雨乞い難民、毎週ショートショートnote、410字
雨は人工衛星が降らせ、天候はAIで管理された。
だが自然を支配できるなど人間の思い上がりだった。
雨は降らず、降れば止まず、人類は衰退した。
祈りのない世界で弱った神が、干ばつの村に辿り着いた。
村人は彼を囲んだ。
「雨乞いができないか?」
彼は頷いた。
雨は降ったが止まなかった。
川が溢れ、家が流された。
「お前のせいだ」
雨量を制御できないほど弱っていた神は追い出された。
次の村でも頼まれ、雨は降ったが、溢れ、神はまた追われた。
干ばつの責任は神のせい。
洪水の責任も神のせい。
神は雨乞い難民になり旅を続けた。
雨を降らせる神はある村へ辿り着く。
看板が立っていた。
「干ばつで困っています。雨乞い師歓迎」
胸の奥がわずかに疼く。
数十年前、最初に雨を降らせた村だった。世代は入れ替わり、もう誰も神を知らない。
村人が言う。
「雨乞いができる者を探している」
「雨を降らせるから、全員、高台に移動しなさい」
「この目で、確かめたい」
そして、豪雨が村を襲う。
