変人式、毎週ショートショートnote、410字
変人式への招待状が届いた。
なんだよ、変人式って、オレ、変人じゃないしと愚痴を吐いてよく見ると、招待状ではなく、召集令状だった。
参加しなければ逮捕すると書かれていた。
式の会場は、市役所の地下だった。
集められた人間は、年齢も服装もばらばらだが、共通点がある。誰も、目立たない。
定刻になると、背後で重い音がした。
非常扉が閉まったのだと、すぐに分かった。
天井のスピーカーから声が流れる。
「政府は、何かに特化した能力を持つ者を国民と定めています」
事務的で、感情のない声だった。
「君たちは不要です」
誰かが息を呑む音がした。
「君たちは、異常な人間じゃない。ただ、増えすぎた普通で不要な人間です。変人式とは、不要な人を無に変える儀式のことです」
無に変える。
その言葉だけが、耳に残る。
「君たちの存在は、家族や知人の記憶からも、少しずつ抜け落ちます」
息が苦しい。毒ガスだと、遅れて理解する。誰かがうめき声をあげる。
視界が、ゆっくり暗くなる。
