駅で鯛を釣る、毎週ショートショートnote裏お題、432文字
基礎知識
「駅鈴(えきれい)」とは、古代律令制時代に、官吏が公務で旅行する際に、朝廷から支給された鈴のことです。この鈴を鳴らすことで、駅馬(交通手段の馬)の利用や、駅家(宿駅)での人馬の徴発などが許可されました。駅鈴には、駅の旧字が書かれていました。

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律令の世。
地方へ出張を命じられた官吏の私。中央官庁から支給された駅鈴を腰に下げ、堂々と旅に出た。
これさえあれば、諸国の駅家(うまや)で馬を借り放題。食も宿も心配なし。──のはずだった。
ところが、道中で腹が減った。米も味噌も尽き、魚でも釣らねばならぬ。
海辺に腰を下ろし、ふと駅鈴を見てひらめいた。
「これ、重いから沖に仕掛けを投げられるし、鈴の中に餌を押し込めば、魚を集められるんじゃね?」
竿の先に駅鈴を結び、針と糸をつけた。餌を駅鈴の中に詰め、沖に向かって投げた。
シュルシュルとはるか遠い沖まで飛び、チャポンと海に沈む。すると水面の奥から光が走り、なんと見事な鯛が飛び出した!
以来、私は公務のたびに海で鈴を振り、鯛を釣っては出世街道を歩んだ。
だが噂はすぐに広まり、役人たちは出張のたびに竿と駅鈴を持参。
各地の海は役人だらけ。
やがて朝廷からお触れが出た。
「駅鈴を釣りに用いるべからず」
こうして駅鈴釣りブームは幕を閉じたが、釣り好きの間では鯛のカゴ釣りの手法が広まった。

まさか、駅鈴がカゴ釣りの始まりだったとは?
↑嘘である
