール写真は後ろ姿。
顔は写っていない。
いわゆる、「背中で語る女」だ。
もちろん、それ自体は悪いことではない。
顔を出したくない事情は人それぞれあるし、プロフィール写真だけで人を判断するつもりもない。
だから普通にやり取りを始めた。
でも、すぐに違和感を覚えた。
こちらが質問する。
相手が答える。
それで終わり。
「○○さんはどうですか?」
この一言が返ってこない。
ライブが好き。
旅行が好き。
休日は予定を詰め込んで出かける。
聞けば答えてくれる。
でも、それだけ。
自分のことは話す。
しかし、こちらのことは聞いてこない。
会話というより、面接のようなアンケートだった。
最初は「人見知りなのかな」と思った。
文章が苦手なのかもしれない。
そう考えて、こちらから話題を振り続けた。
でも、何往復経っても変わらない。
そこで気付いた。
この人は、私に興味がないんだと。
もちろん、相手の本心は分からない。
ただ、少なくとも会話からはそう受け取った。
マッチングアプリやるからには、相手を知ろうとするものじゃないのだろうか。
話を聞いてほしい。
でも、相手の話は聞かない。
そんな関係が続くとは思えなかった。
だから私は、
「他人に興味ないんですね。」
と送った。
返ってきたのは返事ではなく、ブロックだった。
ここで誤解してほしくないのは、「女性なんだから会話を盛り上げろ」と言いたいわけではない。
ただ、マッチングアプリは男性の多くが月額料金を払って利用している。
お金を払っているから偉い、という話ではない。
でも、お金を払ってまで、
相手の機嫌をうかがい、
話題を探し、
質問を考え、
一人で会話を成立させようとする。
その状況に、「これ、何をやっているんだろう」と感じることはある。
アプリは接客ではない。
面接でもない。
どちらか一方が質問し続けるものでもない。
お互いが「あなたはどうなの?」と自然に聞き合える。
それが会話であり、関係を築く第一歩だと思う。
ブロックされたこと自体には、もう何の感情もない。
むしろ、お互いの時間をそれ以上使わずに済んだと思っている。
恋愛で一番大切なのは、条件でもプロフィールでもない。
相手を知りたいと思う気持ち。
それが感じられないなら、どれだけ条件が良くても、私には合わない。
そして最後に、一つだけ。
プロフィールでは背中を向けていても構わない。
でも、会話まで背中を向ける人とは、私は結婚できない。
