お餅プロ、毎週ショートショートnote、410字
「翔太って、最近、お餅みたいね」
しまったと思った。
友人からはよく、デリカシーがないと言われる。今回も思ったことが口から漏れた。
ところが、翔太の顔が、ぱっと明るくなった。
「ありがとう」
「え?」
「俺、ずっとお餅みたいな人になりたいと思ってたんだ」
予想外すぎる返答に、私は一瞬、言葉を失った。
「だってさ、お餅ってすごいだろ? 誰にでも好かれるし、どんな料理にも馴染むし、主役にも脇役にもなれる」
「へぇ」
「そういう性格になりたいんだよ。プロのお餅…かな」
違う。
私の言ったお餅は、外見のことだ。
「まあ、そういうことよ」
私はごまかすように言って、翔太に抱きつく。
以前は少し骨ばっていた胸元が、今はふんわりと受け止めてくれた。
外見も、内面も、着実にお餅化が進んでいる。
正月が終わる頃には、もっと完成形に近づいているだろう。
「まあ、そういうことよ」
もう、彼がお餅プロであることを認めるしかなく、自分に言い聞かせるように、もう一度言った。
