顔自動販売機
その女性は絶望していた。
また、告白して振られてしまったのだ。絶望して、森を彷徨っていると、自動販売機を見つけた。
顔自動販売機と書いてある。「商品は美しい顔」そう文字で書かれていた。
「いくらなの?」
金額を探しても書かれていないし、お金を入れるところもない。
コインを入れるところは円形の金属だが、穴がないのだ。そっと指で触ってみる。
ゴトリと音がした。商品取り出し口には何もない。
顔を近づけると、急に顔に激痛を感じた。
痛みはすぐに治った。バッグから手鏡を出して覗き込むと、とても美しい女性の顔に変わっていた。
女性は街に帰った。
誰もがその美しさに魅了された。
これで、幸せになれる。
そう思ったのも束の間、お金持ちの男に取り入っても交際は3日と持たなかった。
「気持ち悪いんだよ。綺麗だけど、一緒には暮らせない」
男たちにそう言われて女は気づいた。
自動販売機なのだから対価が必要だった。代わりに彼女が失ったものは「笑顔」だった。彼女の顔は完璧な美しさを持っていたが、何かを喜んだり楽しんだりする表情を作ることができなくなってしまっていた。だから…
その女性は絶望していた。
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我ただ足るを知る
と言う言葉があります。
結局は、そう言うことかもしれません。
