来襲の運勢、毎週ショートショートnote、410字
今日の運勢来襲は十時らしい。先週なんて、山田さんに中吉の塊が直撃して、彼はあれ以来、言葉がほぼ五七五になっている。脳内言語が書き換えられている。
「中吉、俳句と縁深まる」
来襲した運勢にそう書いてあったらしい。
「おはようを 言えば始まる 今日の罠」
挨拶までもが五七五になっていて、自分の運勢を呪っている。かわいそうだ。
変化のない日々が社会を蝕んだ。
全自動社会。完全最適化。完全AI化。選択不要。努力無用。人々は、チャレンジすることをやめた。
毎日の目標は「昨日と同じであること」になった。人々は生きていると言えなかった。
だから、国は決断した。
「無意味な変化」を強制的に降らせることで、精神の均衡を保とう。
かくして、「日替わり運勢降下来襲システム」が始まった。
それは占いの皮を被った娯楽であり、治療であり、人生そのものだった。
人々は「今日は凶だ」「恋愛運がねばねばだ」と笑いながら、毎日違う顔で、同じ日を生き続けるようになった。
